月明かりの下の独り言

こちらに舞い戻って参りました。
こちらで、ちょっくら暑苦しく真面目な話題に、取り組んでいきたいと思います。

民主主義が民主主義を滅ぼすことはあるのか?

2008-01-06 | 民主主義とは
「民主主義が民主主義を滅ぼすことはあるのか。」

NHK33ヵ国共同制作「民主主義」
第2回 「先住民たちの革命」南米ボリビア

南米はかつてスペイン、ポルトガルの植民地であり、ボリビアでは現在も、白人もしくは白人との混血、外国人が土地と資本の大半を握っている。そこでアルゼンチンの記者が追った「民主主義」の手続きに則って進む「先住民たちの革命」。

モラレス大統領。南米初の先住民出身の大統領。
農地改革、天然資源の国有化、プラネの活動への援助、を公約の三本柱とし、人口の過半数を占める先住民から圧倒的な支持を得て大統領に当選。

ジョバナ・ナビ。プラネという、先住民の貧困女性の雇用を創出するプログラムに携わるシングル・マザー。プラネの活動を促進するために与党マス党から出馬し、仲間に支援されて国会議員となる。

エステル。ジョバナとともにプラネのリーダーとして活動。一度は汚職疑惑で追放されるが、ジョバナの人気低下に乗じて再びリーダーとして登場。

このドキュメンタリーは、主にこの三人をアクターとして追っている。
先住民や女性といった、従来はなかなか声を上げることのなかった社会的弱者らが、民主主義、つまり投票やデモ行進という手段に則って、大統領を、そして女性活動家を政治の舞台に送り込む。しかし、大統領もジョバナも壁にぶつかり、公約をなかなか守ることができず、事態は膠着状態に。次第に、かつての仲間たちや支持者たちが仲間割れをし、さらにジョバナを裏切り者として非難、断罪する。また、天然資源を擁する地域が自治権を求めて立ち上がる。

大統領を支持する人々が求めていることは、食料と雇用、そして先住民の誇り。
対極には、貧困層に土地を、資本を奪われることに抵抗を示す白人たち。
そして、そこには留まらない様々な利害の出現。

あからさまな利害対立。
社会主義とはなにか、という知識はないまま、食料、雇用を求めてモラレス大統領を支持する人々。
想定外の自己主張の出現。

これを見て感じたことを二つほど。

まず一つは、「革命」が民主主義的な手段で本当に実現するのだろうか。

「革命」の進展、希望を、記者はこの過程に見ているが、結局は、「民主主義」というある意味矛盾したシステムの中に「革命」が溶解していく過程を見せられているような気持ちになった。
人々が求めていることを「革命」で手にしたとしても、そこで手に入れたものをその後も守っていくことは、「民主主義」では非常に困難であり、さらに「革命」後に人々の要求もまた、多様化していく。
そもそも、「革命」というものは、一つの社会階層がある要求を持って支配層を打倒していくもの、であり、「民主主義」では特定の階層が打倒されてしまう、ということは恐らく許されず、全ての階層がそれぞれに尊重されていく物でなければならない。

二つめは、「民主主義」とはいったいどんな考え方なんだろう、というもの。

「民主主義」。
多数派による支配、というのがその実態になってしまっている感が強い。
けれども、その根本には、全ての意見を受け入れ、議論を尽くす、という考え方があるはず。
だけど、その全ての意見、というものが実はくせ者で、民主主義の根本を守ろうとした時には、民主主義を否定するような考え方でさえ受け入れなくてはいけない、という矛盾も生じてくる。
(どこかで読んだ話。ちょっと典拠を忘れてしまったので、それはまた後日)

そこには、小田実が繰り返し主張してきた「平和主義」が徹底されていない限り、いとも簡単に暴力が入り込んでくる要素が残されている。

「平和主義」とは、紛争を解決する手段としての武力行使を絶対に認めず、徹底して平和的手段のみを採用し、議論を重ねる、という考え方。
一方で、「戦争主義」とは、戦争を肯定しているわけではないが、紛争の解決手段として、最終的に武力行使を認める、という考え方。

だけど、「民主主義」の根本を考えると、「戦争主義」もあり得るわけで、いったい「民主主義」ってなんなんだ?


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