カーテンから差し込む朝陽で何となく目が覚めた。
しまった!一瞬寝坊したと慌てて飛び起きたのも理由があった。
昨日片道約400キロの道のりを雨が降る中を2号運転で来たからでもなく、
到着後の列車事故の影響で前夜祭に行けなかったからでもない。
出発の前日のこと、翌日は昼前に出れば余裕で到着と安心したのがマズかった。
取引のある銀行関係で大阪のホテルでの催しがあり、
毎度のことながら立食形式の食べ物なんてロクな物でも出ないので
乾杯だけ済ませて主催者側のお偉いさんにだけ出席アピールを済ませて、
早々に退場し何処か一人で一杯やって帰ろうかと思っていた矢先。
タイミング良くEちゃんから電話が掛かった来たのだ。
「オヤジさん今、何処なの?晩御飯でも一緒に食べに行きません~?」
当然のごとく二つ返事で地元の居酒屋で会うことになったのである。
そこまでは計算通りで美味しい刺身に焼酎、楽しい会話で文句なし。
二次会にスナックで飲んで帰ろうと思ったらもう1軒だけ付き合ってと言う。
幸いそこは今より自宅の近くだがタクシーでそこに送り込んで帰ろうと思ったら、
降りたEちゃん店先で男3人組と話しこんでいるじゃないの。
てっきりEちゃんが酔っぱらいに絡まれてるのかとタクシーを降りれば
その連中の一人が偶然にも客先の課長だったのよ。
実際は飲み屋が沢山入っているビルで
何処が良い店か教えてと言われただけだったらしい。
結局そいつらも引き連れて店に入ったのが運の尽き。
帰宅は午前2時半、翌朝は寝不足と二日酔いでフラフラ。
朝一旦会社に出向いたものの動いてなければ
即、眠ってしまいそうな状態だったからなのだ。
正直かなり不安があったものの車の運転と電車移動の時は
緊張しているからか全く大丈夫だったのが不思議なくらい。
で、起きて時計を見ればまだ午前5時半。
おそらく遠足や運動会前の子供と一緒で今日の期待と楽しみで
疲労なんてのを吹き飛ばしてしまったからなんだろうな。
ホテルからは車で15分の会場は「チロルの森」という観光施設。
オフ会以外にも家族連れでも遊びに来れる場所である。
その一角を予約占有してオフ会の会場が設営されている。
入場受付8時からで開会式は10時から。
あまり早く行き過ぎてもと7時半に行ってみてビックリ。
その時には幹事達の車も含めてもう30台位集結しているではないか。
車の置き場も年代別に10から40までのソアラを停めるように区分けされ、
尚且つ仲間同士や出身地ごとにある程度置ける配慮も考えられていた。
入場受付のテントで傘を片手にチケット配布をしている男性こそが
あの「纏さん」だと胸のバッジで判った時は嬉しくなっちゃいましたね。
ネットだけでやり取りしただけの人物、まあイメージとはギャップがあるのは
当たり前だが纏さんはそれ以上に全く私の想像外の人でした。
背が高く若いのにまず驚く、おそらくは30代後半か40代前半ではないか。
また何かスポーツをしているのかモヤシみたいな体型でなく、
バスケットかバレーでもやっていそうな胸の筋肉は着ているシャツからでも
十分に判るような体つきをしている。
当たりが柔らかく物腰も低いがまあ本気で喧嘩はしたくはないくらい強いだろう。
前夜祭のキャンセル代も参加者で賄えたからと受け取ってもらえなかった。
私が案内されたのは初対面ながら同じ関西地区の常連メンバーで
私の自宅から30分くらいに住むKIYOさん、息子を同伴の参加だ。
いつもの関西ソアラ会のメンバーながら色々な事情で
たまたま私とは入れ違っていただけだったのだ。
地元で年齢的にも近いのもあり当然話は弾む。
因みに彼は新車発売当時からの根っからのソアラワンオーナーでもある。
その後も続々とやってくるソアラ、またソアラの集団。
あっという間に9時過ぎるとかなり一杯になってきた。
Tさんも朝早出の運転でKIYOさんの反対隣に駐車。
この頃になると予報通りの雨も上がって曇り空になってきたからまた驚き。
みんなの気持ちや纏さん達の実行委員会の思いが天に通じたようだ。
そのうち誰かが受付方向を見て「まる助さんが来た来た!」
彼もソアラ会では超常連の人気者、窓を開けて皆に手を上げ挨拶しながら
私の前をゆっくりと通過し一番奥の九州地区の場所に停まった。
また彼も嬉しい方の大きな誤算だった。
気の優しい面倒見の良い人なのは間違いないが
男の私から見てもカッコイイ男性だ。
見た目はそう今は亡き原田芳雄の若い頃を髣髴とさせ、
それよりもう少し背を高くしたようなチョイワル親父予備軍みたいな雰囲気。
こりゃあ女性にさぞかしモテルだろうなあ。
いやもう既に博多辺りでは泣かせた女も数え知らずなのかも知れない。
なんて思いながら早速日頃のお礼に挨拶に出向く。
会場のあちこちでは「よう1年ぶり!」とか「近いのに全国オフでしか会えないね。」
とか皆さん非常に和気あいあいのさながら同窓会の気分のよう。
主催者の纏さんは色々と忙しいし、まる助さんも引っ張りだこで
あまり長い時間は話せなかったけど無理してでも行って良かった。
ヴァーチャルで出会いリアルに触れる醍醐味、魅力は格別だ。
纏さんのHPでの全国オフ会案内のキャッチコピー。
「行かずに後悔するより、行って一生の思い出を作りましょう!」
この言葉に全てが表現されていると言っても過言ではない。
往きも帰りも予報通り雨中の運転だったというのに、
結局オフ会開催中は最後の閉会式まで雨は全く降らないままだった。
纏さん自作のパーツも買ったし抽選の景品もしっかりいただいた。
後は帰り支度に2号の駐車区画のガムテープを剥がして全て終了だ。
車に戻るとキャップを斜交いに被ったお兄ちゃんが
カメラでパシャパシャ撮っている。
20代かと思うカメラ小僧風の若者から「オーナーさんですか?」と聞かれて
話をすればソアラのオーナーでありながら某雑誌の記者だと言う。
旧車の専門誌なんてあるのも全く知らなかったんだけどね。
20ソアラの場合3リッターや2リッターのツインターボ車が殆どで
私が見た限り低グレードのVXというのはこれ1台しか無かっただろう。
どうもフェチというかオタクというのか珍しいと写真を撮られ、
確約は出来ないけど仮に雑誌に載せても大丈夫ですかというので
快く了解し連絡先だけ教えておいた。
もし掲載されたら是非購入するとしよう。
纏さん本当に有難う、お世話になりました。
お陰様でとにかく楽しい一日でした。
ある意味ソアラだからこそ全国にこれだけの熱心なオーナー達がいて、
情報交換やメンテナンス等を懸命にやって維持出来ているのではと思う。
トヨタ関係者の皆さん、これをご覧になったならアフターパーツの
再販検討を是非ともお願いしたい。
少なくともこれだけの熱いユーザーがいるのは判っていただけたかと思う。
だって「世界にひとつ、日本にソアラ」だろ。
(了)