先日森沢さんの「きらきら眼鏡」を読んで、森沢作品を他にも読んでみたくなって、この「津軽百年食堂」を選びました。
とても面白かったです。4つ★~4つ★半
最初目次の処に、数人の名前が挙がっていたし、3世代に渡る食堂の話とのことで、うわ、沢山人が登場しそうだな、大丈夫かな?って心配したのですが、全く問題無し。人物を混同する事は無く、とても面白く読ませてもらいました。
現代パートはバルーンアートでなんとか生計を建てている陽一と、カメラマン見習いの七海。
この2人のかけあいが、先日読んだ「きらきら眼鏡」の主人公カップルにどこかかぶるところがあって、こういう関係を描くのが、森沢さんは上手だなあ、と思いました。 ほのぼのと優しく良い関係ですね。
あと、森沢さんって千葉出身の都会?っ子なのに、こういう故郷にノスタルジーを持ち続ける主人公の心理描写が、とても上手ですね。
東京で、偶然同郷同士が出会うと・・・ そりゃあ恋愛になりやすいだろうな!
そして、この七海ちゃんって子が良い子なのよねー。
感心したのが、四つ葉のクローバーを見つけて、それを取ろうとしたら、抜いちゃったら枯れちゃうし、抜かないでそのままにしていたら、もっと多い人がこれを見て喜ぶはずだから、そのままにしておこうよ、って言うんですね。いやー、こういう考え、私には浮かんで来ないから。良い人間だなあ!!
過去パートの初代の賢治とトヨのカップルは、とても可愛らしくて読んでいて頬がほころびましたよー。
追いかけて行くも列車が行ってしまい、間に合わなかった・・・ってシーンが、交互に描かれる過去と現代パートと、同時進行!
過去パートは、そもそもその列車に乗ってなくて、2人は会えて、無事プロポーズ。
現代パートは、間に合わなかったし、電話番号を書いた風船も割れてしまったけど、仕事に行った先の人に色々つてで調べてもらって、無事連絡が取れて良かったー。
その後、師匠が病に倒れたため、七海の仕事がぐんと増えて成功も見えて来た、って時なのに、フリーター的な立場の陽一は、複雑な心境で手放しには喜べない・・・って処もリアルで良かったんですが、
★以下ネタバレ★
うーーん、結局陽一は実家のソバ屋を継ぐ事に決めたんだけど(父親との嵐の中の告白とかのシーンは泣けたわー)
七海はどうするの?? つゆの作り方を東京でも密かに続けてくれれば・・とか、実家のお母さんにも、将来的には・・って事を言っちゃうんだけど、そうは上手くいかんでしょう? もっとプロフェッショナルになってきたら、青森で仕事しようと思って・・って、あなたー。蕎麦屋やりながら、カメラマンって、そんな片手間に2つの事、出来ないのでは?
そりゃあ、カメラマン、どこでも仕事出来るだろうけど、CMの仕事とかこれから師匠から受け継いで、どんどん増えて来るだろうし、面白くなってくるだろうし、東京を離れるのは厳しいだろう・・・。それに七海ちゃんちの実家のリンゴ園を継ぐ件も・・。この現代パートのこれから遠距離恋愛になるだろう2人の将来が不安だらけ。それ以外は5つ★だったんだけど・・・以上
この津軽の3代続く歴史のある蕎麦屋さん、本当に数軒あるんですものね。
私も食べてみたいなあー。
あと、読みながら、青森の風土が、北海道とちょっと似ているなあーと親近感を覚えました。
津軽百年食堂 2009/2/28 森沢明夫
内容(「BOOK」データベースより)
ふるさと「弘前」を離れ、孤独な都会の底に沈むように暮らしていた陽一と七海。ふたりは運命に導かれるように出逢い、惹かれ合うが、やがて故郷の空へとそれぞれの切なる憶いをつのらせていく。一方、明治時代の津軽でひっそりと育まれた、賢治とトヨの清らかな恋は、いつしか遠い未来に向けた無垢なる「憶い」へと昇華されていき…。
森沢明夫
「きらきら眼鏡」感想
えっと…
森沢さんには青森三部作と呼ばれる作品群がありまして、本作が①、②「青森ドロップキッカーズ」、③「ライアの祈り」と続きます。陽一や七海、陽一の姉のその後も描かれているので是非♪
確かに、この表紙のイラスト、とってもかわいいですよね。
私は図書館で借りたのですが、表紙を見た時に、うわー!カワイイっと、心の中で小躍りしました。
読む意欲が表紙によって、結構左右される性分でもあるので・・。
映画では、オリラジがそれぞれ祖父と陽一を演じてるんですもんね。そのうち必ず見てみます。
その3シリーズ、ぼちぼち、読んでいこうと思います!
森沢さんの作品、この作品も楽しめたようですね
七海さんという子の四葉のクローバーの話、良いですね。
心が綺麗だと思います。
陽一が素直に喜べないのも分かります。
そんな時、表面上はおめでとうと言っても心はどこかささくれ立ったりするものです。
森沢作品、2つ読みました。
他にもシリーズものがあるみたいですが、いったん他の図書館で回って来た小説を消化せねば・・・って処です。
暫く期間を置いて、また他のもトライしてみようかな?って思っています。
>そんな時、表面上はおめでとうと言っても心はどこかささくれ立ったりするものです。
うむ。そうですね・・・。
同性の友達だけじゃなくて、異性間でも、そういう心理、ありますよね。