現代美術の3年に1度の「あいちトリエンナーレ2016」が、11日開幕しました。10月23日(日)まで74日間の国際展です。
名古屋市内の愛知芸術文化センター(県美術館)・名古屋市美術館・長者町・栄・名古屋駅の5会場、豊橋市内のPLAT・水上ビル・豊橋駅前の3会場、岡崎市内の東岡崎駅・康生・六供の3会場で、「虹のキャラヴァンサライ」といったコンセプトで開かれます。
現代アートへの理解力が少々乏しくても楽しんでやろうと、まず芸文センター会場と栄会場を歩いてきました。
芸文センターは展示物が多いので、初日は10階フロアを中心に観覧しました。
まず、エントランスで2つの大きな作品に迎えられました。
1つは壁いっぱいの仮想の地図。アメリカの作家が20年間にわたり描き続けたといい、アクリル絵具やマーカーなどで描いた六つ切りサイズのパネル約3200枚で構成されています。
地図の前には、フィリピンの作家が使用済みフイルムで制作したという馬の造形。地図を見て馬にまたがり・・・ラクダではありませんが、キャラバンの世界へ誘われます。
旅の途中でちょっと迷いました。会場内の通路が途切れていたのです。でも、それは僕の早とちりというか、計算された仕掛けだったようです。
カーテンがあり、係の女性の指示通り靴を脱いで手に持ち、カーテンを開くと大きなフロアいっぱいに描かれた花模様の世界が飛び込んできました。「飛び石」を歩いて向こうの会場へ行ける仕組みです。
描いた模様を組み合わせる作業などは、開幕直前までかかったことでしょう。「ええ、展示は私たちもお手伝いしました。真夜中までかかったことも・・・」。大学生のひとりが楽しそうに振り返ってくれました。
10日の朝日新聞によれば、花模様の園は、「一定期間は来場者が模様を踏めない状態にし、そのあと踏めるようにする予定。形が崩れて色が混ざることで時の経過を刻む」そうです。
芸文センターは展示作品が多いので、8階部分を日を改めて観覧することにし、栄会場へ。
栄会場のひとつで、輸入品など質の高い食品店だったレトロな建物の旧明治屋栄ビルでは「水の記憶」「物質とエネルギー」をテーマに降りかかる水滴を一瞬に水蒸気にする光源を作品化したものや、沖縄の複雑な実状を表現した映像作品などが目を引きました。
それに、旧明治屋ビルはいずれ建て替えられるわけで、剥がれた壁や配線跡、扉など時の流れを物語る風景はまさにアートでした。
作家の言葉に耳を傾ける参観者たち
旧明治屋ビルの中