Mother's Day

「おはようございます、セルバンテスおじ様」
「やぁオハヨウ、サニーちゃん♪今朝も変わらず可愛いね～♪……おや？何処か行くの？」
「ええ『お母様』のところに」
「あ………そっか、今日は『母の日』か」
「あのね、おじ様……」
「ん？何だい？」
「あのね……私、初めてお母様の夢を見ました」
「扈三嬢の？」
「ええ。ニッコリと微笑まれて『大きくなったわね』と」
「………」
「私を抱きしめて下さいました」
「………」
「とても、とても嬉しかったです」
「……そう、良かったね、サニーちゃん♪」
「はい♪」


幸せそうに微笑むサニーの顔は、今は亡き彼の女（ひと）にそっくりだった。


その昔、亡き母に捧げたという花は白いカーネーション。
だが彼女の中では今も母は生き続けているのだろう。
赤いカーネーションを抱え扈三嬢の墓前へと走り去る後ろ姿を見送り、ふと思う。


サニーに母の記憶は無い。

彼女は、扈三嬢は自身の命と引き換えにサニーを産んだのだから。


「……アルベルトも粋なことするねェ」


父親であるアルベルトと、その娘サニーとは強力なテレパシーで繋がっている。
寝ているサニーにリンクして扈三嬢の夢を送り込むことなど彼ならば可能だろう。
親子の縁を切ったと常日頃から言っておきながら………。
何だかんだ言っても娘には甘いんだ。


「全く……やることがいちいち可愛いんだよ」


さあて……今日はコレをネタにからかってやろう。

きっと全面的に否定するであろう盟友の顔を思い浮かべながら。




『母の日』SS。

三次の捏造設定入りまくりf^_^;