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リートリンの覚書

古事記 中つ巻 現代語訳 八


古事記 中つ巻 現代語訳 八


古事記 中つ巻

兄宇迦斯と弟宇迦斯


書き下し文


 故尓して、宇陀に兄宇迦斯・弟宇迦斯の二人有り。故先づ八咫烏を遣はして、二人に問ひて曰く、「今、天つ神の御子幸行でませり。汝等仕へ奉らむや」ととふ。是に兄宇迦斯、鳴鏑を以ち、其の使を待ち射返しき。故其の鳴鏑の落ちし地を、訶夫羅前と謂ふ「待ち撃たむ」と云ひて、軍を聚む。然あれども、軍を得聚めずあれば、仕へ奉らむと欺陽りて、大殿を作り、其の殿の内に押機を作り待つ時、弟宇迦斯まづ参向かへ、拝み白さく、「僕が兄兄宇迦斯、天つ神の御子の使を射返し、待ち攻めむとして軍を聚むれども、得聚めずあれば、殿を作り、其の内に押機を張りて、待ち取らむとす。故、参向へて顕し白す」とまをす。



現代語訳


 故尓して、宇陀(うだ)に兄宇迦斯(えうかし)・弟宇迦斯(おとうかし)の二人が有り。故、先(ま)ず八咫烏を遣わして、二人に問いて、仰ることには、「今、天津神の御子がお幸行(い)でになられている。汝等は仕え奉るか」と問いました。ここに、兄宇迦斯は、鳴鏑(なりかぶら)を以ち、その使を待ち射返(いかえ)しました。故、その鳴鏑が落ちた地を、訶夫羅前(かぶらさき)と謂います。「待って撃つ」と云って、軍を聚(あつ)めました。然あれども、軍を得ようとしましたが聚められず、仕え奉らむと欺陽(いつわ)り、大殿を作り、その殿の内に押機(おし)を作り待つ時に、弟宇迦斯がまづ参向し、拝み、いうことには、「僕が兄・兄宇迦斯が、天つ神の御子の使を射返し、待ち攻めようとして軍を聚めましたが、軍を得ず聚められず。殿を作り、その内に押機を張って、待ち取ろうとしています。故に、参向して顕(あらわ)しもうします」と申しました。



・鳴鏑(なりかぶら)
 先のほうに鏑をつけ、先端に鏃(やじり)をつけた矢。飛ぶ時に鏑の穴から空気がはいって大きな音響を発する。鏑矢。鳴矢。なるかぶら。めいてき
・射返(いかえ)す
敵が射かけてきたのに応じて、こちらからも射る。応射する
・訶夫羅前(かぶらさき)
所在未詳
・押機(おし)
踏むと挟まれて圧死する仕掛け


現代語訳(ゆる~っと訳)


 こうして、到着した宇陀に兄宇迦斯と弟宇迦斯の二人がいました。

そこで、まず八咫烏を派遣して、二人に、

「今、天津神の御子孫がお出でになられている。お前たちはお仕え申し上げるか?」と問いました。

すると、兄宇迦斯は、鏑矢でその使者である八咫烏を射って追い返しました。こういうわけで、その鳴鏑が落ちた土地を、訶夫羅前といいます。

兄宇迦斯は、「待ち伏せして撃つ」といい、地域の部族の軍を集めようとしました。しかし、兵士を十分に集めることができず、

「お仕えいたします」と偽り、御殿を作り、その建物の内に踏むと挟まれて圧死する仕掛け押機を作り待っている時に、

弟宇迦斯が先にお迎えに参上し、拝礼して、
「私の兄・兄宇迦斯が、天津神の御子孫の使者を射て追い返し、迎え撃とうとして兵を集めましたが、集めることができませんでした。そこで、御殿を作り、その内に踏むと挟まれて圧死する仕掛けを張って、待ち殺そうとしています。そのため、お迎えに参上して、告白いたします」といいました。



続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。







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