「ツナグ」シリーズの第2巻。
1作目の「ツナグ」は映画を見て好きになって、本に手を伸ばした。
本屋さんで続きが出ていることに気が付いて購入。
あの世とこの世をつないで、死んだ人と会わせてくれる使者の話。
あらすじだけ聞くと非現実的だと思う設定がチープに感じられないのがすごい。
使者も生者もお互いに面会できるのは1回きり(つまり誰かに会うということは他の人との面会権を放棄すること)とか、それを必要とする縁がある人のみが依頼の電話が繋がるとかルールが定められていて、創作のストーリーだから話がうまくまとまるのは当然なんだけど、何度か涙目になりながら読んだ。
感想を書こうと思うと、揺さぶられたのが思考じゃなくて感情だから難しい。
思考は言葉で書いているうちに整理されて発展していくけど、感情は言葉にすると軽くなる気がする。
やっぱり整理されちゃうからかな。
私の語彙力の問題もあるかも。
でも感情は、そもそもどちらかというと言葉そのものより声とか仕草とかのほうに現れる気がする。
凝った表現をすると、逆に高ぶりは伝わらないような気もするし。
1作目で救いのない感じで終わってしまった女子高生だった美砂ちゃんが成長して、前に進めそうになっているのは良かった。
最後の章の、16歳で亡くなってしまった昔の奉公先のお嬢様に会いたい85歳男性の話は、途中でなぜか男性の奥様目線になってしまって、「一方的な話で感動したくない」という謎の反抗心が芽生えてしまった。
何年も面会を申し込んで、ようやく会えて、お嬢様が好きだった桜の花を見せることができて、いい話な感じで終わるんだけど‥
男性の人生に4人子供を一緒に育てた妻がいるという情報がさらっと出てきて、急にあれ?みたいな‥
桜は奥さんに見せてあげなよって思う。
妻は物語に登場しないから、どう思っているかも今生きている設定なのかも謎だけど。
元々お嬢様の話を知っていて理解していた可能性もあるし、まったく知らないまま幸せに人生を終えている可能性もあるし、そもそもそこまで旦那さんに心理的なウエイトを置いてないからどうでもいいと思っている場合もあるけど‥
私(「永遠の」になりそうだけど)嫁入り前だから、まだ結婚に夢があるのよ、多分。
長年連れ添った妻に会いたい話なら手放しで感動できるけど、「プラトニック不倫」みたいな話を美談にされるのは好きじゃないなー。
もちろん他人の人生は関係ないから、実際にそういう人がいても何も言わないけど。
もし1作目に続いてまた映画化されたらぜひ見に行きたいので、その時にもう1度全力で楽しむために、(最後の話はともかくとして)感動の余韻だけ残して、なるべく細部は忘れてゆこうと思っている。