「願い」良かったです☆ 藤野千代

そもそも藤野千代さんの本を読んでみよう・・と思い立った理由は、角田光代さんが、新刊が出たら必ず買うのが藤野千夜さんの本と言っていて、興味を持ったからです。
最初に読んだのが、芥川賞を受賞した夏の約束（表紙にびっくり＾＾）、次に読んだのが、「願い」（出版　2010-10-07）でした。

なかなか良かったです。　表紙のジオラマ風の写真装丁も合ってると思います。全体的な印象は、ほわっと温かいというか、作者の藤野さんの人への優しいまなざし・・みたいのが感じられる本で、読んだ後味も良いです。
文章は短いのだけれど、ぐだぐだ長い解りにくい文章で何を言いたいんだか解らない・・・って小説とはま逆で、短いんだけど、なにか伝わる・・って感じで、好感度高いです。
とはいえ、短編なのでしょうがないんだけれど、もう終わっちゃうの？　え、ここでお終い？って感じたお話も少しあったかな。４つ☆

「願い」
子供の頃同居していたおばあちゃんの口癖が、お願いをかなえてあげる・・なんだけれど、長女である主人公は、その願いが、大それた願いではなく、あくまでもかなう範囲内の事にしなくては・・というのを知っていて頭を悩ます。それに反して妹は自由きままに思った事を言い、行動するのだった・・・。
あ～～このお姉ちゃん、なんてけなげで良い子なんだろう・・・と思いました。あの後、一度ちょっとつき合って別れた彼と、また復縁とかするのかな？

「妹思い」
笑っちゃいました。再婚したことで出来た血の繋がらない可愛い妹。その妹のためなら何でもやっちゃう優しい兄！

「ノーチャンス」
これもクスクス笑っちゃいました。40代だけど、とても若々しくお洒落な妻がいる主人公。でも大坪さんという、人付き合いも仕事ぶりも自然でソツなくこなす素敵な大人の女性で、会社の同僚の大坪さんが気になる・・。最後、どうなっちゃったんだろう

「つるとくま」
母の恋人の存在が、おもしろくない小学生の女の子

「散骨と密葬」
3人の息子。中学から不登校になって、ほぼ引きこもりの長男、フラワーデザインアーティストとして華やかに派手に暮らしている次男、アイドル追っかけをしているオタクの三男。３人とも結婚しておらず、これからもする予定は全く無い。よって孫がいないので、墓のことを考えると・・・
　これは、短いお話だけど、なんか映画とかドラマにしたら面白そうな気がしました。

「ファウルボール」
元彼女に未練がある主人公、野球の試合に誘われ、助っ人として参加。

「たくさんの荷物」
いきなり駅で彼氏に別れ話を切り出される友達。彼が残して行った荷物を・・・

「七日間」
1週間、電話がかからなかったら、もう死のう・・と決めたレイ。
★以下ネタバレ　白文字で書いています★
最後の最後の７日に自ら電話をかけたのが、大坪さんだったみたいですね以上

「お願い玉」
子供の頃、兄貴に夢が叶う緑色の玉をもらい、それを大切にずっと持ち続けて来たトモちゃん。その玉のおかげか？随分ラッキーな人生だった。

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「夏の約束」 2000-02 第122回芥川賞受賞作品。
マルオとヒカルは同性愛のカップル。
マルオは体重９０キロ超級で温厚な性格。
同性愛であることを知られつつ、会社に普通に勤めている。

普通に面白かったです。３つ☆　ちょっと、よしながふみさんの「昨日何たべた？」と似た雰囲気を感じる、ほのぼのした内容というか・・・。

作者の藤野さん　男性だけど女性の姿をしている人のようです。