学長のひやかし

本(もと)はみな たれもの晒しの白木綿 
染めつよこれつ 末はいろいろ

なんとなく足尾

2005年11月30日 | travel
 

5151F 赤城駅

そういえば東上線の支線も走った車両。



 赤城に着く。

 今日は桐生競艇が非開催日のせいか桐生線は終始
がらがらの状態でつりかけの音色を十二分に堪能で
きた。天気は抜群の快晴ではるかかなたに山々がは
っきり見えた。しかし日差しがあるのに風が強くも
かかわらず、寒さが肌にしみる。
 赤城からは徒歩でわたらせ渓谷鉄道の大間々駅へ
と向かう。その途中、前回来たときには時間がなく
て立ち寄れなかった「ベイシア」に立ち寄る。私が
認識していたのは別館だったようで、食料品を扱う
本館は道を挟んでさらに向こうにあった。あわせると
かなりの広さである。とりあえずさらっと別館に入っ
ている本屋で立ち読みし、駅へと向かう。列車まで
まだ20分近くあるので周辺を歩く。紅葉シーズンは
終わったとはいえ、すがすがしいような青空とまだ
ほんのり色づいている山々のコラボは心和ませる。
車庫にはくたびれた色あせたサロンカー(元JRの
お座敷列車 やすらぎ号)と今年一足早く仕事納め
したトロッコ編成、また多数の気動車が休んでいる。

 

大間々駅


 さて再び駅に戻って列車の到着を待つ。前回同じ時間
の乗ったときは2両編成で後ろ1両を大間々で切り離し
たが今日は始発から単行(1両)でやってきた。あの
ときはシーズン増結だったのだろうか。列車に乗り込
むと、学生が少々いたが余裕で席は確保できた。ボッ
クス席で素敵な歳のとり方をされてるおばーちゃまと
相席になる。おばーちゃまは荷物からして桐生方面か
ら病院帰りとお見うけする。やはり本数は少ないけれ
ど、地元の方々の大切な足として重要な役割を果たし
ているのだなとあらためて実感する。おばーちゃまは
大間々を出てしばらくすると、心地よいゆれと日差しか
らうたた寝をはじめていた。その顔がなんとも愛らしい。
 汽車は丁寧にカーブを曲がりながら、山間部へと入っ
ていく。元東武ロマンスカーの車両がそのまま食堂に
なっていることで有名な神戸(ごうど)に着く頃にはも
はや携帯の電波は消えていた。ここでおばーちゃまは
降りられた。ビルに囲まれていてもそうだが、山でも
同じく夕日が隠れてしまうので早い時間に暗くなる。
大間々を出た頃はまだ明るかった空も、最後に多数が
降りた通洞駅に着いた頃には薄暗くすでに夜を迎えて
いた。下に足尾銅山の記念館を見て、部品取りに放置
されている幽霊客車のある足尾駅を出て終点の間藤に
到着する。道路の隣にポツンとある駅で、少々公園の
ようにもなっているがとりあえず何もない。駅前から
日光に抜ける足尾町営バスが出ているのだが、あいにく
予算がないのでパス。折返しまで30分近くあるが、
こんな暗いところでぼけっと待っているのもなんなので
隣の足尾駅まで徒歩で戻ってみる。
 さすがはバイパスだけあり、車はそこそこくるが、人
影はない。外も真っ暗で、もう深夜に近い時間ではない
かと錯覚してしまうくらいだ。線路沿いに歩きながら、
小さな橋を渡り、集落を抜けすぐに足尾駅に着く。所要
約10分程度であったろうか。折返しに時間があれば、こ
うして歩くのも悪くないだろう。


 

足尾の遺物。側面は落書きされているのでこの角度で。



 足尾は銅山観光者は通洞を利用するので、登山者か
地元集落の住む方のための駅となっている。駅舎の大き
さや線路跡を見ると、銅山全盛期には結構利用者があっ
たのではないかと推測する。駅前にはおそらく周辺で唯一
かも知れない個人経営の総合食品店があり、地元の方が
車で夕食の買い物に来ている。その店構えはなんとも今
流行の「3丁目の夕日」を思わせる、時が止まっている
ような光景である。(ちなみに道沿いに歩くと、1分程
度で酒屋がある。汽車で飲んでいく方は是非ご利用くだ
さい。)そこには、コンビニ慣れしてしまった現代人が
忘れてしまった「日本の夕方の風景」がある。
 「夜は暗くて早く寝る。」そんな当たり前のことを
なんだか懐かしく思いだした気がする。最近は地方でも
コンビニが普及して、都市部の生活様式と差異がなくな
った。確かに時間を気にしないメリットもあるが、治安や
防犯の面でのデメリットもある。いまさらコンビニを無く
して平穏な夜を取り戻そうなどという時代錯誤な主張を
述べるつもりはない。ただ、こうした「不便な幸せ」を
持った生活がある街も残してもらいたいものである。

 

足尾にて




 滞在時間はわずかであったが、このめでたき日に何か得た
気がした。今日は寝坊してこっちまで来てよかったと思う。
そうしているうちに闇夜抜けて桐生行きの列車が入ってきた。




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