「建築」と 「ものづくり」

 倉布人 一級建築士事務所

■古民家調査■

2006年05月03日 | 現場より
GWなど、全く関係のない倉布人です(泣;)
今日は、LNの仲間と共に、とある古民家にて調査を行いました。
増田千次郎先生が手弁当で来てくださり、レクチャーを・・・。勉強になりました。
これまで、LNの仲間でいくつかの古民家を調査してきましたが、
いろいろな意味で、甘かった!と感じました。
時代背景から様々な想定をする。今の時代の建築の概念を捨て去る事。
そのお話しは、本当に面白かった!引き込まれるものがありました。
先生自ら、Gパンに着替え、身体を使って小屋裏を覗いたり。
文献ではなく現場で感じ取る、というその姿勢には感銘を受けました。
白髪になってもまだ、こうして嬉々と語る、とても粋な方です。
またひとつ、私の建築の道に、新しい風が吹いた。嬉しい一日。

その後、仲間と移動し倉布人事務所にて、リニューアルする「設計衆団 Learn-Network」のサイトについて検討。
担当、私です・・・^_^; 只今、制作中。近日公開!お楽しみに!
(実は仲間から「早くUPを!」と、追われているのですが・・・苦笑)
これで、倉布人、娘のお世話になっている舞踊団、LNと、
3つのサイトの管理人となるわけです。・・・・ぎゃを!
しかし、いずれもそこに熱い想いがあっての事。
私らしく、伝えたい事を表現していきたいと思っております。

■スタジオセット■

2006年04月06日 | 現場より

約一週間で、提案~完成。
CPS放送制作のスタジオセットです。
5月から放映の浜松ケーブルTV
「STEP UP はままつ」のバックに使われます。

ナチュラルとPOP、2つの提案をし、予想通り(?!)、ナチュラルなイメージのセットに決定。
こういうものは、現実の世界ではないので、いろいろな案が浮かぶ。
自分の中でも決定打を出すのに迷ってしまう事もあります。
時間が無い、という事は「よし!これで!」という踏ん切りをつける為に、幸いしているのかもしれません。

奥行を出したい、というご希望だったので、元々あった背面のパネルをカメラに対して平行ではなく、デフォルメして斜めにセッティング。
写真では解りにくいのですが、階段の壁は珪藻土で荒く塗ってあります。
イメージに合う物を捜して発注する時間もなかったので、ホームセンターで材料を探してきては、色々と工夫を。そう、白いラティスも塗りましたしね。(苦笑)

夢が無くなってしまいますので、タネ明かしはこの辺で・・・^_^;

昨年度に使用したセットはこちら→
急に決まって、とりあえず、ということだったらしいです。
「これねー、アナをアップにするとK朝鮮の国営放送みたいになっちゃうんですよー。」というコメントに爆笑。( ̄∇ ̄);

いかがでしょうか?
イイ感じに変わったのでは?と、自画自賛♪

■酸性雨■

2006年02月10日 | 現場より
<石炭>硫黄除去に新技術開発 酸性雨減少に期待 (毎日新聞 - 02月09日 14:45)
 酸性雨の原因となる硫黄酸化物の元となる硫黄を石炭から大幅に取り除くため、北海道立工業試験場(札幌市北区)や中国企業などによる共同研究グループが新しい新技術を開発した。石炭を選別する段階で、硫黄など不純物を電極を使って除去するもので、地球規模の環境問題となっている酸性雨の抑制に役立つと期待されている。 ・・・中略・・・
 日本に降る酸性雨は、硫黄などの不純物を含んだ石炭が東アジアで多量に燃焼されていることが一つの要因とされる。経済発展のめざましい中国では石炭の消費量が急増。工業用や家庭暖房用に燃やす石炭から発生する亜硫酸ガスが大気中の水分に溶け、気流に乗って、日本に酸性雨を降らせているとみられる。
・・・中略・・・
 中国の石炭消費量は年間約13億トンで、うち約2億トンは家庭や企業の暖房用に使われている。道立工試は、粒状にした石炭を固め、直径4、5センチの豆炭に加工し、家庭などで使いやすくすることを試作中だ。

 道立工試の上出光志・研究支援第二科長(燃焼工学)は「豆炭を作るコスト面などの課題はあるが、硫黄分を除去した豆炭が各家庭に普及すれば、酸性雨の抑制効果が大きい。健康面にも貢献できる」と話している。
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私の実家の屋根は寄せ棟で、瓦屋根。下屋は銅板で仕上げてあります。
築17年程になるが、最近、座敷の天井にシミができた、と。どうやら雨漏り。

瓦屋さんでみてもらったところ、瓦屋根と、銅版の屋根の境の部分で雨漏りが起きているようです。
原因は、銅の腐食。酸性雨の影響で、銅板の屋根が腐食しているのです。
水溜りの多い境目でその腐食が著しい。

銅板の屋根の多くは社寺建築にみられます。葺いたばかりは、いわゆる銅の色。
時間を経て「緑青(ろくしょう)」色に変化。
これは銅の錆であり、緻密な結晶体で、溶け出す事なく表面の保護になります。
その色の移り変わりが「美」でありました。

しかし、その銅も、酸性雨によって酸化される事で腐食し、雨漏りなどの原因となっています。
その酸性雨の原因が、銅などの掘削後、鉱山を放置した事が原因のひとつとなっているというのは、なんという因果関係。
上のニュースにもあるように、環境の変化は、やはり人間の生活がもたらしているのです。

水道管にも使われている銅は、一時、その腐食(「緑青」)が有毒という説がありましたが、実験・研究により、安全であると厚生省が認めています。

近年、酸性雨の影響により、この銅の屋根や雨樋が使われなくなってきました。
あの風合いは確かに良いのですが、改修にお金のかけられる社寺仏閣はともかく、
一般住宅では、他の金属(ステンレス、ガルバリウム・・・)屋根に変わってきています。
瓦屋根は重量もあり、地震時を考慮すると・・・。スレートは環境上の問題あり。と。
軽量でシャープなイメージの金属屋根は、今や注目株。
緑青の風合いを模倣した他金属の製品も同じであります。

さて、その酸性雨に侵された実家の屋根。とりあえず、下地を調整し塗装する、という方法をとりました。当面はこれで。
しかし、銅も痩せ細っていますから、一時しのぎには違いありません。
瓦屋根でも安心するなかれ。谷の部分に銅を使っている事もあります。
いずれにしろ、一般的に、10年単位で、お家のメンテナンス(チェックだけでも)
は必要だと思います。

寒かった・・・

2006年01月10日 | 現場より
お正月休みが明けて、世間は再び3連休。
お陰様で集中して仕事ができました。倉田は昨年からの仕事の最後の追い込み。
私は、他に管理しているサイトのリニューアル(昨年秋の予定がずるずると・・・)ひとまず完了
そして、デスク周りの片付け。図面や書類の整理。年越してやっと・・・
今、私のデスクは大変広々しています。満足♪

さて、今日は午後から、現場をまわり。
まー、どこに行っても、ミゼットは話題になります(笑)

3軒目の現場は、若手の大工さんが軒天を施工中。
筋交や金物などのチェックをし、その後、工程の確認などしながら、雑談に及ぶ。
彼はいわゆる伝統工法の施工ができる大工さんです。
今は集成材を使う事も多くなり、そのほとんどはプレカットと言って、工場で仕口や継ぎ手の加工をする為、現場で鑿(のみ)や鉋(かんな)を見ることが少なくなりました。
自分で加工する大工さんは、木のクセなどを読みながら、のみで彫ってきざみ加工をするのです。
彼の若さでそれが出来るというのは希少ですから、自分の分野としてしっかり身に付けていくべきだと思います。
でも、これからは、新しいものを見ること、知ることも大切でしょう。そういう技術を持った人ほど、私たち設計事務所とコラボレーションすべきではないかと。
「住宅」の仕事が好きだという彼。
例えば独立して仕事を得ていく上では、法規上の必要事項、数値や書面上で示すことのできる安全性、多くの情報の中から要求されるデザイン、そういう部分において難しさを感じるでしょう。
なぁんて話をちらっとしたら、引き止められて帰れなくなった(笑)

そう、彼は、まだ修行中ながら、これから自分の行く先を模索しているのです。
いろいろな事を知りたいのです。私も偉そうに言える立場じゃありませんが、設計という立場からみた現場は、また観点が異なるのです。
クライアントの意識も一昔前とは変わっています。今回の偽造の件も、法の見直しなど少なからず影響があるでしょう。
「人」としての信用はもちろん、これまで以上に「専門家」としての資質を問われる時代になります。さて、どの様に仕事の上での信頼というものを得ていくのか・・・

こういう現場でのやりとりは大好きです。
お馬鹿な話もいたしますが(苦笑)意識を高める有意義な語らいもあるのです。
一日の作業がもうすぐ終わるという時間に行ってそんな話をしていたら、いつの間にか陽は暮れ、真っ暗。

で、お互いふと我に返ると・・・寒いじゃん! 彼はトイレに駆け込んで行きました(爆)
身体はすっかり冷え切って。とほほ。

おまけに私、筋交にぶつかって左の頬に傷を作ってしまったわい!T_T;

職人魂?

2005年11月19日 | 現場より

朝、改装中のカフェの現場で、DIYの指南。
マスター自ら施工する部分の道具を揃え、施工手順の説明。
頭にタオル巻いてやる気満々のマスター。
「でも、僕、不器用で技術の成績すごく悪かったんです。」って(笑)
晴れた空に、電動のこぎりの音が爽やかに響く。
施工日和です。

「フロントのドアができた」との連絡があり、建具屋さんに向う。
マスターは模型のイメージをとても気に入ってくださったのですが、これを実際に作るのは難しそうです。使う材料の形も加工も・・・難問です。それをどう割付けるか。

出来上がった建具を見て、マスターも私も「うぉう♪」
私が描いたデザインとは少し異なるのですが、良い意味での裏切り、とでも言いましょうか。
その素材がうまく活かされています。「アートだ!」とマスター(笑)

「全く、こんな絵を描かれちゃあ困るなー、先生。」と言いつつ、建具屋さん嬉しそうです。
「こんなの作ったのは、初めてだよ。」と。
出来ると分かれば、こっちのもので(笑)

職人魂と言うのでしょうか。初めて挑戦した事への喜びにあふれていて、私も心が躍りました。
ここの納めはどうしたの?、ここでこう・・・と。ああなるほど、そこはこうすれば・・・。
創る事への熱意があると、話していて楽しい。
まだ塗装も終っていませんので、その建具の写真は竣工のお楽しみ。

「こういう仕事って、いろいろな人が関わっているんですねぇ。
ひとつひとつの細かい事を、こうやって一生懸命考えて造っていくんですねぇ。」
と、マスターは感激しきり。
そうですよ、現場のこんなつながりが大切なのです。
そして「嬉しい、楽しい」と口元が緩みっ放しのマスターでした。
そう、職人さんたちの心に感じ入る施主さんの感性も大切なのですよね。
それが、現場にも伝わっているのです。 きっといいお店になるだろうな。