Officer's '70s Theater

'70年代の恐竜的ハイパワー車ファンが昔を懐かしむブログ

633爆撃隊

2010-06-02 16:51:48 | 映画(航空)
Squadron 633

時は第二次世界大戦。ドイツ軍がノルウエーのフィヨルド奥に建設したロケット燃料工場が稼動した。音速で落下してくるV2号によって被害を受けている英国はこれを放置できない。
連合軍の得意な重爆撃機編隊による絨毯爆撃は、周囲の厚い岩盤に阻まれて工場に損害を与えられない。
英国空軍(Royal Air Force)はモスキート爆撃隊による野心的な攻撃を計画した。工場の上で盾になっている岩盤の下部をピンポイント爆撃で崩して、岩で工場を潰そうというのだ。
そのためには低空飛行→垂直旋回→爆弾投下→急上昇という危険なアクロバット飛行が必要となる。英国内で似た地形を探して、猛烈な訓練が始まった。
パイロットが不足しているのでインドやイスラエルなど雑多な人種の混成部隊となっているが、皆で力を合わせて敵を倒す事が大事だという教育的配慮が窺える。
ノルウエーのレジスタンスが攻撃直前に対空砲群を爆破除去する予定だったが、優秀なドイツの情報網はそれを察知するのだった・・・
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デ・ハビラント・モスキートという軽爆撃機はとても特徴的な航空機です。
最大の特徴は木製であること。木材の繊維に樹脂の液体を浸透させて圧縮し固めたもので、FRPの先駆けとも言えます。
ロシアでも同様の部材を使った単座戦闘機がありますが、組立工場で家具職人、ピアノ職人や建具屋を使って組み立てられるという利点があります。戦時中は板金工や機械工を動員出来る数に限界があり、金属機の生産数に限界があるという点が重要です。

戦争中には航空機用のアルミニウムが不足するので仕方なく木製機で代用した感もありますが、結果として出来上がった航空機は「高速と軽快な運動性で戦闘機としても使える万能機」になりました。
爆撃機の他に機首に機関砲を多数装備して地上攻撃機にしたり、高速を生かして偵察機にしたり、機首にレーダーを付けて夜間爆撃の先導機(パスファインダー)や夜間迎撃戦闘機にも使われました。

木製機を作った英国が驚いたのは、「金属部品が占める面積が少ないのでレーダーに映り難い」という事実でした。今で言うステルス性ですが、当時は(現在のような慣性航法装置が無かったので)基地のレーダーに映らないから管制官が夜間着陸誘導できないという理由で欠点と考えられていました。

戦時中に急場の間に合わせる為に作られた木製機はヨーロッパ戦線で連合軍の勝利に大きく貢献しましたが、金属機に比べて耐用年数が短かったので戦後は徐々に数が減ってゆき、静かに消滅しました。
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有名なスターウオーズの「Death Star Trench」デス・スター爆撃作戦のシーンはこの映画の影響を受けて作成されています。
また、この映画の音楽を聴いてからスターウオーズのエンデイング曲を聴くと、大きく影響を受けていることがわかります。
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狭い谷を超低空飛行で抜けるので、ドイツの迎撃戦闘機は断崖への衝突を恐れて限定的な攻撃しか出来ません。しかし岸壁に配置された多数の FLAK 対空機関砲が雨あられと弾幕を浴びせてきますから、まさに命懸けの作戦です。映画でも多数のパイロットが命を落とす悲壮な姿が描かれています。
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この機体のエンジン水冷用ラジエターは胴体と左右のエンジンの間の翼内に配置され、細長い開口部がありますが、そこを後下方に向けて流れる空気を利用して(経路を翼型断面にして)揚力を得る工夫がされています。
のちにF-1のJPSロータス・チームがこの構造をレーシングカーのサイドポンツーンに(上下反転して)導入したことがあります。大幅なダウンフォース効果を得て連勝し、他チームを驚かせました。
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