未読の方は注意してください。今回は、ネタバレ部分を白文字で書かずに、思った事全部書いちゃってます!!
99年に起きた「文京区幼女殺人事件」を連想させられる小説。
凄く引き込まれて読みました。ただ、5人の主要登場人物+その子供の名前とのセットが、なかなか最初の内覚えられなくて、何度も前にさかのぼって読み直したので、読むのに時間がかかってしまいました。
角田光代さんは、こういう女子同士の友達関係の深い処を書くのが凄く上手で、今回もうならせられる部分が数カ所ありました。「対岸の彼女」よりもこちらの「森に眠る魚」の方がもっともっとダークでした。
最初は仲良く気が合っていた友達同士が、子供の小学校受験問題を前に、ちょっとずつズレて行き、どんどんとゆがんで行ってしまう様が、第三者として、そうか・・こんな風に些細な事が、どんどんこうなって行ってしまったか・・・と・・。
読んでいて暗くなるし、凄く重い作品なので、後味は良いとは言えません・・。希望が見えるラストでは無いし、うわっ!と驚く展開も無かったので、4つ☆。でも、凄い読み応えがあるし、ちょこちょこ共感出来る気持ちなどもあったし、やっぱり角田さんは凄い文章力があるな~!と思いました。
私が、うわっ・・と思ったのが、前半部分(165頁)で、まだ悪意のなかった頃の容子が、なんの気なしに千花に会話のつなぎ目として訊いた「どんな用事?」・・・。そして「わざと答えないとか、隠してるとか、容子さんってすぐそういうふうに考えちゃう人」って千花に思われてしまっているのか??という部分は、あ”~~っと・・。
5人の名前(子供名)とキャラクター
容子 (一俊)
大人しい感じの地味で真面目な人 子供も大人しい感じ
千花 (雄太、桃子)
裕福で綺麗で社交的。自由に生きる妹がいる。息子は少しやんちゃ
瞳 (光太郎)
過去に色々あった。ボランティア活動も。宗教者の夫に弱みをみせられない。
繭子 (怜奈)
遺産で高級マンションを購入、本来の彼女とは場違いな地区で暮らし始める。
ヤンママ風。素直だが、ずうずうしい処がある。
江田かおり 繭子と同じ高級マンションに住む「マダム」長年不倫をしている。
衿香という私立小学校に行ってる娘がいる。
・・・・・・・・・・・・
ここからは私が登場人物に対して思った事
(容子)
前半は、容子が大学の女子寮に入っていて、でも、どんどんみんながそこから出て行き・・って部分や、自分は自分、他人は他人と、割り切って考えられる様になった(ほんとはなってないみたいだけど・・)処とか読んで、地に足のついた考え方する人だな~とどちらかというと良い印象に思ってたのに、中盤からは・・・苦手で怖い人へ変貌。 イヤミな発言や、影で千花のこと悪く言う様とかは、凄い嫌悪感感じちゃった。深夜、電話しまくったり、瞳の家にまで行っちゃって何してるのか?探る処とか凄い怖かったし、瞳が参加していたボランティア活動に、受験に有利だからって入って来た時は、背筋が寒くなったよ!
(千花)
中盤ユリにガツンと言うあたりまでは好感持って見ていたのですが、かおりの不倫相手と、家族同士会ってた!ってのには、びっくり。 かおりには一言事前に言うのが礼儀じゃないか?と私も思ったな。
そもそも思ったんだけど、千花みたいな美しくセンスの良い、セレブで社交的な人が、この3人(容子、瞳、繭子)と仲良しグループ?になる・・って展開がちょっと疑問だったりもしました。特に繭子に対して好感持ったのが、私ゃ~驚きだったです) 結局後半307頁では「なぜあんな、繭子や瞳といった、だれかを利用しようとしか考えて無い人を友達だなどと思ったのか」と思うシーンがあるのだけれど、瞳はそんなつもりは無かったと思うのよね。ただ、同じ塾や同じ学校に私も入れようかな・・ってのとかが、段々重くしつこく感じる様に千花はなってしまったのも解る・・。
(瞳)
途中までは、割と普通というか・・、繭子と病院の待合室で出会った直後memoを渡し(3年前に自分がしてもらいたかったことをしてあげた)優しい人だな~という印象だった。でも彼女の過去は結構大変だった・・・この過去が、一番下に載せるウィキペディアで読んだところ、音羽お受験殺人の犯人の女性と、かなり似ている設定となってる。拒食症だったり、宗教関係に入り、そこで結婚相手と出会う事までも。
瞳は、彼女自身が故郷で、付属の一貫校に小学校でお受験し、以後高校まで通っていたものの、そこでの裕福な生徒達とのどこか違和感を感じ、摂食障害になってしまった過去があるのにもかかわらず、自分の息子光太郎を、私立の一貫校に入れるに至ってしまうわけで・・・。今後自分もお金稼ぐのに大変になりそうで、また拒食症になってしまっているわで・・・・
この瞳、好恵というサークルで仲良くなって以後文通している友達がいるんだけど、好恵の瞳への依存や、容子のしつこさがイヤな反面、瞳が好意を持っている千花からは、だんだん避けられてしまうように・・・。
(繭子)
ずうずうしくて嫌いです。 でも、角田さんの本に登場して来そうなタイプ(繭子が角田さんに似てるって意味じゃなくて、かつての角田作品にこういうタイプの女性が数度出て来てたw)
友達の子供を預かるのとか、クリスマス会を自宅でやったからと、3000円とか5000円とか自ら請求する厚かましさにびっくり。かおりの家に突然上がり込む処や、千花にお下がりおねだりするとか、も~~なんなの?この子は!!
繭子がコンビニとかにちょっとの間一人で行ってる間に、家においてきた子供らが火事に・・とか、そういう展開になるんじゃ??とはらはらしてたけど、そうは来なかったです。
さて、最初私は容子が、あの事件の犯人と共通するキャラなのかな・・と思いながら読み進めていたのですが、瞳が一番近かった様です。以下は、ウィキペディアからの抜粋です。
「文京区幼女殺人事件」
学生時代から、対人関係が苦手であった。遠い距離にある学校に休まず真面目に通い、看護婦になるも、1ヶ月後に病棟で担当していた患者が死亡したことに衝撃を受けて退職。1年8か月間、自宅で引きこもりの生活を続け、引きこもり中に睡眠薬を大量に服用する自殺未遂をしたり、過食と拒食により体重の著しい増減を繰り返していた。その後考え直して看護師として再就職した。再就職後も過食と拒食を繰り返し、精神の安定を求めて参加したボランティア活動・宗教活動で後に結婚する夫と出会った。
なお、結婚後は、夫に従う様な真面目な暮らしぶりで、日曜、祭日には、夫の勤める寺に 手伝いに出かけ、年中ゆっくり休む日もなく、それでも家の中は、一分のすきもないほど整然と片付けられていたそうだ・・。
角田光代さんの他の本の感想
何も持たず存在するということ
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
ロック母
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ
ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み
とてつもなくダークな作品でしたね。
本当に恐ろしいとつくづく思いました。
誰にでもありそうで逃げられないような負の部分が、
自分の中にもあるのではないかと、
内の闇をみているようで読むのが辛くなりました。
凄かったです~。昨日の晩は頭痛が・・・さすがに2回読んだせいもあって、どっしり来ちゃいました。
2回目は、どんなキャラなのか、しっかり頭に入っていたので、サクサク読めました。
>誰にでもありそうで逃げられないような負の部分
まさに、そんな感じでした。
あの本の表紙は、イメージにあってるな~と思いました。
たしかに親と子供のセット、それぞれの性格や背景を覚えるのに苦労しました。
latifaさんのレビューをみながら
読書したらすらすら読めそうです。
ちょっとしたズレなんですけどね。
こんな風に悪い方向に進んじゃうんだなって
ちょっと怖くなりました。
ななさんも、やっぱり親と子供のセットと背景を覚えるのに苦労されましたか^^
私は、思わずカバーとかに、人物設定や説明が書いてないかな?と、探してしまいました 途中で、紙に書き出してしまおうか?とも思いました。
角田さんご自身は、バリバリ仕事もされていて、子供もいらっしゃらず、専業主婦の閉塞感とかは実際には解らないかもしれないのに、この文章力は凄いですねー!!
そういう言葉が出来たら、なおさらのこと垣根を作ってしまう気がする。
よい友人関係、人間関係を作ることは一生かかっても学習しきれないことなのかもしれないね。
「距離感」ってものが一番大切かな~と思ってます。
特に、価値観の違う人とは距離をおかないと大変なことになりがちだし。
この小説に出てくる繭子とは仲良くなれないだろうな~って思ったな。
自分のテリトリーにずけずけと入り込んでくるのはダメ~。
どの人物にも受け入れられる部分と受け入れられない部分があって、角田さんの人物描写はさすがだな~と思いました。
そうかあ・・・私立じゃなくて、国立だったのね? 東京にもそして私の故郷でも国立はあったわ。凄く入るのは難しいし、みんなのあこがれの学校よね
で、ミチさんのおっしゃった、入った後色々ある子もいて、、結局は大学受験が・・って部分、そうだよなあ~~って思ったわ・・・。
それと、親子共々パワーが・・って部分、家は母も子もパワー全然無いからなぁ・・・・
また今年の秋頃とか、もしかしてミチさんに進路の事でご相談しちゃうかもしれないです。その時はよろしくお願いします!
「距離感」って難しいですよね~。現実世界では、私は自分が10代だった時より、段々距離の間を長く取るようになってきてるみたいです、学生時代は恋人か?って位接近してたなぁ~。。。
>よい友人関係、人間関係を作ることは一生かかっても学習しきれないことなのかも
うん、うん、70を越える家の両親でさえ、まだサークルでどうのこうの~とか言ってるもん
でも最近思うのよね・・・。別に苦労や意識しなくても、人間関係や友達と上手く行く人もいるし、努力しても上手くいかない人っているなあ・・・と。そういうのって天性のものもあるのかなあ・・・って。
ミチさんも繭子は苦手だったのね~。小説では、途中までは、みんな彼女の事、受け入れていたじゃない?へ~みんな心が広いなぁ~と思っちゃった・・・。
latifaさんは2回も読んだのね。
わ~~~。結構、後ひきますよね。
私も自分自身、人間関係整理しながら読んでいたので疲れました・・・笑
子ども絡みのママ関係は、本当難しいですよね↑で距離感ってありますけれど、同感です。
私も、年取るごとに、距離感あいてきていますよ。<わざと答えないとか、隠してるとか、容子さんってすぐそういうふうに考えちゃう人>
これ、私もドキンとしたけれど、ここまで相手の性格とかバシン!!といえる関係もまたすごいですよね~~
洋服ねだっちゃたり、場所代とったりする
繭子といい、皆、言いたい放題だったよね・
あんな関係、やっぱりイヤだわ・。
でも、自分自身、思い当たる部分もあったりしておもしろく読めました。
最後の展開がうまかったよね。
みみこさんちの人物説明が素晴らしくて、これを手元に置いて読んだら、完璧だわ~って思いました。
私は何度も前に戻ったりして確認作業しながら読んだので、時間がかかっちゃった。
距離感、難しいよね~。もっと近くなりたい・・って思いつつ、このへんでとどめて置こう・・って思う時、辛い(爆)
そこまで近くなりたいって、思うことは、そう多くないだけに。
でも、現実世界はさておき、こうやって、位置的には凄く遠く、会ったこともないネットのお友達であるみみこさんはじめ、色々な方々と、こんな風に本音で色々お話出来るのが、す~~っごく私にとって嬉しい事なんだ。
でも、逆に、こういう充足感?がなかったら・・・?って考えると(私はそういうネットのおかげで、人との交流って面で満足させられているから)、その分現実世界で、今よりもっと色々求めたくなったんじゃないかな・・・とも思う。。。。
確かに、ばしばし言い合える関係で、読んでるこっちがタジタジだったわ・・・。私もイヤだよ~~。とにかく、繭子が一番私的には苦手だったわ。
角田さんの本、たくさん読んでるのですね。
私、実はこれが初めてなんですよ! なんか、興味を引かれてね。。
で、物凄~く引き込まれて読みました。角田さん、凄く文章が巧いですね←って、当たり前(爆)。
女性作家さんの文体って、自己愛を感じることがあるのですが、そういうところが全くない。
オススメ、あったら教えて下さいね~。
それから、別ブログの方でしたコメント、ちょっとヘビーだったかな? と反省しています。
ごめんね、気にしないでね。。
ではでは、また来ます~。
真紅さんとは映画だけじゃなくて本とか色々共通の話題があって、とっても嬉しい~。
毎日でも喋っていたいので、大歓迎ですよ~ん
で、そうなの~~!!はっとしたわ、これ↓!!
>自己愛を感じることがあるのですが、そういうところが全くない
角田さんって逆に、そこまで自分を卑下しなくても・・・って感じの人なのよ。
その自己愛って、男性の作家さんでも感じること時々あって、そういう作家さんは、もしかしたら私は苦手なのかも・・・?急に頭に浮かばないけど、今度ゆっくり考えてみたい
真紅さんちでも書いたのだけれど「八日目の蝉」がお薦めです
是非ぜひ、真紅さんの感想も聞いてみたいな~! この小説よりも、引き込まれ度は高いし、後味も悪くないと思う
図書館でやっと順番が回ってきて、一気読みしました
角田さん、すごいを通り越して怖すぎる
いい意味で。
どうしてこれほどまでに母親の描写がうまいのか。自分の周りにいる誰か?それとも私?ってくらいリアルでした。
でもほんと繭子はすっごく嫌!!
かおりの家が夕食中のときに上がりこんで、平気でご飯出してもらったり、瞳の子供預かったのにほったらかして泣かせ放題の上に脱臼させちゃうし
お金をもらうことを何とも思わない、何につけても図々しいとこ!!
latifaさんにお聞きしたいのですが、後半「彼女」って多分容子だと思うんですが、その彼女が小さい子供をトイレに連れ込み・・って話は、妄想だったんでしょうかね?
最後のそれぞれの話では犯罪めいた話は出てこなかったから、そうなのかな?
私はお受験なんかとは無縁でしたが、幼稚園のときの、自分の子が出来なくてあの子は出来る、とか、べったりしてるのって面倒、とか、主婦だと特に世界が狭くて独特な感情を持つのはわかる気がしました。
かおりが大介と別れられそうなとこと、千花が妹に対して気持ちの整理をつけられそうなとこに救われました。
すみませんlatifaさんは去年読んだ話なのに、細かいこと書いてしまって!!
奥田さんの無理も今図書館待ちです。
読んだらまたコメントさせてください。
いやいや、この本のことは、何故か良く覚えているんです。珍しく2回読んだせいもあるかな・・・それともこの本のインパクトが強烈ゆえ・・かな
凄いリアルでしたよね。そして怖い!
ここまで毒々しい女性のじとっとした内面をさらけ出して描けるのは角田さんの才能!ですよね。
私も繭子は嫌いでした。今みどりさんの文章読んで、細かい部分が色々蘇って来て、ぎゃー!やっぱり嫌い!
で、、奥田さんの「無理」には、繭子っぽい女性がそういや出て来ます・・・。そちらも、イヤだったなあ・・・。
>後半「彼女」って多分容子だと思うんですが、その彼女が小さい子供をトイレに連れ込み・・って話は、妄想だったんでしょうかね?
私もここの部分は、ハッキリ解らなかったです。でも、紙一重って事で書いたのかな・・・。私もここは気になってた部分です。
私もお受験とか経験が無いんですが、ああいう場所にいたら、やっぱり回りに流されたり影響されたり・・・平静でいられなくなっちゃうのかもしれないです。