「建築」と 「ものづくり」

 倉布人 一級建築士事務所

椅子

2005年11月17日 | インテリア
先日、市内にある、椅子の工房を訪ねました。
偶然サイトを見つけ、こんな近くに椅子の工房があるなんて!と感激し。
いわゆる箱モノの家具を作っている所はいくつかあるのですが、
オリジナルの「椅子」の制作をしている所はあまりありません。
「控え目な椅子」というそのコンセプトにも惹かれました。
倉布人で設計をした「宇刈いきいきセンター」の近く。 「家具工房 ディスクリートチェア」

お仕事中に、突然伺ったにも関わらず、いろいろな話をしてくださいました。
工房の裏のご自宅にも案内していただき、森下さんデザインの椅子に座る。
里山を眺め、ほっと一息。心が落ち着きます。
JAZZがお好きで、そのレコードの数ったら!少しだけプレーヤーをかけてくださいました。
LPレコード・・・音がとても柔らかく感じます。時間を忘れそうでした。

「ちょっと、これは座が高いんだよね。」と、森下さん。 確かに、この椅子は、私にはちょっと高い。
本来は、それぞれの身長や座りやすさに合った椅子が望ましい。
セットではなく、家族それぞれ違う椅子でも良いのです。
「靴は足に合ったものを選ぶのに、椅子はまだまだ人間が合わせているんだよね。」
流通にのって生産された椅子に気付かぬ間に合わせてしまっているのかもしれません。
それでも、座り心地を試さずに椅子を購入することは少ないでしょう。
目的によって、選ぶデザインも座り心地も異なる事は、皆さんも普段の生活の中で感じていると思います。

人間工学からアプローチした椅子のプロトタイプはⅠ~Ⅴ型(作業系~休息系)に分けられます。
これは、座位の基準点や座面の角度、背もたれの傾斜などが休息の度合いによって変化します。
休息の度合いが増すに従って、座位は低く、傾斜角度が大きくなります。
これも実際には好みがあると思います。自分がくつろげる、或いは、作業しやすい角度や高さ・・・
高価な椅子だから、座り心地が良いとも限りません。素材などでも大きく異なります。
デザインの好みなども含め、ご自身の寸法と機能に合った椅子を選んでください。

-----------------------------------------------------------------------
さて、人の身体の各部の寸法は、身長を基準にして略算することができます。
これは、いろいろな場面で役に立つと思います。
自分の手のひらを開いた寸法や歩幅も覚えておくと、便利ですね。

■身長=H
■目の高さ=0.8H ■指極(腕を水平に広げた指から指の幅)=H(身長とほぼ同じ)
■肩幅=0.25H   ■下腿高(垂直に座って床から太腿の下)=0.25H  ■座高=0.55H

■椅子の高さの略算は「下腿高(0.25H)-1cm」

机の高さは、椅子の高さとの関係が大切です。
椅子の座面と机面高の差を「差尺」といいます。標準で「27~30cm」

身長から換算すると■差尺=座高(0.55H)×1/3

機能性は感覚だけでは解決できません。設計の上では、このような人間工学も応用しているのです。

写真は、恥ずかしながら、私が学生時代に作った椅子。
「コーヒーを飲みながらくつろぐ」というコンセプト。座は広く低めです。
ノックダウンが条件でしたので、部材すべて差し込み式になっています。

またいつかオリジナルの椅子を創りたいと思いつつ、時折デッサンをしている私です。