以前の記事において、海兵隊でマルティニー・ヘンリー銃について軽く触れましたが、新しい資料を発見できたので記事にしたいと思います。
まず結論から言うと、マルティニー・ヘンリー銃は海兵隊では採用されていなかったと見て問題ないと思われます。
「あれっ、Wikipediaには使ってたって書いてあるよ!?」と思われた皆さん。確かにマルティニー・ヘンリー銃は使用されていました。
海軍では。
といいますのも、今回発見した2つの資料は海兵隊廃止後の明治9年以降の書類で、これ以前の水兵本部および海軍省の資料には、同銃が海兵隊で使用されていたという記述が一切無いのです。
以下に、根拠とした資料の題名と抜粋、私の考察を記します。
資料一「往入十二 海軍使用小銃確定の件東海鎮守府上甲」
これは東海鎮守府司令長官 伊藤祐麿少将が、明治9年9月29日に海軍大臣 川村純義に宛てた上申書で、その中に以下の記述がありました。
~以下資料より抜粋(但しカタカナ及び一部の漢字をひらがなへ変更し、句読点を挿入してある)~
現今(げんこん、現在と同義)所轄の艦船にて使用致し候小銃は「スナイダ(スナイドル銃)」並「ヘンリー、マーチ子ー(マーチネー)」の両種にして
~中略~
追而(おって、追記と同義)両種の小銃相用いたし候内「スナイダ」銃その多きにいたり、独り清輝艦のみ「マーチ子ー」銃お渡し相成り居たし候
~以下略~
~抜粋終わり~
この資料は、ざっくり言うなら「スナイドル銃とヘンリー銃が混在してるから、どっちかに決めてくれ」という上申書です。
これに対する回答は「往出第六十五号の通り~略~」でした。
この往出第六十五号とは以下に示す文章のことで、ざっくり言うと「海軍の制式小銃は当分の間スナイドル銃とする」です。
海軍省 明治9年公文備考徃出巻14自1至170
海軍大輔 川村純義 明治9年10月13日
海軍省 東海鎮守府 軍務局
「明治9年公文備考往出巻14自1至170
海軍使用之小銃従来区々ニ候処当分スナイトル銃ト相定候条此旨相達候也
明治九年十月十三日
海軍大輔 川村純義
東海鎮守府司令長官海軍少将 伊東祐麿殿
軍務局長海軍大佐 林清康殿
兵学校長海軍大佐 松村淳藏殿
兵器局副長海軍少佐 末川久敬殿
往出第六十五号 原因ハ往入第十二号ニアリ」
資料二「軍二套第三十五号 マーチニーヘンリー銃操法書印刷之義上申」
こちらは明治11年1月31日に軍務局長 海軍大佐 林清康が海軍大臣代理に宛てた上申書で、その中に以下のような記述がありました。
~以下資料より抜粋(但し同上)~
従来諸艦船へ御備付のスナイドル銃を廃し、更にマーチニーヘンリー銃御備付可相成(相成るべく)見込については、右銃の操法書、元海兵隊規則取調掛において
~以下略~
~抜粋終わり~
ここでは紹介しませんが、海軍省は明治10年、陸軍省の倉庫に大量のマルティニヘンリー銃と同銃弾薬を預けており、同年に「入用に付」受け取っています。
以上の事から、海兵隊において制式採用された小銃はスナイドル銃、短スナイドル銃、砲兵用としてミニエー銃の三種類(ミニーヘル銃というのがスナイドル銃のことであった場合は二種類)で間違いないと言えるでしょう。
もし使っていたとしても、同銃が配備された艦の海兵などの一部部隊であったと思われます。
ちなみに資料によっては「短尾栓銃」という記述があるのですが、ミニエー銃のことでしょうかね?
明治の資料は書き手によって表現方法が変わるのが厄介です。
マルテニヘンリー、ヘンリーマルチニ、マーチ子ーetc.
まず結論から言うと、マルティニー・ヘンリー銃は海兵隊では採用されていなかったと見て問題ないと思われます。
「あれっ、Wikipediaには使ってたって書いてあるよ!?」と思われた皆さん。確かにマルティニー・ヘンリー銃は使用されていました。
海軍では。
といいますのも、今回発見した2つの資料は海兵隊廃止後の明治9年以降の書類で、これ以前の水兵本部および海軍省の資料には、同銃が海兵隊で使用されていたという記述が一切無いのです。
以下に、根拠とした資料の題名と抜粋、私の考察を記します。
資料一「往入十二 海軍使用小銃確定の件東海鎮守府上甲」
これは東海鎮守府司令長官 伊藤祐麿少将が、明治9年9月29日に海軍大臣 川村純義に宛てた上申書で、その中に以下の記述がありました。
~以下資料より抜粋(但しカタカナ及び一部の漢字をひらがなへ変更し、句読点を挿入してある)~
現今(げんこん、現在と同義)所轄の艦船にて使用致し候小銃は「スナイダ(スナイドル銃)」並「ヘンリー、マーチ子ー(マーチネー)」の両種にして
~中略~
追而(おって、追記と同義)両種の小銃相用いたし候内「スナイダ」銃その多きにいたり、独り清輝艦のみ「マーチ子ー」銃お渡し相成り居たし候
~以下略~
~抜粋終わり~
この資料は、ざっくり言うなら「スナイドル銃とヘンリー銃が混在してるから、どっちかに決めてくれ」という上申書です。
これに対する回答は「往出第六十五号の通り~略~」でした。
この往出第六十五号とは以下に示す文章のことで、ざっくり言うと「海軍の制式小銃は当分の間スナイドル銃とする」です。
海軍省 明治9年公文備考徃出巻14自1至170
海軍大輔 川村純義 明治9年10月13日
海軍省 東海鎮守府 軍務局
「明治9年公文備考往出巻14自1至170
海軍使用之小銃従来区々ニ候処当分スナイトル銃ト相定候条此旨相達候也
明治九年十月十三日
海軍大輔 川村純義
東海鎮守府司令長官海軍少将 伊東祐麿殿
軍務局長海軍大佐 林清康殿
兵学校長海軍大佐 松村淳藏殿
兵器局副長海軍少佐 末川久敬殿
往出第六十五号 原因ハ往入第十二号ニアリ」
資料二「軍二套第三十五号 マーチニーヘンリー銃操法書印刷之義上申」
こちらは明治11年1月31日に軍務局長 海軍大佐 林清康が海軍大臣代理に宛てた上申書で、その中に以下のような記述がありました。
~以下資料より抜粋(但し同上)~
従来諸艦船へ御備付のスナイドル銃を廃し、更にマーチニーヘンリー銃御備付可相成(相成るべく)見込については、右銃の操法書、元海兵隊規則取調掛において
~以下略~
~抜粋終わり~
ここでは紹介しませんが、海軍省は明治10年、陸軍省の倉庫に大量のマルティニヘンリー銃と同銃弾薬を預けており、同年に「入用に付」受け取っています。
以上の事から、海兵隊において制式採用された小銃はスナイドル銃、短スナイドル銃、砲兵用としてミニエー銃の三種類(ミニーヘル銃というのがスナイドル銃のことであった場合は二種類)で間違いないと言えるでしょう。
もし使っていたとしても、同銃が配備された艦の海兵などの一部部隊であったと思われます。
ちなみに資料によっては「短尾栓銃」という記述があるのですが、ミニエー銃のことでしょうかね?
明治の資料は書き手によって表現方法が変わるのが厄介です。
マルテニヘンリー、ヘンリーマルチニ、マーチ子ーetc.