月明かりの下の独り言

こちらに舞い戻って参りました。
こちらで、ちょっくら暑苦しく真面目な話題に、取り組んでいきたいと思います。

恩田陸、優しくも恐ろしい「悪夢」の表現者

2007-09-08 | 読書
今日は、山崎まさよしのファンの方のブログで偶然発見した、私もお気に入りの恩田陸さんについて。

第一回本屋大賞一位を獲得し、映画化された「夜のピクニック」。
この映画についてたまたまネットで目にし、おもしろそうだなと思ったたため、自分は読んでもいないのに母に勧めてみたのが、彼女の短編集「図書館の海」。
「夜のピクニック」の前日談が所収されているらしい。
が、この時からすでに一年近く、実家に放置したままにしてあった。
最近、読んでいる最中だった本を持たずに実家に帰り、母の書棚に並べてあったこの本をようやく手にして一気に読んだ。

最初の印象は・・・「なんだ、こりゃ?」
話のオチがよく分からない、ホラーなのか、ミステリーなのか、よく分からない。
悪夢がループしてグルグルと繰り返しているような、気持ちの悪い感覚に襲われた。
でも、癖になる、オチがないから続きが気になる。
そこで、解説を読むと、なんと彼女自身の長編小説の予告編みたいなものがその本には多く所収されていた。
こうなると、長編の方を読みたくなる。
これは完全に彼女の術中に陥っている。
悔しさもかみしめながら近くの本屋さんに走り込み、「図書館の海」の中に外伝が収められていた「六番目の小夜子」と、幻の本を探し求める「三月は深き紅の淵を」、ミステリーの「不安な童話」を買い求め、一日一冊のペースで読み進める。

どの本にも共通するのが、独特の気持ちの悪さ。
ほめているようには思われないかもしれないが、私にとっては自分自身の悪夢や熱に浮かされているときの感覚であったり感触であったりを表現してくれる作家さんが大好きだ。
ほかにも、「蛇を踏む」で芥川賞を取った川上弘美さんは、新刊を必ずハードカバーで購入している。
気持ちがわるく、そして久しぶりに鏡を見るのが怖くなったほどの「Q&A」。
人間という存在が一番怖いことに、今更ながら気づかされる。

「三月~」の第2章や「蛇行する川のほとり」、「六番目の~」など、
出てくる女性がいつもあまりにも美しく、クールで、ぶれない、出来過ぎた感はぬぐえないが、女性から見てとても格好良く、気持ちがいい。

小説同士があちらこちらでつながっている。
たとえば「三月は深き紅の淵を」と「麦の海に沈む果実」、「黄昏の百合の骨」のシリーズとつながり、さらに別の「黒と茶の幻想」ともだぶってくる。
「ライオンハート」は一冊の中ではあるが、時代を行きつ戻りつしながら、つらなっていく快感。

まだまだ読んでいないものも多いので、これからがまた楽しみです。



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3 コメント

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はじめまして。 (月ママ)
2007-09-08 21:00:23
こんばんは。夕顔さんのところで拝見させていただき
ました。
恩田さんの大ファンでいらっしゃるんですね。
私も丁度一年ほど前に「ネバーランド」から読み始め
しばらくは恩田作品ばかりを、探していました。
図書館で借りてくるものばかりですので、蔵書以外
は未読なんですけど。
「ライオンハート」を読んだときは、その内容が
「ワンモア」に重なって、とっても感動した思い出
があります。
恩田作品、どれも好きですが自分としては
同じ40歳代の男女が出てくる「茶と黒の幻想」
が、とっても印象的でした。
長々と、すみません・・・。
また、遊びにきますね。
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Unknown (夕顔)
2007-09-09 00:12:52
こんばんは~遊びに来ました!
恩田さんって最近の作家さんというイメージだったんですが、けっこうたくさん出されてるんですね~。いろいろ読んでみようかな。
川上弘美さんの”蛇を踏む”あれも不思議な世界ですよね・・・・。たしかに、共通するかも。
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初コメントっっ (kuutamo)
2007-09-09 01:25:15
ありがとうございます。

>月ママさん
「ライオンハート」の中で繰り返される「ずっとあなたを探していた」「あなたに会えて良かった」って言葉、泣けますよね。
確かにome moreと重なる部分があるかも。
「黒と茶の幻想」を読んだ直後、TBSの世界遺産で屋久島が放送されました。確か明日(もう、今日ですね)が二回目のはずです。
映像ではその迫力が感じられないので、是非一度行ってみたいと思いました。

>夕顔さん
小説によって雰囲気ががらりと変わるのが、彼女のおもしろさだと思います。是非、また読んでみてください。
かなり筆が早いようで、現在も大量に連載を抱えてらっしゃるみたいですよ。
ちなみに、川上弘美は「神様」が大好きです。

これからも山崎氏についてもどんどん長文駄文書き散らしますので、良かったら読んでみてくださいね。


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