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角川文庫L図書賛同企画第10弾≪ジョゼと虎と魚たち≫(まろうさぎさん)

2008-11-15 | 本・映画・ドラマのレビュー&気になる作品

角川文庫L図書賛同企画第10弾です。
まろうさぎさん、いつもありがとうございます。
同志よ、まだまだだよ、続くのだ!!!


角川文庫L図書賛同企画第10弾
   ≪ジョゼと虎と魚たち≫(まろうさぎさん)




<選んだ本>
ジョゼと虎と魚たち(田辺聖子)

<選んだ理由>
「人セク」対策として、
妻夫木さん主演の映画を見ていたけれども、
そういえば原作を読んでいなかったことに気付いたため。
(それにしても、妻夫木さんのベッドシーンは、ビックリしました。
それまで、実を言うとホリプロにはアイドル事務所のイメージが
あったのですが、本気で俳優をやらせているのだな…と実感し、
「人セク」への覚悟を固めたのでした。
今となっては、その覚悟を決めた自分が、おかしいんですけれどね。)

<感想>
表題作に関しては、映画の方がビターでした。
原作は、「完全無欠な幸福は死そのものだ」と思うジョゼが
(アタイたちはお魚や。「死んだモン」になった)と思う、
ある意味エロティックなシーンで終わる。
この短編集の中でも屈指のハッピーエンドのような気がします。
さて、一番惹かれたというか、やられたと思ったのが「うすうす知ってた」
主人公の梢は、まさに私だなぁ。
音楽を聴いて涙を流しながら、
(この格好は美しく見えるかしら?おなかが出っぱっているのでは?)と、
泣きながら腹部をひっこめて片手で腹の肉をつまんでみたり、
家族と世間の前では年相応の世故たけた女にみえるように努力して、
そしてそのまま世渡りできるような気がしていたけれど、
内実は中学生と変わりない、なんて描写はそのまま私のこと。
妹の結婚話にドキドキして、いろいろな想像をするけれど、
その想像だけで満足してしまい、現実の男とは向き合わないで
終わるかもしれない。
そんな自分を「うすうす知ってた」梢。
ああ、これだから、この人の小説を読むって、イヤなんだよなぁ。
自分で目を逸らしていた部分をつきつけられる。
でも、それがある種爽快な部分もあって、
今回も苦笑いしつつ読んでしまった。
この短編集は、そんなクスクス笑いと苦笑い、
ああ、私もそうだよなぁと、主人公に自分を重ねて読める気がします。
実生活は堅実という名の臆病さで日々を送り、
頭の中でいろいろ想像する生活をしている人には、
共感できる部分が多いのではないでしょうか。


まろうさぎさん、いつもレビューをありがとうございます。
今回もとても味わい深いレビューで、
女性として深い共感を覚えました。

「完全無欠なる幸福は死そのものだ」、痛烈な言葉ですね。
セクスはその象徴だとも言われていますし。
相手とふたりで幸福を求めるのではなくて、
完全なる空白の瞬間、つまりは死の瞬間を体感するということで、
その耽溺を諌めるのは理にもかなっているのでしょうね、
生からひきはがす、いわば暴力として・・
愛することの究極が絶対的な孤独だとは皮肉なものです。

昔、数人で話していたとき、
自殺の話になって、入水自殺の事に触れて
「私はいやだ、自分が海をよごしてしまう」と言ったら、
年長のロマンスグレー氏に、
あとでホテルに連れてゆかれそうになったことがあります(笑)
女の子のそうゆう気持ちはせつないんですって(笑)

まろうさぎさんのレビューを読んでいたらきゅんとなりました、
清楚でまっすぐ前を見てるのに、ときどき、自分を振り返って
恥ずかしそうにしてる姿の美しさ・・・
本を読んだことがないので、この印象は違っているのかもしれない
ですが、
きっとまろうさぎさんこそがそんなふうに感じさせてくれたのだと
思います。

妻夫木さんが最近、ぐっと身近に感じられてうれしいこのときに、
原作と映画をあわせて味わいたいものです。

まろうさぎさん、ほんとうにありがとうございました。









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6 コメント

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まろうさぎさんへ ()
2008-11-18 07:49:56
おはようございます。

お預かりしてから日数がたってしまったのに、
丁寧にコメレスをありがとうございました。
レビューするひとが固定化してもだいじょぶ!
がんがん行きましょう、
そのうち角川100冊をとっぱらってしまっても可、とかになるな。たぶん(笑)
返信する
Unknown (まろうさぎ)
2008-11-17 23:07:55
まじょっこさん
コメントありがとうございます。
短編集で、いろんな愛があって、どれかには当てはまる自分がいる気がします。
実はジョゼが一番感情移入しにくかったかも(笑)

「むかし・あけぼの」や「文車日記」は古典を気軽に楽しむ、いい案内書になってますよね。
私もよく読み返してます。
返信する
Unknown (まじょっこ)
2008-11-16 22:59:32
まろうさぎさん、こんばんは☆

私もこの本読みました。
まろうさぎさんのレビューを読んでもう一度読みたくなりました。
ありがとうございます!

私は田辺聖子さんの「むかし・あげぼの」という枕草子の本が大好きです。
すごく共感できます。


返信する
Unknown (まろうさぎ)
2008-11-15 22:39:30
>樹さん
いつも素敵な感想をありがとうございます。
そうですね、愛をわかちあう行為の一番果てには、死と同じものがある。だから、エロスとタナトスは同義なのかもしれません。
入水自殺をイヤだと思う樹さんの理由は、私にも切ない。そのロマンスグレー氏に同調するわ(笑) 進化の途中で海から離れてしまった私たちには、そして土からも切り離されている現代日本人の私たちには、自然と一体になって戻っていける場所などないんだなぁ…(涙)
妻夫木先輩にかわいがってもらえている様子が見えて、ホント、嬉しいですよね。2人の共演が見たいです!!

>Rainyさん
コメントありがとうございます。
私は、今までの生き方に(今のところ)満足してますし、人生をやり直しても、今までみたいに生活して、本を読むことで色々想像するんだろうと思うんです。
でも、こういう、まさに自分!という主人公の小説を読むと、「やられたなぁ」と苦笑いしてしまいます。田辺さんの本は、カモカのおっちゃんがとにかく好きで、ああいう旦那さん、憧れます。

>さちさん
コメントありがとうございます。
そうなんです。人セクは原作を読んで仰天してこれは先輩のラブストーリで予習せねば!と「ジョゼ…」と「春の雪」を見ました。
妻先輩は、本気でラブシーンでしたから、頭の中で松山さんに何度も置き換えて訓練しましたよ(笑)
「先送り」って、生活の知恵みたいなところもあるんですが、自分でも「うすうす知ってた」ことを、小説の主人公に言われてしまうと、「タハハ…」と笑うしかありません。確かに他人に言われたら「カチン」と来て、受け入れられないことでも、本だと自然に納得することは多いですよね。
返信する
素敵なレビューです! (さち)
2008-11-15 22:11:07
こんばんは!まろうさぎさん。
おおっ、こちらの本は「人セク」対策としてお読みになったんですね。
私は、まだ「人セク」を見ていません。見る覚悟が出来ていなくって…ですね(汗)

「ジョゼと虎と魚たち」題目だけ見ても、不思議な感じで、一体どんな内容なんだろう?と興味が沸きます。
>映画の方がビターでした。
映画と原作を両方見るのも、違った見方が出来て面白いです。

「うすうす知ってた」の梢。
私も、この子と同じだ…と思ってしまう箇所がいくつもありました。自分で気が付いていても、知らないふりをして先送りになっていることが結構あります。

>自分で目を逸らしていた部分をつきつけられる。でも、それがある種爽快な部分もあって、今回も苦笑いしつつ読んでしまった。

まろうさぎさんのこの感想を読んで、ヒトに言われるよりも、本を読んで気が付いたことの方が、自然に受け入れられる様な気がしました。
いつも、素敵で中身の濃いレビューをありがとうございます☆

樹さんは、普段の会話でも、感情豊かなお話を正直になさる所に、ドキドキしました!
樹さんやまろうさぎさんのお書きになる文面には、私からは全く出てこない素敵な言葉ばかりで、とても憧れます。
返信する
ありがとうございます♪ (Rainy)
2008-11-15 19:31:30
こんばんは☆
無意味に仕事中です・・・

素敵な感想をありがとうございます☆
この本、田辺聖子さんだったんですね。
田辺さんの本が好きなので、
ぜひ読んでみたいと思いました。

>実生活は堅実という名の臆病さで
日々を送り、

これ、私もそうだな~って
思いました。って、堅実でも
ないような気もしてきたり・・・
ネガティ部はこれだから困るわ・・・
と1人でいろいろ考えてしまいました。

樹さん、グレー氏に拉致されなくて
良かったですねー!誌的な感想に
そこまで反応されるのは困りますよね~!
返信する

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