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乙一!ありがとう、「暗いところで待ち合わせ」!!!  2006-12-11

2015-08-20 | 本・映画・ドラマのレビュー&気になる作品


乙一!ありがとう、
「暗いところで待ち合わせ」!!!
         2006-12-11




≪交通事故によって視力を失ったミチル(田中麗奈)は
父親(岸部一徳)とふたりで静かに暮らしていた。
ところが、そんな最愛の父が突然、病死。ミチルはたったひとりで暮らしはじめる。
身の回りの家事を一人でこなすミチルの生活は、一見、静かで穏やかにみえたが、
そのこころのなかは不安と孤独がいまにもあふれだしそうだった。
そんなある日、一人の男が彼女の家にそっと忍び込む。
男はミチルの家の目の前の駅で起きた殺人事件の容疑者として
警察に追われるアキヒロ(チェン・ボーリン)。
家の中に微妙なひとの気配を次第に感じ始めるミチル。
殺人事件をきっかけに、2人の不思議な共同生活がはじまった・・・≫
(映画パンフレットより引用)

冒頭から本当に静かな映画なので、映画館のなかも静まり返っていました。
ミチルは一人暮らしなので、ほとんど言葉を発することもありません。
息をつめていなければならないような、
観客がひとつの塊となったような、
そんな雰囲気のなかでものがたりがすすんでいきました。

父親はミチルのために点字を習得、
右から左へと逆に打ち込まれた横文字の手紙を、
ミチルは父の書斎のひきだしに、大切にしまっていました。
そしてそれをそっと指でなぞって、父を想って泣くのです。
孤独を思って泣くのです。
私の目から涙がすーーーーっと、流れてとまりません。
なんで泣くのか、自分でもわかりませんでした。
でも、わたしは孤独なミチルに自分を重ねていたのだと思います。
目が見えようと、表面上、生活は穏やかに流れていても、
誰もが、こころの奥には、根源的な孤独と不安を抱えているでしょう。

アキヒロが部屋の片隅でひざを抱えて、彼は息をひそめています。
トイレを使用するわけにもいかず、
夜中になって、彼はペットボトルのなかにおしっこをし、
窓からそっと流すのです。(こういう描写がひとつあるとリアルです)

ミチルはときどき外に連れ出してくれる幼馴染の親友から、少しずつ自立することを求められます。
不安なこころを抱えて、杖を携え、道路へ出てゆくミチルは
車のクラクションに動揺し、道のまんなかで立ちすくんでしまうのです・・・。

観客はあるときはミチルの傍らで、あるときはアキヒロの傍らで、
どきどきしながら相手をうかがいます。その配分は絶妙でした。

ネタバレになるので、プロットには触れませんが、
不安と孤独を抱えていたアキヒロは最後にこんなふうなことを言います、
「ぼくはいつも自分がしっくりくる場所を探していたが、そんなものはどこにもなかった。
本当に大事なのは場所ではなく、ぼくがここにいていいんだと存在することを許してくれる誰かなのだ」と。

この映画は、ミステリの部分も含んでいて、静かにではあるのですが、ぐいぐいと
観客をひっぱってゆきます。
たいそうなことは言えません、
ひとりでも多くのひとが観て下さい!と訴えることしかできないのですが、
こんなに素晴らしい映画の原作を書いてくれた乙一には、感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう、乙一さんっ!!!

田中麗奈は静かにていねいに不安げに、ミチルを大切に演じていて、拍手をおくりたいと思います。
また、原作と違って中国人と日本人のハーフという設定のアキヒロを演じるチェン・ボーリン。
息をひそめているので言葉のない演技となりましたが、
端正な顔の、強い眼力(めぢから!)に、引き込まれました。

みなさん、万障お繰り合わせの上、ぜひぜひ、観てください!
お気に召さない場合、クーリングオフ期間内なら、代金をお返ししますって。
自信ありますもん、癒されますから。


追伸です、
映画の主題歌≪underworld≫はメレンゲってグループの曲ですが、とても素敵ですよ。
雰囲気的にはブリリアント・グリーン系と私は思っていますが、
好きなんですよ、ああいう癒し系。
アジカンとか、バンプとかも好きですが・・・。







 予定より一週間先送りになった、乙一原作の「暗いところで待ち合わせ」。
観てまいりました、最高でした!





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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見たんだ~ (メメント・モリ)
2006-12-11 05:53:48
 「クラマチ」、見たんだあ。うらやましす。このところ日本映画はいろいろいいのやってるけど、サイフの中身がついていかねえよ(笑い)
 台湾の俳優さんだっけ、かっこいいらしいですな。アキヒロ? このひとに同情できなかった、映画はこけるって思ったもん、原作読んだとき。
 メレンゲってよさげですね、探してみよっと。
返信する
見たんだ~ ()
2006-12-11 06:26:49
 いやはや、デスノ2部のニアはこの
「見たんだ~」のせりふだけで、存在感ばりばりだよね。月はLよりニアの方が憎かったんじゃない? 2代目Lを名乗った時もニアにはばかにされたしね、たはは、月のプライドずたずだだったよね。だからアンチニアって多いんだよね。と、ここでは関係のないことを長々と語ってしまいました。
 メレンゲ、よさげです!!
1曲でツボにはまりました。また、源流をデスノートとして、私のお気に入りが増えそうです。乙一だって、デスノの原作者?と思わなきゃ、ヘンな名前、で終わっていましたもん。好奇心のアンテナは立てておくべきですわ、松山ケンイチくんの習性?と同じく・・・。
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見たんだ~ (さたつ)
2006-12-11 08:10:26
タイトルつられてみました
見てきたんですね。
樹さんの記事を読んだら、見たくなりました!
私のブログでは 旧作になったら見る ってかきましたが、新作で見ます!
映画館行かんのかい
だってね キレイな映画館ないんだもん
ゆったり見たいので、ごめんなさい。借ります。
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はじめまして★ (ともみ)
2006-12-11 11:14:40
こんにちは。Lで検索したどり着いてから、実は毎日ロムっておりました者です・・・。樹様の書く言葉が、とても好きなんです(いきなり告白笑)それから惹かれるものも似ているようで、いつか書き込みたいなぁと思っていたのですが勇気がなく、今日まで至りました。でも今日思い切ってみました!私、「暗いところで待ち合わせ」もメレンゲもバンプもアジカンも大好きなんです。もちろんLも松山くんも。そして、ひきこもり探偵の鳥井くんも。樹様のブログに出会ってなければ、この小説を手に取ることはなかっと思います。心にあったかいものが確かに生まれ、とても愛しい本になりました。だから出会わせてくれたあなたに感謝の気持ちを伝えたいとずっと思っておりました。ホントにありがとうごさいます。やっと言えました笑。
なんだか長くなってしまいごめんなさい・・・。私事ですが、今日はメレンゲのライブに行って参ります。とても素敵な音楽を奏でるバンドですよ、是非他の曲も聴いてみてほしいです♪また遊びにきますね!では。
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Unknown (ヤマモト)
2006-12-11 20:09:31
樹さんの文読んで、更に観たくなりました^^
静かな映画なんですかー良いですね!!観客がひとつの塊ですか…素敵です。
田中さん好きなので、演じ方が良かったとなると本当に観たいです。

地元の映画館でやってるようなので、土日に観てくるかもです^^ でも今観たい映画が多くて大変ですよ…
ただ乙一さんの作品、凄く好きになったのでこれは観てみたいです。本当におすすめして下さって感謝です!!
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さたつさん、見てちょ! ()
2006-12-11 21:38:40
 この映画、DVDまで待つんですか、マジで?なんてうそだぴょん。大丈夫ですよ、大画面で見なくても良い映画ですから。
両手に包んで見てあげてください、なんて言ってみたわ、きゃ。
でもさ、チェン・ボーリンはかっこいいですよ、賞味期限は切れないと思うけど、彼の美しい瞳をみつめてほしいです
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ともみさん、ラブです! ()
2006-12-11 22:04:44
 東京からお越し、ようこそ~
ですよね、メレンゲのコンサート、東京ですものね。
 ありがたいお言葉、いっぱいいっぱいいただきまして、ありがとうございます。会社でお昼休みにカキコ拝見しまして(笑)、レスしたい気持ちで、きょうはダッシュで帰ってきましたけど、ああ、今頃、メレンゲなのね、とため息つきつつ、Nanaに突入しちまいました。SHINちゃん、早くでておいで~
 鳥井を愛でてくださるひと、出現、ラブです!鳥井がかわいくて、かわいそで、もうホントにたまりません。ともみさんもそうですよね。今日、坂木司のサイン本買ってしまいました、1冊持っているのにもかかわらず、です。このひとったらもう、・・・。坂木司とサインしてあるのを、鳥井真一って書き換えてもいいですか?(笑)羊さんの絵が添えてありましたよ。
 そうですか、ほんとに私と好みがぴったりですね、怖いくらいです。B型一直線の私は結構、守備範囲が狭いので、ともみさんのお気に入りとか興味とか、いろいろ教えてくださいね。PC苦手で、基本形以上に進めない、こんな場所でよかったら、ぜひぜひ日に何回も遊びに来て、何回もカキコしてくださいませな。もちろん、メレンゲのコンサートの模様、聞かせてくださいね。うらやましす。
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ヤマモトさん、泣いちゃうよ! ()
2006-12-11 22:21:02
 感受性豊かなヤマモトさんのことだから、きっと映画の途中から涙がとまらなくなると思いますよ。私なんか、泣き腫らした目でメレンゲのCD、映画館の売店で買いましたから。売店のおねいさんにも、いい映画をありがとうってお礼を言いそうになりました。わけわかんない、困ったチャンです、私。
 田中麗奈さん、すてきなひとですよね。芯がきりり、って感じ。でも、クラマチでは心細げな、それでいてがんばろうとする姿が痛々しくて、いじらしくて、新境地開拓ですよ、なっちゃん!
 上映期間が短いかもしれないので、気をつけてくださいね。
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ヤマモトさんへ、追伸ですっ ()
2006-12-11 22:26:30
 そうです、堤さんが素敵だったドラマは「ピュア」でした。アートも素敵だったのを思い出しました。阿部サダヲ主演の舞妓haaaan(これで合っているのか)、堤さん、関西パワー炸裂しそうですね。堤さんのぼけ、つっこみは大阪人のなかでも群を抜いていますよ!ママ様にもよろしくお伝えくださいまし!
控え目SHINちゃん、カワユス!
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邦画史に残る名作 (なんといっても女優の田中麗奈子)
2006-12-20 22:08:24
そうそう、見ないと後悔します。見ていて涙が溢れました、確に。お乗り遅れのなきよう
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