風車と言えば、直ぐドン・キホーテを私は連想してしまいますが、去年観た
ドン・キホーテを題材にした映画のタイトルを思い出せないでいます。
東電の福島第一原発の事故以来、世の中の雰囲気は脱原発、ソーラーや風力、バイオマスに
揚水式発電など、自然エネルギーに依る発電にシフトする方向に向いて来ています。
反原発の人達にとっては、渡りに船とばかり、千載一遇のチャンスと言う訳です。
何とあの、原子力に詳しいと言っていた「カンから菅」も風力発電論者だと
言うから笑ってしまう。
先日、北斗市の「きじひき高原」に風車を建てて風力発電をしようと言う市民団体
「南北海道自然エネルギープロジェクト」の主催で「きじひき高原市民ウインドウファーム構想」
に付いての説明会があり、出かけて来ました。

元来私は反原発の立場であり、自然エネルギー利用の推進派の人間で
実際、建築を生業にしている者として色々な研究もしています。
先ず、気になるのは事業としてシンボリックな物にしたいと言う気持ちは理解できる
のですが、説明を聞いて違和感を感じたのは、最初から脱原発=自然エネルギ=大規模風力発電
ありきだと言う事です。

その内容は、きじひき高原に市民の手で10基程の大型風車を建てて発電をし市内の
電力量の8割程を担い尚且つ、有志によればこのクリーン電力で28年開業予定の
新幹線の新駅から函館駅までシャトル電車を運行し、北斗市をクリーンエネルギーの
街として活性化しようと言うものです。
まだ構想の段階ではありますが、率直に言って自然エネルギーへの転換と言う事、風力発電
大賛成!でもそれがなぜ大型風車による大規模発電なのか?と言う事です。
そもそもこの計画は札幌の「北海道グリーンファンド」と言うNPO法人がコンサルティングを
している為、そこでの既存データを基した計画のようです。
集中させた大規模設備の危うさは今回の震災で証明されたはずであり、エネルギーの
変換効率やメンテ費用の問題、低周波公害などのリスクもあり、
消費地から離れて設置しなければならず、送電のロスも大きく無駄です。
原発の場合は7割の電気を棄てているそうで馬鹿みたいな話しです。
私は以前から自然エネルギー発電を考えるのならば、ソーラーや風力、バイオマス等に依る
その土地に適した個別分散型の複合的な計画でなければないと考えています。
その方が色々な意味でリスクヘッジも出来、尚且つ、雇用の確保にも繋がるのではないかと
思っています。
もうこれからは各家庭や企業が使う分は自ら発電する時代であり、エネルギーロスを減らす
省エネルギの大命題とセットで考えねばならぬ問題で、10年先の事を考えれば今のままの
計画ではビジネスとしての収支計画にも疑問を感じます。
ですから、本気でエネルギー転換を考えるのであれば、方法論だけでは無く根本的な考え方も
転換し、作る側(発電)の論理だけでなく、使う側(一般家庭や企業)の両方面からの
アプローチが必要不可欠なのです。
この様な問題はそうした大義をキッチリ示さなければ、市民の合意は中々得られないでしょうし、
へたをすれば一部の人間の隠れた利害の餌食にされかねません。
私が大型風力発電に反対する最大の理由、それは今あちこちで起きている大型風力発電下で
起きている人間や自然界に対する低周波公害の影響なのです。
この問題は推進側から言わせれば、何事も多少のリスクは付き物だと言いますが、
その論理は、今まで原発を推進してきた机の上でしか考えない御用学者達の
論理と同じに思えるのです。
この「きじひき高原市民ウインドウファーム構想」についての説明会は今後も開催
されるようなので、これからも注意深く見守って行きたいと思っており、
北斗市民の方々にもより関心を持って頂きたいと思っています。
最後に大規模風力発電を実施している留萌管内の苫前町から出ている「風力発電事業における現状と課題」と題された良く整理された分かりやすい資料を添付しましたのでご覧ください。
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