日本の神様
天穂日命
(あめのほひのみこと)
八坂瓊五百箇御統より生まれた神様
天照大御神と素戔嗚尊の誓約により生まれた神
出雲の臣土師(はじ)の連等の祖
別名
天之菩卑能命
(あめのほひのみこと)
天菩比神
神名の「ホ」は秀・穂、「ヒ」は火を意味し、「生命力が火のように燃え盛る秀でた稲穂」表しています。
神格
稲穂の神
農業神
養蚕の神
木綿の神
産業の神
「日本書紀」では
日本書紀 巻第一 神代上
第六段の本文では、
このように登場しています。
素戔嗚尊の番になると、天照大神の髻鬘及び腕に纏、八坂瓊之五百箇御統を乞い取り、天の眞名井で濯ぎ、噛然咀嚼し、吹棄氣噴之狭霧に神が生まれました。神を號して、正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊といいます。次に天穗日命。これは出雲臣・土師連等の祖です。次に天津彦根命。これは凡川内直・山代直等の祖です。次に活津彦根命。次に熊野櫲樟日命。合わせて五柱の男神です。
誓約をした際。素戔嗚尊が天照大御神の身に付けていた八坂瓊の五百箇御統を譲り受け、噛んで吹き棄てた息の霧の中から生まれた神です。
「古事記」では
本文では、このように登場しています。
速須佐之男命は、天照大御神の左の御みずらに巻きつけた、八尺の勾玉のいおつのみすまるのたまを求め受け取り、玉の音が揺れ動き触れ合って鳴る音を響かせて、天の真名井に振りすすいで、ガリガリと噛んで、吹き出した息吹の霧から、出現した神の御名は、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命。また右の御みずらに巻きつけた珠を求め受け取り、ガリガリと噛んで、吹き出した息吹の霧から、出現した神の御名は、天之菩卑能命。
速須佐之男命が、天照大御神の右の御みずらに巻きつけた珠を求め受け取り、ガリガリと噛んで、吹き出した息吹の霧から出現した神です。
「古事記」の国譲りの神話では、出雲国の支配者である大国主神が、高天原の天神に支配権を譲り渡すまでの経緯を、さまざまな出来事とともに述べた物語です。高天原の最高司令神・天照大御神が、大国主神に譲渡を迫る交渉役として、次々に使者の神を地上に派遣します。その第一番目の使者として登場するのが天穂日命です。地上に降りた天穂日命は、大国主神に会うとすっかり心服してしまい、使命を忘れ地上に住み着いて、三年たっても報告しませんでした。
そのほか
・天穂日命は、出雲国の有力豪族の出雲氏の祖神です。出雲氏は古代に出雲東部を本拠地とした一族で、大和朝廷に服属してからは出雲臣と呼ばれ、代々出雲国造を務め出雲地方で勢力をふるいました。
・「出雲国造神賀詞」とは、出雲氏が国造に任じられて朝廷に挨拶に参上し、臣従の遺志を証明するときに述べる誓いの言葉です。それによると、国譲りのとき地上に派遣された天穂日命は、地上を駆け巡りその様子を天照大御神に報告します。さらに、自分の息子のアマノヒナドリ命と剣神フツヌシ命を派遣し、みごとに地上の乱れを平定したといいます。こちらではきちんと指名を完遂して、地上世界を平定した偉大な神であるとことが強調されています。
神徳
農業・養蚕
絹糸・木綿の神
祀る神社
能義神社
(島根県安来市)
天穂日命神社
(鳥取県鳥取市)
鷲宮神社
(埼玉県久喜市)
亀戸天神社
(東京都江東区)
牛嶋神社
(東京都墨田区)
新しい知識を得た場合
随時更新予定です。