「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

山で出会った宝輪

2012年06月15日 | 日記

今日はもうすぐ行われる北山6月市の準備、椪番を貼ったり台帳の用意をしたり。早いもので、今年も半分が過ぎようとしています。

お天気は雨になるという予報、梅雨らしくムシムシと流石の北山杉の里にも暑さが重くのしかかってくるような気怠い午後。

こんな日は水音が感じられるような、少し涼やかなお話をしてみましょう。 

 

時期は5月のGW開けだったでしょうか。我が組合の秘密諜報員の「珍しい花が群になって咲いとるで!」という情報を得て、事務所を飛び出しました。場所は大森の西町を更に山手へ入ったところ。せせらぎの音に誘われて下へ降りると、小さな川が。清滝川の源流です。

その川べりにかれらは寄り添って咲いていました。

 

一見、鋸葉は野菜のようで逞しいですが可愛らしい花をたくさん付けています。

その名は「九輪草(くりんそう)」。

 

学名はPrimula japonica。サクラソウ科サクラソウ属の多年草です。湿潤地を好み群生するのが特徴で、6~8月にかけてピンクまたは白色の花を咲かせます。

茎を伸ばしながら段々と輪生し、その高さは30~50cmにもなります。

この幾段にもなって輪生する様子が、お寺の五重塔などのてっぺんにある柱状の飾りの中の「九輪」に似ていることから、この名が付けられたようです。 

 

【資料画像】

この柱状の飾り全体は「相輪」といい、中ほどの輪っかのところが「九輪」。「宝輪(ほうりん)」とも呼びます。

九つの輪は、五智如来(密教で五つの智恵を五体の如来にあてたもの)と四菩薩(普賢・文殊・観音・弥勒) を表しています。

 

そんな密教に通じる厳かな名前がこの草花に付いたのは何となくミスマッチな気がしないでもありません。

身近な自然や動植物を題材にした俳句で有名な小林一茶は、「九輪草  四五輪草で 仕舞いけり」と詠んでいます。

「ふむ、これがあの五重塔の上に飾られている九輪をなぞった花なのだな、な~んや四輪かせいぜい五輪しかないやんか。」てな感じで、実際、九輪草が輪生して九段まで伸びることはないようです。

 

花言葉は「幸福を重ねる」。

きっと幾段にも重なって花開くことからですね。また、「物覚えの良さ」という別の花言葉もあるようです。

 

もしこの地を一茶が旅していたら…たいそうな名前を付けられた九輪草は五輪くらいしかないけれど、北山杉を背景にした桃色の花は何ともキレイじゃないか、そんなに背伸びせずに毎年咲いておくれ。

こんな句を詠んでくれるのじゃないでしょうか。

 

河原から戻ってくると、道路の脇には何とも異様な光景がありました。根もあわらになった杉の大木に絡み付く…

 

美しい藤の花です。何となく殺伐とした風景に彩りを添えてくれる薄紫の花はまるでたわわに実るブドウの房のよう。

 

大きな蜂がちゅうちゅうと蜜を吸っています。

 

フジはマメ科ツル属。美しい花を咲かせる一方で、つる性で木に巻きついて樹冠に広がり、このようにかなり太くなります。

北山杉にとってツルは大敵。スキを見つけては絡み付きます。ツルが巻きついている杉は手入れが出来ていない証拠でもあります。

この大木はまるで大蛇に絡み付かれているみたい。生命力の強さ、恐ろしさを感じます。

 

そしてその根もとには「蝮草(マムシグサ)」。

葉鞘のまだら模様は本当に恐ろしいマムシを思い起こします。

 

この花のように見えるのは仏炎包(ぶつえんそう)といい、これは緑色なのでカントウマムシグサ。仏炎包が紫褐色のものはムラサキマムシグサです。

 

このマムシグサも秋が深まると真っ赤な実をつけるそうです。もう一度行ってみようかな?でもチョット怖いような気もします。杉の大木が大蛇にやられていなければいいけれど。。

 

九輪草を見た河原から道路へ上がる途中で、こんな珍しいものを見ることが出来ました。

あれ~?人造絞りのいつもの当て材料と違いますね~?

 

これは「人造変絞(へんしぼ)」。当て材料も幅広く大きく、針金でしっかり巻いてありますね。

通常の人造絞りは2~3年巻いておくのに対し、人造変絞は4~5年と長めです。 

 

これが人造変絞。コブがぼこっぼこっと出ていて、筋肉隆々のマッチョ絞りです。 

 

当て材料を外してた状態。何がどうなってるのかよく判らないですけど、皮を剥いたらあのように見事な変絞が姿を現すでしょう。

インパクトの強い、クセのある人造変絞も人気のある頃がありました。

 

今では変絞を作っているところは少なく、当て材料を巻いてはずした後も木そのものが曲がっていたりして、いわゆるお嫁に行けない変絞はこうして10年も山で佇んでいます。その表情は悲しんでいるようにも、怒っているようにも見えます。

 

秘密諜報員と尋ねた、大森の自然を見つめる大急ぎのラリー(時間にリミットがあったのでf^^;)

植物は自らをその特性に委ね、貪欲に生きる道を見つけようとしています。自然界での戦いに負けまいと必死です。

私たち人間は、ことの顛末を自然界のせいにしないで、もっと貪欲にもっと必死に生きなければならないことを知らされたようなひと時でした。

そんな厳しさを目の当たりにしても、ほっと心を和らげてくれる「北山の四五輪草」(笑)が来年は清滝川の傍を埋め尽くしてるのではないかしら、もしかして九輪まで伸びちゃうのではないかしら、などと想像しながら書いている今は梅雨。6月半ばを過ぎたところです。

こんな季節の可愛らしい果物、赤い宝石は?次回をお楽しみに!

 

 

 

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