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ドイツ統一20年、世論はどう評価しているか。

2010-10-05 | 気になったニュース


ドイツ統一20年、
    世論はどう評価しているか。


東西ドイツが統一して3日で20周年を迎えた。統一当時のコール首相は「東独地域も
花咲き誇る風景になる」とバラ色の将来像を語ったが、旧東独地域の復興は遅れ、
経済格差や人々の「心の壁」は今も残る。その一方で、統一ドイツの20年間を肯定的に
とらえようとする世論が支配的になりつつある。

 「ドイツ統一の歴史は成功の歴史だった」

 デメジエール内相は9月22日の会見で「統一後の20年」をそう決算した。
旧東の多くで道路や学校などのインフラ整備が進み、1人あたり国内総生産(GDP)も
約2万3千ユーロ(約250万円)へと統一前の2倍以上に増え、生活水準は多くの点で
旧西に並んだ。

 しかし、「古い諸州(旧西独)」と「新しい諸州(旧東独)」という言い方が厳然として
存在、東西の格差は残る。1人あたりGDPの差は大きく縮んだとはいえ、旧東はまだ
旧西の7割程度。約12%の失業率も旧西の倍近い。

 約40年の分断後に統一されたドイツ。共産主義体制下で発展が大きく遅れた旧東地域の
復興のため膨大な費用がつぎ込まれた。旧西の人は「旧東のせいで自分たちの負担が重く
なった」と感じ、大量失業に苦しんだ旧東の人は、旧西のそうした態度に「高慢」と不満を
抱いた。統一後に生じた東西の人々の「心の壁」はベルリンの壁のようには崩れず、コール
元首相の「花咲き誇る風景」発言も統一の困難さを過小評価していた象徴ととらえられる
ようになった。

 統一20年を前に旧東のプラツェック・ブランデンブルク州首相は「西側の『東を併合
したという態度』が社会のゆがみを生んだ」と不満を代弁し、議論を呼んだ。

しかし、相次いで公表された世論調査は統一ドイツを評価する国民が予想以上に多いことを
示し、関係者を驚かせた。アレンスバッハ世論調査研究所によると、「『花咲き誇る風景』
は旧東に存在するか」という質問に旧東で39%、旧西で40%が「存在する」と答え、
ともに「存在しない」を上回った。また、64%が「いまだ東西の違いを言い続けることに
意味はない」と答えた。旧東で人気のあるズーパー・イリュ誌の調査でも、旧東の75%が
「統一ドイツに暮らすことができてうれしい」と答え、「旧東独のほうが良い国だった」と
答えた13%を大きく上回った。

 最近のドイツはユーロ危機への対処やイスラム系移民の社会への統合、原発延命などの
課題が山積。東西格差は残るものの、社会保障や移民といった問題のほうが多くの国民に
とって現実の課題と感じられていると見られる。

 統一時の外相ハンス・ディートリヒ・ゲンシャー氏は「東の40年の重荷を乗り越える
のに時間はかかるが、かなりの部分は成し遂げられた。『心の壁』を過大評価すべきでは
ない」と話した。

     ◇

 〈ドイツ統一〉 第2次大戦後の1949年、米ソの対立を背景に西側占領地域と
西ベルリンから成るドイツ連邦共和国(西独)、東側占領地域と東ベルリンから成る
ドイツ民主共和国(東独)に分断。89年に東独の「平和革命」でベルリンの壁が崩壊
した翌年、東独諸州が西独に編入する形で両ドイツが統一した。
                           (朝日新聞)


ご存知のとおり、私は世界情勢にも、もちろん無知なので(爆)、
この記事はなるほどなあ、そうなんですか、と読ませていただきました。
でも、日本と比べて、すごく前向きで建設的な国民性だなあと、
うらやましくなったのです。
そして、前向きで建設的であると同時に、過去もしっかりと学んでいるから、
若い世代も賢く、頼もしいというか。
もちろん、日本の若者が悪い、というのではなくて、
教育とか政治がその責めを負うところが大きいですけれどね。

ドイツでは現代史をみっちりと学び、かつての強制収容所などを見学するのに
くらべて、日本では《そこは試験にでないから》などと、現代史は3学期、
ひどいとかすりもしないですよね。
日本で戦争のことを学ぼうとすると、若者が主体的にこつこつと勉強せねば
ならないシステムになっている・・
それは裏を返せば、戦争の愚かさ、悲惨さに麻痺以前に無知である人間を
量産し、当局側が有事の際にコントロールしやすいということでもあるでしょう。
小学校、中学校の修学旅行などにあわせた平和教育だけでは不十分だろうし、
第一、広島・長崎の見学だけではバランスをひどく欠いているといわざるをえません。

話がそれましたが、ナチスドイツを生んだ国の国民として、彼らは過去を深く
反省し、敗戦の結果、祖国分断、そして、統一されたことを、未来にむかって
肯定的にとらえているようで、私はとても感動しています。
もちろん、そこに問題は山積しているのだろうけれども、学ぶべきことが、
今この瞬間にもたくさんあるなあと思うのです。



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2 コメント

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Unknown (momoco)
2010-10-05 04:54:11
こんばんは。

そうですね、同じ敗戦国なのに日本とドイツはずいぶん違う道を辿ってきましたよね。
平和教育に関しては、学生が『もう、ウンザリ』『またそれー!?』とこぼすほど徹底していると聞きますし(これは、教わる側の若者の正直さであって、否定的にとらえるものではないと。一部ネオナチは除きますが)、
そういったドイツの態度が、EUのリーダー的存在の一国として認められている理由のひとつだと思います。

なーんて書きましたが、わたしも歴史には疎くて
ベルリンの壁をハンマーで叩き人々が歓声をあげていた20年前、
すごい事らしいがよく分からん、と
ぼーーッとその様子をテレビで観ていました。

ドイツはもう、東西の格差を乗り越えるでしょうけど、
南北に別れた朝鮮が今後統一される場合、ドイツ以上の難題があると言われていますよね。
どうなるんだろ‥?
まあ、そうなるまでの経緯こそ心配ですけど…。

西と東とは言いますが、元東側の国々がマックだらけになるのは嫌だなあ、と思いつつ
それは観光客でしかないわたしの見方であって、
豊かさと便利さを求めてきた日本人が言うセリフではないですかね。
でもやっぱり、寂しげな雰囲気でレトロでハイセンス(!)な元東側に心惹かれます。
返信する
momocoさんへ ()
2010-10-06 09:42:34
おはようございます。

ドイツは合理的であると思うのですが、理知的でもあると思います。

>学生が『もう、ウンザリ』『またそれー!?』と
>こぼすほど徹底していると聞きますし(これは、教わる側の若者の正直さであって、
>否定的にとらえるものではないと。

わかりますね。でも、とてもうらやましい。
私も現代史はとんとわからん。
いちばん重要な明治~の歴史が始まる、幕末の大政奉還で3学期が終わる感じですよね。
わざとだと思うけれど(爆)
なぜそうなって行ったか、現代からさかのぼる教育ってアリじゃないですか??
私塾で誰かに教わるならそういうのがいいなあ笑

ネオナチは怖いですけれど、日本の、街をときどき走ってる、
大きな音をたてる車みたいな活動はできないそうですね。
海外から見れば、あれは何だ?と思うでしょうね。
話がそれました、すみません。

>南北に別れた朝鮮が今後統一される場合、ドイツ以上の難題があると言われていますよね。
>どうなるんだろ‥?
>まあ、そうなるまでの経緯こそ心配ですけど…。

太陽政策と言ってたかと思うと、緊張関係にぶり返したり、
南北の関係はそれこそ、緊張しますね。
その経緯で、テポドンがどうの・・になったら、対岸の火事ではすまないし、
正直、恐ろしいなと思います。

>豊かさと便利さを求めてきた日本人が言うセリフではないですかね。

難しいですよね。
それは環境問題にも通じることであって、
今から15年前に放出されたフロンガスがいま、オゾン層を破壊しているのに、
発展途上にある国に環境規制をかけているのは、そのときの
フロン放出国でもあるわけですから。
世界がひとつになる、って難しいですね、
マックの風景、京都みたいに色を変えて目立たなくするとか(そ、そんな問題じゃなくて)

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