久しぶりに湊かなえさんの本を読みました。
最後に読んだのが1年くらい前で「白ゆき姫殺人事件」だったのですが・・・がっかりでした・・。
でも、本作は、とても良かったです!4つ★半
6つの短編「みかんの花」、「海の星」、「夢の国」、「雲の糸」、「石の十字架」、「光の航路」が収められています。
最近読んだ桜木紫乃さんの「ホテルローヤル」が、湊さんにおける本作「望郷」ってところでしょうか。
湊さんご自身が因島出身(後に尾道と合併したんですね)ということで、そこで育った人だからこそ解るような内容も多く、とても読み応えがありました。
湊さんが本作を書くのは、他の作品とは違って、何か特別な思いや、覚悟とか、あったんじゃないかな・・・と思いました。
登場するのは、島を捨てた人、ここから出て行きたいと強く願う人、島での狭い人間関係から来る閉塞感。島を出て行って有名になった小説家や歌手や、学校の先生など、湊さんと重なるような登場人物が色々登場しますし・・。
全部ネタバレで書いていますので、注意してください!
「みかんの花」
みかん農家の実家に、少し居候していた放浪青年と25年前、島を突然出て行った姉は現在は有名な作家さんになっている。
驚きの展開。なんとその青年はお金目当てで母に近づいて滞在していたんですね。青年が夜中に通帳などを物色していて、母が殺したのを姉がかばって、その死体は、「国道」に埋められていたなんて・・。
「海の星」
ボランティア・・・そんな風に言われたらキツイわ・・。
海に沈んだ死体を、偶然引き上げてしまって、でも警察に届けると面倒なことになるからと、そのまま戻してしまう・・・という事があるという事実にはびっくりしました。
おじさんが花束を持って現れたのは、求婚ではなくて、事実を告げて詫びるためだったとは・・・。
短編にしておくには、もったいないお話でした。他の作品も、そうなのだけれど、湊さんは、色々と面白い?アイディアを思いつくなあ・・・と感心します。
「夢の国」
これはディズニーランドの事を言ってるんだなぁと解ったのですが、実はかつて、横浜ドリームランドっていうのが本当にあったんですよね。戸塚のそばに。だから、そのドリームランドの事が思い出されて切なかったです。
ちなみに系列の奈良ドリームランドには、高校の修学旅行に京都に行った時、行ったんですよ・・・。
田舎の秀才の女の子は、どんなに勉強が出来ても、家から通える学校で・・という風潮みたいのがあるのね・・・。
湊さんも学生時代、たぶん優秀だったろうし、早稲田の文学部とかに行こうと思えば、もしかしたら行けたんじゃないかな。
おっさんみたいなクラスメートとその後再会し、恋仲になるという流れは自然だけど、いきなりホテルに、っていうシーンは、ちょっと驚いた。
「雲の糸」
歌手として現在は有名人になっているヒロタカだが、母が父を殺してしまった為、この島で肩身の狭い思いをして暮らしていた。
母は出所後、清掃員として働いており、またボランティアで公園の掃除(犬の糞を拾うとか・・)まで行っていた。そんな母をヒロタカは負い目に思っていた。
意地悪だった幼馴染の男の会社のパーティに、ヒロタカはいやいや出演する流れになってしまう。
実は母が父を殺したのは、ヒロタカを守るためだった事が解る・・。
いやぁーこのお母さんが切ない!可哀想過ぎる。背中を丸めて床にくっついてるガムをヘラでこそげ取る姿を、ばかにするヤツら許せん!このお母さんと「海の星」の母が、なにか共通するものがあって、涙をそそるよー。けなげな一生懸命さが切な過ぎる。
「石の十字架」
これは、現在の危機迫る状況で娘と2人、石鹸を掘って耐え祈る処と、過去の学生時代とが描かれます。
湊さんが、非常に得意とする思春期の学校における、集団の中での立ち位置や、友人関係における女子の心境を描いていましたね。本当にうまい。あんなにまで仲良くなった親友同士なのに、それでも彼女が言えずにいた事とは何だったんだろう。
「光の航路」
故郷の白綱島で小学校の教師の航は、いじめっ子の指導に悩む。
ある日、父の教え子と名乗る畑野が訪問してきて、進水式の日に父と一緒にいた少年が彼だったことを知る。
この小説で2回登場する、自動販売機で買う缶ジュースが、ちょっとした嬉しいごちそう感・・・なシーンは、涙もんですわ
「夜行観覧車」「Nのために」感想
「贖罪」「告白」
少女
最後に読んだのが1年くらい前で「白ゆき姫殺人事件」だったのですが・・・がっかりでした・・。
でも、本作は、とても良かったです!4つ★半
6つの短編「みかんの花」、「海の星」、「夢の国」、「雲の糸」、「石の十字架」、「光の航路」が収められています。
最近読んだ桜木紫乃さんの「ホテルローヤル」が、湊さんにおける本作「望郷」ってところでしょうか。
湊さんご自身が因島出身(後に尾道と合併したんですね)ということで、そこで育った人だからこそ解るような内容も多く、とても読み応えがありました。
湊さんが本作を書くのは、他の作品とは違って、何か特別な思いや、覚悟とか、あったんじゃないかな・・・と思いました。
登場するのは、島を捨てた人、ここから出て行きたいと強く願う人、島での狭い人間関係から来る閉塞感。島を出て行って有名になった小説家や歌手や、学校の先生など、湊さんと重なるような登場人物が色々登場しますし・・。
全部ネタバレで書いていますので、注意してください!
「みかんの花」
みかん農家の実家に、少し居候していた放浪青年と25年前、島を突然出て行った姉は現在は有名な作家さんになっている。
驚きの展開。なんとその青年はお金目当てで母に近づいて滞在していたんですね。青年が夜中に通帳などを物色していて、母が殺したのを姉がかばって、その死体は、「国道」に埋められていたなんて・・。
「海の星」
ボランティア・・・そんな風に言われたらキツイわ・・。
海に沈んだ死体を、偶然引き上げてしまって、でも警察に届けると面倒なことになるからと、そのまま戻してしまう・・・という事があるという事実にはびっくりしました。
おじさんが花束を持って現れたのは、求婚ではなくて、事実を告げて詫びるためだったとは・・・。
短編にしておくには、もったいないお話でした。他の作品も、そうなのだけれど、湊さんは、色々と面白い?アイディアを思いつくなあ・・・と感心します。
「夢の国」
これはディズニーランドの事を言ってるんだなぁと解ったのですが、実はかつて、横浜ドリームランドっていうのが本当にあったんですよね。戸塚のそばに。だから、そのドリームランドの事が思い出されて切なかったです。
ちなみに系列の奈良ドリームランドには、高校の修学旅行に京都に行った時、行ったんですよ・・・。
田舎の秀才の女の子は、どんなに勉強が出来ても、家から通える学校で・・という風潮みたいのがあるのね・・・。
湊さんも学生時代、たぶん優秀だったろうし、早稲田の文学部とかに行こうと思えば、もしかしたら行けたんじゃないかな。
おっさんみたいなクラスメートとその後再会し、恋仲になるという流れは自然だけど、いきなりホテルに、っていうシーンは、ちょっと驚いた。
「雲の糸」
歌手として現在は有名人になっているヒロタカだが、母が父を殺してしまった為、この島で肩身の狭い思いをして暮らしていた。
母は出所後、清掃員として働いており、またボランティアで公園の掃除(犬の糞を拾うとか・・)まで行っていた。そんな母をヒロタカは負い目に思っていた。
意地悪だった幼馴染の男の会社のパーティに、ヒロタカはいやいや出演する流れになってしまう。
実は母が父を殺したのは、ヒロタカを守るためだった事が解る・・。
いやぁーこのお母さんが切ない!可哀想過ぎる。背中を丸めて床にくっついてるガムをヘラでこそげ取る姿を、ばかにするヤツら許せん!このお母さんと「海の星」の母が、なにか共通するものがあって、涙をそそるよー。けなげな一生懸命さが切な過ぎる。
「石の十字架」
これは、現在の危機迫る状況で娘と2人、石鹸を掘って耐え祈る処と、過去の学生時代とが描かれます。
湊さんが、非常に得意とする思春期の学校における、集団の中での立ち位置や、友人関係における女子の心境を描いていましたね。本当にうまい。あんなにまで仲良くなった親友同士なのに、それでも彼女が言えずにいた事とは何だったんだろう。
「光の航路」
故郷の白綱島で小学校の教師の航は、いじめっ子の指導に悩む。
ある日、父の教え子と名乗る畑野が訪問してきて、進水式の日に父と一緒にいた少年が彼だったことを知る。
この小説で2回登場する、自動販売機で買う缶ジュースが、ちょっとした嬉しいごちそう感・・・なシーンは、涙もんですわ
「夜行観覧車」「Nのために」感想
「贖罪」「告白」
少女
ドリームランド、行ったことあったのね^^
乗り物沢山種類あったよね。そういえば、夏にはプールも行ったなぁ・・・。
私が最初に行ったのは、子供とだったので、もう90年代も中盤以降でね、寂れている感がすでに漂っていて、なんだか哀愁があったなあ・・・。かつては繁栄していたんだろうな・・って思わせられる建物とか、そのまんまになってるスペースというか、看板とか・・・あってね・・・。
私も最終章、ぐっと来たよ。
教師、大変な職業だよね。時にはわが子や自分の家庭よりも、教え子を優先する・・って場面もあるんだよね・・・。
お父さん、良い先生だったよね・・・。
良かったよね、これ。
短編だけどちゃんとラストにハッとする場面が
用意されていて、読み応えあったよね。
横浜ドリームランドって懐かしい~~
子供と観覧車とか乗ったよ。
私は最終話が好き。
教師とは・・・どういうものかいろいろ考えちゃった。
確かにどのお話も
湊さんと重なるような登場人物がいたよね。
より一層
作者に近づけた感じ。
今後も面白い作品出していって欲しいよね