新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

紫陽花と小石

2022年10月21日 | 毒男のグルメ
10年くらい前の話である。

ある若手気鋭が経営する和食レストランで、お造りが見知らぬ植物の葉に載せられて出てきた。

大葉のように食べられるのだろうと思った。

しかし、その葉っぱは、あまりおいしくなかった。がっかりした。

皿を下げに来た店員さんから紫陽花の葉だと知らされると、同席の人たちは「普通食べないわよ」「君はカタツムリか」と私をバカにして、笑い出した。

私は納得がいかなかった。和食は出されたものをすべて食べるのがマナーだと思っていたからだ。

しかし、カタツムリだって、紫陽花の葉は食べない。有毒だからだ。

お店の人も一緒になって笑っているのに、私は呆れた。

帰って調べると、2008年に飾り葉に使用された紫陽花の葉を食べた人が食中毒になる事例が相次ぎ、保健所も注意喚起していた。お店の人のたんなる不勉強、不手際ではないのか。私がアホであることは否定しないが、そこまで笑われることではないと思った。

太宰の『水仙』のしじみ汁ではないけれど、食べ物の恨みは深い。この夜、このお店で私を笑いものにした人たちとの関係は、ひょんなことから途絶えてしまった。

どうでもいい昔の話を思い出したのも、ヴェジタリアンのフランス人の来賓と会食された方から、こんな話を聞いたからだ。

来賓のその方は、最初の突き出しのヴェジェタリアン用の小皿をつまんで、「小石が入っている」と言って手をつけなかったという。「霰(あられ)みたいなものだろう。食べたらわかる」と薦められても、手をつけようとしなかったそうだ。なんと、食材を飾るのに本物の小粒の石で囲んでいたようで、おそらくつまんで噛んで、驚いたのだろうということだった。

この話を教えていただいた方は、「飾りに石を使うとは良くない趣味だ」と語っておられたけれど、私も同感である。石にも紫陽花同様に誤飲・誤食の危険がある。

料理の飾りに石を使うのは、初めて聞いた。ライター時代は何でも屋だったから、グルメ記事も書いていた。今はそういうことがあるのだろうか?


料理の飾り用の石があるのかと思って調べてみた。しかし「飾り石」「化粧石」でヒットするのは園芸用のものばかりである。あまり一般的ではないようだ。

ここで、いやなことを思い出してしまった。今月はじめ、ツイッターでバズって(爆発的に拡散されて)いた、こんなつぶやきである。

昨日店にヴィーガンの人が来た。
生き物を食べるのは〜と持論をかたりだしたんだけど、隣で飲んでた農家の人が「全ての食べ物は生きてるから、お前は石でも食ってろ。お勘定!」って帰っていった。気持ちの良い夜でした。



このお店に来たヴィーガン氏は、「人それぞれ考え方もありますので」とやんわり伝えても、「私は水しか飲むなってこと⁈」とキレだす、はた迷惑な人だったようだ。

しかし水だって、微生物を熱や薬品で殺さなければ、お腹を壊してしまう。無農薬栽培は可能だったとしても、虫や蛇や獣を殺めずに農業はできない。合鴨農法の合鴨も最後はおいしくいただくのだし、水田から水を抜けば水生生物は干からびて死ぬ。

私もこの農家の人やお店の人と考えることは一緒である。

しかし目に見える形での直接の殺生を避けたいという、ヴィーガンの考えや心情もよく理解できる。
「肉や魚を食べたければ、自分で獲物を捕まえ殺して解体しろ」といわれたら、私だってヴィーガンの道を選ぶだろう。魚釣りの道があるけれど、近所の川で釣った魚を食べる気にはなれず、海まで出ていくのは大変だ。

ヴィーガンの客人とお店に行ったとき、お店の人に微妙な対応をされたことを思い出す。対応はしてくれたが、はっきりいって迷惑そうだった。すき焼きや寄せ鍋がメインのお店で、手間は一緒なのに湯豆腐では利幅が小さいからだろうと思った。今は宿坊型ホテルの精進料理専門店などもできているが、当時の大阪にはそんな洒落た店はまだなかった。

くだんのレストランも、近江牛のコースが売りらしい。わざわざ飾りに石を使うなんて、「ヴィーガンは石でも食ってろ」という悪意あるメッセージでなかったことを祈るばかりだ。

そんな悪意はなく、花壇か何かをイメージしただけかもしれない。しかし、石には誤食・誤飲のリスクがあり、さらに「ヴィーガンは石でも食ってろ」というツイートがバズっている中で、石を飾りに用いるのは避けたほうがいいに決まっている。

そういえば、懐石料理の「懐石」は、禅宗の僧が一時的に空腹をしのぐために懐へ入れていた「温石(おんじゃく)」にちなむものだったね。温石とは、蛇紋岩(じゃもんがん)や軽石などを火で焼き、布に包んだものだったそうな。

「ヴィーガンは石でも食ってろ」というヴィーガン差別は許せないが、「糖尿病患者は、石でも抱いてろ。水でも飲んでろ」というのなら、わからないでもない。

空腹感をまぎらわすために、オフィスグリコの間食頼りで、管理栄養士さんに心配されていた。しかし空腹感は、水分不足のシグナルでもあるようで、水を飲むだけでも、空腹感が満たされることを学んだ。そのおかげもあるのか、酒ばかり飲み続けているのに、今月のHbA1cは6.7から6.4に改善していた。来月は、もっと数値が改善するかな?



ん? れんちゃん、どうしたの? 去年のいまごろは、お弁当作っていたね。また再開したほうがいい? でも、会社の仕出し弁当のほうが、安くておいしくて栄養バランスもいいんだ。しかし、新潟から新米を送ってもらったし、ご飯を炊いたときはお弁当にしてもいいね。

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2 コメント

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Unknown (ryuchyun)
2022-10-23 20:51:52
こんばんは。
優しいコメントありがとうございました。
m(_ _)m
で、確か、一昨年でしたかね?大阪市内の店で料理用の飾りとして添えられた紫陽花の葉を食べて食中毒になった事例が出たのは?
しかし、どう考えても出した店側が悪くなりますからね…何故使用したのか不思議です。
(・。・;)
小石にしても…飾り付け?
見た目が大きい石ならば、焼石を使った料理などで見ることはあるけれど…
口に入るような大きさの石などは、子供が誤飲する恐れもあるので、間違っても添えて出すべきではないですねぇ。
確かに「食」は見た目も大事なのは解りますが…せめて、口にしても安全な物を選んで添えるべきです。
あと、ヴィーガンも自称が多いですからね。
(^。^;)
いわゆる、エセヴィーガン。
食物連鎖を完全に、はき違えてて…肉食者は不健康で「肉食=悪」みたいな価値観を押し付け。。。
野菜は健康だからといって大豆でできた偽肉料理を食べて満足しているやつとか(笑)意味わからんですなw
(^o^;)
とにもかくにも世の中…矛盾した価値観の持ち主は多いですね。
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Unknown (くろまっく)
2022-10-24 19:42:43
こんばんは。こちらこそ、ご訪問、コメントありがとうございます。

紫陽花の食中毒、最近もあったんですね。
業務スーパーで見かけない葉っぱは食べたらだめですね。

実家が旅館で、観光業の方に聞きましたが、舟盛りはいろいろ飾りがあるけれど、石は聞いたことないなあというお話でした。

石焼きハンバーグも、最初は面白かったのですが、途中で飽きました。生焼けで食中毒のリスクもあるから、やめとこうと思います。

ヴィーガンについては、また機会を改めて論じ直すかもしれません。
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