「ハグとナガラ」原田マハ ネタバレ感想

原田マハさんのアート関係じゃない内容の本を読むのは久しぶり。
「ハグとナガラ」書き下ろしではなく、今まで色々な所で発表されたものを集めた本です。

独身女性2人の旅の話集だと思って借りたら、なんと後半は親の老いや介護問題だったのでした・・・。

ハグの方は結構キツくてね、、、まさかこういう方向に話が行くとは思ってなかったので、ズーンとしちゃった。
でも基本的には面白かったです。

それ以外の部分では、こういう良い友達がいて良いなー！って事と、旅行先であんまり感じの良くない人に出会っても、ちょこっと親切にしたり気配りしてあげたりと、人間ができてるなぁと思う箇所が結構あったわ。私ならそんなに親切にしてあげられない。妙な人には近づかない。

最初は30代中盤だったけど最後のお話では50代後半。15年位で当然ですが随分お互いの状況とか変わるものですね・・・。

★以下ネタバレで書いています！！★

ナガラのお母さんは脳梗塞で突然倒れるも、その後復帰。
ナガラはずっと同じ働き続け出世して、部署移動になって長年住みなれていた芦屋からだと通勤が大変で新たな土地へ引っ越している。（最終章で母は亡くなる）

ハグはお母さんが認知になってしまう。
ハグは大企業でバリバリやっていたが後にフリーへ（そこでも仕事は順調に）
認知らしい母を心配し遠距離実家通いから故郷へ戻り認知の母と同居。
なんとか故郷で仕事も出来ていたが介護が大変過ぎて、うっかりリモート会議開始に間に合わず大事な取引会社に去られる⇒お母さんの転倒怪我と認知が進み施設に入れるも母の精神不安定や不安から毎日通いで行く（当然仕事も激減し貯金も尽きて行き、もうどん底）　これは辛い・・・。
これ、書かれたのがだいぶ前だから今なら介護離職とかは絶対止められるんじゃないかな・・。

お母さんはハグが大学進学から故郷を遠く離れて夫を亡くして以後、長い事ずっと一人暮らしをずっとしている。忙しい娘の事を思い、いつも大丈夫大丈夫元気よ、としか言わず、ハグは用事のある時しか連絡はせず、1年に1回くらいしか帰省しなかったのよね。
認知を疑い病院へ行こうと何度も言うも、かたくなに毎度断る母についに切れてしまい、病院に行ってくれないならもう実家に戻らないとハグが言ったらお母さんが一杯謝り「帰って来ないなんて言わんといて、ひとりっきりで淋しいねん」と遂に言うシーンはぐっと胸が痛くなったわ。
昔はこういうシーンを読んでもリアルに感じることは無かったけど、最近は両方の気持ちが解るんだよね・・・。

元は健気なハグのお母さん、せっかく良い仕事を得て成功していた娘が自分の介護のために、こんな生活を何年もさせてしまってるのは無念だと思うのよ。
ハグもお母さん思いで凄いんだけどね、お母さんより自分を優先してもらいたいな。
この後、どうなって行くのかしら・・・。
読みながら、ハグもう無理だよ・・施設とかにお任せするしかないよ、と思ってたけど、施設に入っても通いで毎日行くだなんて・・・。はぁーー辛い、切ない、悲しい。以上

ハグとナガラ 　2020/10/7　原田マハ
恋も仕事も失い、絶望していたハグ。突然「一緒に旅に出よう」と大学時代の親友ナガラからメールが届いた。以来、ふたりは季節ごとに旅に出ることに。
六つの旅物語

原田マハ
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たゆたえども沈まず感想