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「笑う赤おに」雀野日名子 ネタバレ感想

2021-11-26 | 小説・漫画他
先日、ふと「トンコ」「あちん」等が面白かった雀野さんの本を、ずっと読んでいなかったことに気がついて検索してみたら、現在は違う名前で(解りませんでした。知りたいな)ルポライターになっているのですね。
小説家時代に発表した最後の作品(2016年)が本作ということで読んでみました。

笑う赤おに
うわぁーー、これは重い・・・
年金や生活保護の不正受給をメインにしたお話ですが、
「ナマポ」というのは生活保護を不正受給している人のことだそうです。

高齢者福祉に力を注ぐA市。A市の団地で、老女と中年男性の変死が見つかる。

●小学生の娘を持つ依子(娘が下校後に禁止されているゲームセンターに行ってガチャガチャを買っていて、それを手伝ってくれたらしい謎の怪しげな中年男性に狙われているのでは?と気がつく。彼女はネット掲示板のヘビーユーザー。ネットで偶然誰かが「自分は2人を殺して今A市にいる。次は3人目か・・」と言っているのを読み、ちょうど近くの町で2人の少女が殺された事件が頭にあって、これを書いた人間が犯人に違いないと思い、馴染みの掲示板で情報集めをする。

●賢太郎 50代の会社員。技術畑だったがリストラ要員からの営業を経て、現在はロボット部門「ぺぺちゃん」の巡回点検をメインに働いている。
ヴィレという老人や外国人、生活が苦しい人が多く住む集合住宅で、偶然町で何度か見かけた老女とその息子(いつもにやにやしてブランド品を着ている)の住む家を発見、循環中にチェックするようになる。
彼には外国に放浪の旅に出た20代の娘と会社を辞めてから家にニート状態で住む息子が心配の種。

●亘 大学を中退した後うまく行かず現在は蕎麦屋でバイトをしている。同じバイト仲間に誘われ、ナマポで楽をしている人間をギャフンと言わせたいがために、ヴィレに課金アプリの宣伝チラシをまく。

ラスト、告白文の手紙ですべてが明らかになりますが、長い!!

★以下ネタバレ★
タイトルの赤おにですが、犯人と思いこまれた赤荻という苗字から来ています。ヴィレの赤荻さんの部屋は2軒並んで同じ赤荻さんだったそうです。
結局、賢太郎と依子は赤荻さんを犯人だと勝手に思いこんでいたのでした。
依子に至っては、海外の掲示板に飛んで、そこで画像を貼りまくってました。
犯人扱いされた男性の隣の部屋の男が少女アプリで課金しまくっていて、カードを隣人が親切心から貸してあげたこと(ありえんでしょう) その男と同居していた女性が急死したことで、犯人は死んだと世の中では思われ、当の赤荻さんとその母ミチさん(病気で記憶が混乱したりして、たまに認知のような状態になる)と同居していた女性の3人は、どこかに引越して行ったようです。この謎の40歳の女性こそが、2人殺して来たとネットに書いた人で、殺したというのは実の親で、実際に手を下したのではなく、介護に疲れ果てて、救急車を呼ばずにそのまま亡くなるのを見ていた、という状況でした。
彼女が赤荻親子と知り合ったのは、偶然ある時トイレで困っているミチさん(老女)と息子とに出会った事からでした。
彼女は精神的なストレスから酷い円形脱毛症になりウィッグ、バンダナや帽子をかぶっていました。赤荻息子は良い息子で人間で、ロリコンではなく、彼が働いていたえIT関係の仕事で、そういう仕事を扱っていただけでした。
また亘は、ナマポをつるし上げよう!という煽りをしていましたが、自分の実家が近くにショッピングモールが出来た事により家業が傾き、彼が知らないうちにナマポになっており、それを世間でつるし上げにされてしまうのでした。
以上

一杯色々な人が出て来て、それぞれ色々あって、もう・・・おなか一杯過ぎて消化不良起こすレベルの内容でした。読んで、どよーん・・・。小さな字でびっしり、内容もヘビーですが読むのがとても大変で3日がかりだったし・・。

これだけの踏込んだ現状、取材力や筆力も凄くて圧倒されます。ここまで行政や法律とかに踏込んで詳しく書かれた小説って読んだ事がなかったので・・・。
ルポライターとして、きっと活躍されているに違いないと思います。

笑う赤おに 雀野日名子 2016-01-20

雀野さんの「トンコ」「チャリオ」「あちん」の感想
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