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ニコ動「リア充への道解決編」(前編)

2010-10-30 | 気になったニュース

★★★超絶に長い記事なので、お時間許すときにじっくりとお読みいただければ幸いです。

ニコ動
「リア充への道解決編」(前編)

10月14日夜、前回大反響を呼んだ『ニコニコ動画』の生放送「ひきこもり社会日本」の第2弾「リア充への道(解決編)」に再び出演した。

 今回は、新たに「引きこもり」問題に詳しい精神科医の斎藤環氏も加わって、バージョンアップ。元2ちゃんねる管理人で、ニコニコ動画を運営する「ニワンゴ」取締役の西村博之(ひろゆき)氏とともに2時間余りにわたり、話が弾んだ。

 番組の途中からは、自ら元「引きこもり」当事者で、彼らを対象に外見から変えていこうという支援活動を始めた、引きこもりトータルサポート研究所「サンライズ」の山口真由美さんも飛び込み参加。視聴者数も3万2千人を超える反響ぶりで、議論は視聴者からの質疑応答を経て、最後は笑いで終わる?という、思わぬ方向へと展開していった。

 ネット動画の生ライブならではのやりとりでもあり、もったいないので、当日の印象に残った議論の中味を記しておきたい。

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斎藤「最近、疲弊し切っちゃって、すっからかんになっちゃう人が多い。引きこもっている人たちの気持ちを聞いてみると、空っぽになっちゃった感じというか、枯渇しちゃったみたいな感じになるらしいんです」

ひろゆき「それは、メシ食ったり、寝たりしても治らないんですか?」

斎藤「人間関係って、空気みたいなもの。引きこもっていると、そこだけ絶たれちゃう。食糧や睡眠を補給しても、人間関係が補給されていないと、なんか枯渇しちゃうんですよね」

ひろゆき「引きこもる前、枯渇してなかったやつは、友人に会うと増えて、友人に会わなくなると減る状態だったんですかね?」

斎藤「親密な人間関係じゃなくても、毎日、ワサワサ人がいるところにいるだけでも、プラスらしいんですよ。実際、入院させただけで、元気になっちゃう人って、いるんですよね。多くの場合、人に触れていると、何とかなる」

ひろゆき「そしたら山手線に乗っていたら、1日中(人に触れていられる)」

斎藤「あると思いますよ。ただ、事前に予測すると、同時にストレスでもある。やはり、出ないでいようという判断が、なかなかやめられないのではないか」

実際、筆者が取材してきた当事者の中にも、毎日、図書館に通っている人は多い。列車に乗って1人旅する人もいるし、山手線でグルグル回るのが好きだと話していた人もいたっけ。

ひろゆき「空っぽになるまでは、だんだん減っているなという感覚はあるものなんですか?突然、俺、空っぽになってるみたいになるんですか?」

斎藤「急に気づくみたいですね。朝、起きられなくなってしまうパターンが多い。十数時間眠っていても起きられない。なんで、こんなに眠いんだろうって」

 そういえば、「コップの中に水が少しずつたまり、それが一気に溢れ出す感じがした」と表現した当事者もいた。連日、徹夜で仕事を続けるなど、一生懸命無理して頑張ってきた人が、「脳の中で、プチっと何かが切れる音がした」などと明かす。

斎藤「ずっと頑張って持ちこたえるんだけど、いざストレスが消えてしまったとき、たまたまそこにネトゲ(ネットゲーム)などがあったりすると、完全にそっちの世界に行ってしまうんですね」

ひろゆき「じゃあ、とくに頑張らないで、ダラダラ暮らしている人は突然、“オレ、ダメだわ”みたいになるわけではないんですか?」

斎藤「ダラダラできればいいんですけど、人だかりの中で慢性的に緊張してる人とか、集団の中で常に孤立状況にあると、そのストレスはハンパじゃない。日々、人のストレスを放射線みたいに浴びると、突然倒れてしまうみたいなことがあるようにも思います」

■ 環先生のたとえ話は、いつ聞いてもとても面白い。結局、力の抜き方がわからないと、いつも緊張していることになるわけだ。
 ここから環先生の話は、文化的背景へと広がってゆく。実は、海外にも「引きこもり」は存在しているという。

ひろゆき「韓国にもネトゲ廃人、割といますよね?」

斎藤「韓国はものすごく多い。韓国は2年間、兵役があるので、帰って来てからネトゲにハマって、引きこもる」

ひろゆき「ストレスがあって、ゲームに逃げるというのは、日本の構造と変わらないですね」

斎藤「日韓で共通するのは、儒教文化圏。家族主義なんですね。中国、ベトナムも儒教文化圏ですが、いちばんインフラが整っているのは、日韓しかない」

ひろゆき「儒教文化圏で、インフラが整っている国は、引きこもれる余裕があるということですか?」

斎藤「家族が子どもを大事にするんですよ。儒教文化圏は、ギリギリまでメンバーを支えようという美風がある」

 実際、日本では、年間3万人を超える自殺者の理由にも見られるように、家族や会社のために自らが犠牲になることを美徳とする“ハラキリ文化”が、いまも蔓延している。

斎藤「先進諸国にはどこでも、不適応な若者はいっぱいいるんですよ。イギリスでは、BBCの統計によると、26歳以下の“ヤングホームレス”は、あの人口で25万人います。ところが、日本の“ヤングホームレス”はまだ1万人もいないはず。適応できない若者はどこへ行くのか?という話です。ドロップアウトしたら、路上に行くのがイギリスで、日本は家にかくまってくれるんですね」

ひろゆき「日本は、家の雰囲気が悪いということですかね?」

斎藤「それは、叱りながらも、抱きしめてくれますから。“このロクデナシが!”とかいいながら、洗濯してご飯も作ってくれる。これは、さすがに抜けられない。日本的ダブルバインドです」

■ そうはいっても、日本でもリーマンショック以降、経済的な余裕がなくなってきているはず。

斎藤「最近、全世界的に、パラサイトが増えているんですよ。面白いのは、各国ごとにあだ名がある。イタリアは『バンボッチョーニ』と呼ばれている。“大きなおしゃぶり坊や”という意味です。イギリスでは『キッパーズ』といます。“親のポケットの中で、年金を食いつぶす奴ら”という意味です(笑)」

■以前、紹介した「ニート」以外にも、海外には頭文字をつなげた言葉が溢れているらしい。環先生の話は続く。

斎藤「アメリカでは『ツイクスター』といって、アダルトとアドレッセンスの間という意味の芸のない名前があります。オーストラリアは、『ママホテル』。韓国は『カンガルー』といって、袋の中にいるという意味です」

ひろゆき「母親が守ってくれるかどうかが重要なんですか?」

斎藤「大きいですね。母親は見放さないかどうか、あるいは母親が抱きしめて離さないか。積極的に抱えないと、居られない。やはり皆、申し訳なく思ってますから」

ひろゆき「ということは、逆に父子家庭には、引きこもりはないんですか?

斎藤「いや、結構ありますよ。漫画の『メーテルの気持ち』は父子家庭だったと思う。まあ、あれは漫画だからいいんですけど(笑)私が診てる中にも、結構あります。優しいお父さんが多いですね」

ひろゆき「じゃあ、親が優しいと、引きこもる確率が高くなる?」

斎藤「小言ばかりいっても、本質は優しいんですかね。面倒見ちゃうんですよ」

■ 宗教的背景の違いもあるように思える。

斎藤「大きいです。EUで、同居している成人が多い国は決まっていて、イタリア、スペイン、アイルランド。カトリック文化圏。礼拝やミサ、クリスマスは家族全体で行おうとします。家族が見放さない。スペイン、イタリアは日本と同じで、30歳代までの男性が同居している割合は70%くらいいます」

■ なぜ、パラサイトの割合が上がってきたのだろうか。

斎藤「経済的な理由です。世界同時不況で、1人暮らしが非合理的。教育期間も長い。皆、大学院まで行っちゃうので、その間、親が面倒を見なければいけなくなる」

■ 各国の福祉政策の問題もあるという。

斎藤「フランスでは失業手当が多過ぎて、働かないほうが裕福」

ひろゆき「働いたら負け、みたいな社会になっているんですね」

斎藤「イギリスは、同居していないと手当が出なかったと思います」

ひろゆき「それはますます同居が増えますよね。別に同居自体が悪いことではないと思いますけど」

斎藤「イギリスのホームレスが増加している状況を何とかしようと思ったら、同居させるのが手っ取り早い。イギリスではコネクションという組織があって、そのスタッフが個別にアプローチして、就労相談をしている。日本は、部屋から出てこないので、訪問支援しようにもできないんですよ」

ひろゆき「どこにいるかわからないんですか?」

斎藤「いや、ドアの向こうにいるのはわかるんだけど、強引に押し行ったりはできないじゃないですか。なので、辛抱強く外で話し合いをして、何とか誘惑しようみたいなことです」

ひろゆき「いちいちテクニックがいるから、面倒くさい」

斎藤「時間かかるし、効率悪い。逆に、家族サポートを手厚くすれば、間接的だけどうまくいく面があると思う」

 この後、解決編の結末は、次回紹介したい。

発売中の拙著『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)では、このように、いまの日本という国が、膨大な数の「引きこもり」を輩出し続ける根源的な問いを追い求め、当事者や家族らの語る“壮絶な現場”をリポートしています。ぜひご一読ください。
                                                     (ダイヤモンドオンライン)
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外国の傾向、まったく知らないので、びっくりしました。
「ママホテル」「カンガルー」など、
新しい言葉ではなくて、身近でわかる意味だから、
ひきこもりのひとに対する辛らつな視線を感じますね。
易しい言葉で、でも内実が語感にあらわれない「ニート」とはえらい違いです。
だからといって、日本でも「ママホテル」とか「カンガルー」って呼べ、と
言うわけではまったくありません。
これは日本だけの問題ではなくて、世界規模、ただし先進国で?の傾向なのだと
受け流すというくらいで・・。
でも、ちょっと客観的にとらえてみるのもいいですよね。
内側へ内側へ、窒息していくような事柄ですが、
当事者、家族ともに、なんとか解決したいという状態、
自分だけじゃないんだ、日本だけじゃないんだと、思うのも必要なのでは。
みんなの問題なんですよね。

当事者でないからそんなふうに高みの見物を決め込めるんだと、
思われるかもしれませんが、すべてのことには当事者になれないんですから、
理解を深めたり、妙な先入観をもたないように、情報は共有したいんです。

宗教観とか、その国の制度とかによっても、その状況が違うのは興味深いです。
家族が優しいから抱え込めるのであれば、
その家族を誰が責められるでしょうか。
ひょっとしたら家族の成り立ちの最後の砦かもしれないですよね。

後編も拾えるといいなと思うのですが、
とりあえず、前編をお知らせしました。
超絶に長い記事にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。




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