「建築」と 「ものづくり」

 倉布人 一級建築士事務所

■節分、寒明け■

2006年01月31日 | 住宅
早いもので、もう2月になってしまいます。汗;
私たちの仕事では、暦は欠かせません。
家相については、あまり気にしない、という方もいるのですが、この「暦」については、ほとんどの方が、ふさわしい日、を選んでいます。
いくら今の時代に、と言っても、仏滅を上棟の日にする方は、これまでもいらっしゃいませんでした。
「大安」でも「三隣亡(さんりんぼう)」の日は避けた方がよい。など、正直、こういう仕事をしていなければ気にもせず、知らなかっただろうと思う事は多くあります。

さて、建築の着工などは、施主の歳回りで「寒明け」に、という希望をされることも多いのです。
「節分(寒明けの前の日)」が厄の区切りとされているからです。

「厄年」は、中国の陰陽道が起源とされています。
一般的に身体や環境の変化が起こりやすいと思われる年令であって、注意すべし、という意味では現代にも通じているのではないかと思います。
厄年は一般的に数え年で、男性25、42、61歳。女性19、33、37歳で、男性の42歳と女性の33歳は大厄とされ、前後年を前厄・後厄として3年間身を慎むべきであると。

この数え年というのは、0歳と言う概念がなく、生まれると1歳。正月に年齢が増えていく、ということなのです。ってことは、誕生日は皆、元旦?!
新年に誕生日を迎えていない人(つまり早生れ)は満年令に+2歳、既に迎えている人は+1歳、と計算します。

この地方では、若い方でも、そういう習わしを大切にしています。
地鎮祭、上棟、引越しなどの節目は、特に気にされます。
多くは親御さんからのアドバイスなのですが、こういう部分で、親御さんも家造りに参加されているのではないかと思うのです。
人生の大仕事なだけに、この時は若い方も親御さんの仰る事を決してなおざりにはしません。
習わしや伝統を大切にする事は、安心して住む、と云う事につながっていくのですから。
もちろんこれは、あくまで精神的なものでありますから、気にするかどうかは、それぞれの考え、ということになります。
起源も「だろう」と云う事が多いですし。
ちなみに倉田も私も「厄除け」はしていません。(笑)

「鬼は外、福は内・・・」
この鬼が嫌うのは「柊(ひいらぎ)」の葉。
鬼門(北東)や門口に柊を植えると災いが入ってこない、と言われます。
我が家の玄関先のプランターにも、小さな柊の木が植えてあります。

さて、お豆を年の数だけ食べられるでしょうか?そろそろ辛くなってきた私です(苦笑)

皆様にも、福がたくさん訪れますように・・・。

■切手■

2006年01月25日 | 事務所雑記

倉布人では、書類を送る際、記念切手を使っています。
同じ切手ならば、楽しい方がいいですよね。
これまでも、20世紀シリーズの中で、アニメでは「アトム」や「スーパージェッター」があったと記憶しています。
ミッフィーやドラエモンも50円切手(ワンシートセットで80円もついていたかもしれません)であったような・・・

切手は、送る相手や内容を考えて選ぶようにしています。
事務所の商用としては、建物や風景のものを選ぶ事が多いですね。
アニメ切手は、ワタクシのキャラクターを理解してくださっている方に(笑)


今日知った話題によると・・・
■日本郵政公社は「特殊切手アニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ」の第3集として
「銀河鉄道999」の切手を2月1日に発売する。1シートは80円10枚で、
メーテルや鉄郎らの登場人物が描かれている。
http://www.japanpost.jp/pressrelease/japanese/yubin/060125j202.html
だそうです♪かつてのファンとしては、是非、手に入れたいなぁ♪(笑)

以前に比べて、記念切手が多く発行されているように思います。
コレクターではないのでどんどん使ってしまっておりますが。

しかし、使うのにためらってしまうのは、倉田が富士山登頂の際に、手に入れた記念切手。
何時間もかけて富士山頂に登り、言葉では語れぬ程の感動があったようです。
簡単にいける所ではありませんから、やはり記念にとっておきたいと思うのです。

最近は、図面もPCからMAILで送ったり、書類は24時間受付けてくれるコンビニからのメール便など早くて便利なものを使う事が多くなっています。
しかし、(死語になりつつある)「アナログ」な倉布人サイト管理人=ワタクシσ(^_^)には、季節ごとに直筆の絵入の葉書を送ってくれたり、旅先から一言入れた絵葉書を送ってくれる、これまたアナログな友人たちがおりまして。(笑)
本当に心温かく、嬉しく思います。
また、娘がお世話になっている先生は、写真を差し上げたりすると、すぐに直筆でお礼状をくださるのです。その心遣いと、気持ちの熱いうちに書いてくださる一言・・・学ぶべき所があります。
私も、せめて宛名などはワープロを使わず、下手でもいいから心を込めて直筆で、と思うのです。

■白川郷■

2006年01月19日 | まち・旅

春が待ち遠しくなると、白川郷の風景を思い出す。
2003年の3月末~4月、家族で出掛けた岐阜への旅。
交通事情により、2日目の予定が変わってしまい、白川郷での宿泊は本当に思いつきで、途中で観光協会に電話をしたのだ。
この時期は閉めている民宿も多いようで、しかも飛び入り。
やっと「幸ェ門」さん に宿泊できることに。


「あいにく主人は留守ですが。」と女将が迎えてくださったその合掌造りの民宿は、宿泊客は我が家だけ。貸切です。
囲炉裏を囲み、郷土料理とにごり酒をいただきながら、女将と語り合う。静かな夜。
生活の不便さなどから激減していく合掌造り。白川郷荻町では守る会を発足し「売らない、貸さない、壊さない」の住民憲章を制定し、村ぐるみで保存運動を推進した。保存活動を始めてから、外に出て行った若者達が戻ってくるようになったという。

こうした活動がつながって、平成7年に「世界遺産」の登録が決定。
それによって地元の人々が考えた事。変わったこと・・・。
幸ェ門のご主人は「古いものを守るだけでは継承していくことはできない。」と建物の改修を行った。内装のイメージは残しつつ、設備は現代の生活に見合ったものに。
水回りは快適で、床暖房によって部屋の中は暖かい。
継承し、守る、ということ。それは漠然としたものでない。
生活していく以上、糧となるものが必要であり、時代の移り変わりに対応していく事も必要である。その中で変えてはいけないものを、受継ぎ、伝えていかなければならないのである。
その立場にいる女将と話ができたことは、この旅の大きな収穫であった。

次の日は早起きし、家族揃って散歩に出掛ける。まだ薄暗く深く霧がかかっている。
ビューポイントと女将に教えてもらった峠に向う。
霧が深く、麓が見えない。あきらめ、下りてきた頃には陽が射し始めていた。
合掌造りの茅葺屋根から煙が上がる。そろそろ朝食の準備が始まっているのだろう。
囲炉裏の部屋で朝食をいただく。きらきらとした光が射す。格子の影が床に映る。

その後、2階に案内していただいた。
日本の簡素な建築を好んだドイツの建築学者ブルーノ・タウトは著書「日本美の再発見」で
白川郷を世界に紹介し、「この構造は極めて論理的、合理的で日本には珍しい庶民の建築である」と評価している。
小屋裏はかつて養蚕の場所として使われ、生産の場であった。
囲炉裏の煙は2階の床を抜け、梁や茅をいぶし、防虫防腐の役目を果たしている。
釘を使わない造りは柔軟性があり、風圧や積雪による動きに耐えられるようになっている。
急勾配の屋根は除雪の為であり、この茅の葺き替えは村人の共同作業「結」によって行われる。山間部で釘などが貴重品であった為、村の材料を使い、できるだけ費用をかけずに自分達の手によって作業を行う。

古来からの日々の生活によって生まれた建築。
機能美というものは、意匠の上でも美しいものである。

宿を後にし、民家園など回り、帰路に。
朝見ることが出来なかった峠に立ち寄り、白川の村を一望。
5月の連休ともなると、観光バスが連なり、大変な人出になるという。
雪が残る風景を眺め、静かなこの時期に来てよかった、と思った。

茅葺屋根から立ち昇る煙、残雪が朝陽に照らされる。
春の陽だ。雪深いこの村に春が訪れる、そんな希望に満ちた朝の光景だった。

寒かった・・・

2006年01月10日 | 現場より
お正月休みが明けて、世間は再び3連休。
お陰様で集中して仕事ができました。倉田は昨年からの仕事の最後の追い込み。
私は、他に管理しているサイトのリニューアル(昨年秋の予定がずるずると・・・)ひとまず完了
そして、デスク周りの片付け。図面や書類の整理。年越してやっと・・・
今、私のデスクは大変広々しています。満足♪

さて、今日は午後から、現場をまわり。
まー、どこに行っても、ミゼットは話題になります(笑)

3軒目の現場は、若手の大工さんが軒天を施工中。
筋交や金物などのチェックをし、その後、工程の確認などしながら、雑談に及ぶ。
彼はいわゆる伝統工法の施工ができる大工さんです。
今は集成材を使う事も多くなり、そのほとんどはプレカットと言って、工場で仕口や継ぎ手の加工をする為、現場で鑿(のみ)や鉋(かんな)を見ることが少なくなりました。
自分で加工する大工さんは、木のクセなどを読みながら、のみで彫ってきざみ加工をするのです。
彼の若さでそれが出来るというのは希少ですから、自分の分野としてしっかり身に付けていくべきだと思います。
でも、これからは、新しいものを見ること、知ることも大切でしょう。そういう技術を持った人ほど、私たち設計事務所とコラボレーションすべきではないかと。
「住宅」の仕事が好きだという彼。
例えば独立して仕事を得ていく上では、法規上の必要事項、数値や書面上で示すことのできる安全性、多くの情報の中から要求されるデザイン、そういう部分において難しさを感じるでしょう。
なぁんて話をちらっとしたら、引き止められて帰れなくなった(笑)

そう、彼は、まだ修行中ながら、これから自分の行く先を模索しているのです。
いろいろな事を知りたいのです。私も偉そうに言える立場じゃありませんが、設計という立場からみた現場は、また観点が異なるのです。
クライアントの意識も一昔前とは変わっています。今回の偽造の件も、法の見直しなど少なからず影響があるでしょう。
「人」としての信用はもちろん、これまで以上に「専門家」としての資質を問われる時代になります。さて、どの様に仕事の上での信頼というものを得ていくのか・・・

こういう現場でのやりとりは大好きです。
お馬鹿な話もいたしますが(苦笑)意識を高める有意義な語らいもあるのです。
一日の作業がもうすぐ終わるという時間に行ってそんな話をしていたら、いつの間にか陽は暮れ、真っ暗。

で、お互いふと我に返ると・・・寒いじゃん! 彼はトイレに駆け込んで行きました(爆)
身体はすっかり冷え切って。とほほ。

おまけに私、筋交にぶつかって左の頬に傷を作ってしまったわい!T_T;

手帳

2006年01月05日 | 事務所雑記
就職して初めてのボーナスで、両親に象牙のお箸、自分には学生時代から憧れていた「fILOFAX」の手帳を購入しました。
しっかりとした肉厚の黒皮のシステム手帳でした。
その分厚い手帳をいつも持ち歩いていて、未だに友人には「いつも重そうな手帳持っていたよねぇ」と言われて(苦笑)
書き込んだ過去のリフィルは、紐閉じし、かなりの厚さになっています。
スケジュールと共に、食事のメニューや日記のようなメモ。友人知人のアドレス等。
秘密の「黒皮の手帖」(笑)
7年ほどして、スナップボタンがゆるくなり、馴染みの事務用品屋さんから直しに出したら、無料で直してくれた上、皮にワックスまでかけてくれてありました。さすがブランドもの。

結局、12年程使い、スナップの帯が切れたりして、Bindexの茶色の手帳に替えました。
持ち歩きに便利なように、それまでより薄い物に。
(←写真)これも何年経つでしょうか。わ、汚いなぁ・・・^_^;
お手入れしないと。

今やアドレスなどの情報は携帯やPCの中に納められるようになりました。スケジュールも携帯電話に入れるようになり。アラームで知らせてくれて、確かに便利です。
で、ここのところ、手帳に書き込むことが少なくなってしまいました。
でも、予定だけを入れたのでは、日々の記録としてはおもしろくありません。
その日に誰が電話をくれたとか、誰が来たとか、娘が風邪ひいたとか、旦那と喧嘩したとか、現場の監督とやりあったなんてのも(笑)
お得意のイラストで「ぷんぷん!」なんて描いた過去のを見ると、やっぱり、ちょこちょこ書き込む手帳は愛らしい。

この手帖のリフィルにも試行錯誤があって、どういうものが使いやすいか、毎年変えてみたりしていました。fILOFAXの紙は薄くて私向きではなく。
いくつか試して、Bindexの週間ダイアリーのリフィルに落ち着きました。
この「週間タイプ」の構成にも何種類かあり、また数年試行錯誤。
一昨日、「今年はバッチリ記録するぞー!」と意気込んで、新しいリフィルを買ったのに種類を間違えてしまい、再びお店に戻って取替えてもらいました。(苦笑)

手帖と合わせて、いつも持ち歩いているのは葉書大のクロッキーブック。
もう少しまとまりのある使い方をしたいのですが、思いついたり、情報を得たりしたら、スケッチやメモ、何でも書き込めて、重宝しています。

さて、今年の手帳には何が書き込まれるのでしょうか・・・
新しい手帳に書き込むのは嬉しくてワクワクします。有意義な一年にしたいですね。

皆さんはどんな手帖を使っていますか?