Beerかた手に独り言

建築とJAZZと酒をこよなく愛するオヤジの想い

【復活・プレーリーハウス】

2013-06-17 | 建築・デザイン・アート






新緑の季節を迎えた北海道、気がつけば今年も半年が
終わろうとしています。


昨年の10月以来全く放置状態のこのブログ・・・


先日、FBフレンドのブログの中でこの放置状態のブログが紹介されて
しまいました。


それも、全然更新されていないので、死んだのでしょうか?・・・と・・・(笑)



その言葉に刺激を受け、心機一転、また始めようと決意をした次第です・・・

(何時まで続くかは分かりませんが~・・・)





と言う訳で、復活第一弾は建築のお話からスタート。



先日、とても嬉しいニュースが入って来ました。



北海道を代表する建築家、田上義也(たのうえ よしや)
函館に作った設計した通称【プレーリー・ハウス】が、函館のスウィーツの名店「ペシェ・ミニョン」さんにより「日和茶房」と言うティーラウンジとして復活したと言うのです。


以前、見学する期会が有りその素晴らしさに、この建物の利用を
望んでいた私としては大変嬉しいニュースでした。



見学したその内部空間は、想像以上に素晴らしいものでした。




田上義也は、1918年から旧帝国ホテルを建設していた近代建築の巨匠の一人、
アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの現場スタッフとして3年程働いています。

英語が話せる事で採用された彼は、その間にライト本人や来日していた
アントニン・レーモンド夫妻から日本建築の素晴らしさやライト建築の神髄である
「有機的建築」を色々学んだ事でしょう。



この木造モルタル塗、2階建ての住宅は1927年(昭和2年)に函館の
海産商で市議も努めた佐田作郎の自邸として建てられ、後に当時函館を
代表する海産商だった小熊幸一郎の子供夫婦が取得したそうです。


外観やインテリアのデザイン要素が、フランク・ロイド・ライトの
プレーリースタイル(草原様式)に似ている事から『プレーリーハウス』と
名付けられているようですが、いわゆるライト建築のコンセプチャルな
意味での『プレリースタイル』とは違います。



ライト建築の香りに触れるのは、学生の時に見た目白にある自由学園の「明日館」
以来、内部空間に一歩踏み込んだ瞬間、余りの空間のボリュームの素晴らしさに
珍しくちょっと興奮していまいました。



本当に美しい~



以下は以前見学させて頂いた時のものです。



<エクステリア>

敷地に対して、西側からのアプローチで建物中程、南南西からの導入、南側と東側を
大きく空けたL型プランの配置で、庭に対しての建物の配置バランスが絶妙です。


   
メインエントランス      リビング(左側窓)
(左、L型の装飾は照明)    亀甲をモチーフにしたサッシュ割りが美しい
           (部屋の内から観るとインテリアから考えられている様に感じる)



  
リビング(中央窓)                  リビング(右側窓)
(両サイドの柱型によりとてもシンボリックな扱い方)



ダイニング窓(この窓の左が庭へ出るドア)

 

和室側縁側窓
(開口、全面に入れられた窓のさり気ないサッシュ割りが美しい)




<インテリア>


メインエントランス


       
裏玄関(窓)右が入口ドア             裏玄関ホール(2階階段)



  
リビング天井(中央部分)                リビング中央窓



  
ダイニング窓                      玄関ホール側ダイニング入口                


通用口玄関ホールより和室入口
和と洋の緩衝帯としての違和感の無い見事な建具の処理です。



和室障子
(ライトでもこのようにはいかないでしょう~)日本人ならでは、本当に美しい!


この様にライトの建築要素を強く感じる建築空間を体験する度に思う事は、
建築にとっての装飾性の意味ですが、取分けライト建築における装飾は
空間のエッジがより強調されるように感じます。




  
2階東南角の窓                南壁面のアルコーブにはめ込まれた窓



一通り見せて頂きながら、どうも空間的にツジツマが合わない気になる
所があり、伺ってみた所、一緒に見学に来ていた事情通の方から前の
オーナーがいじったようだと言う話を聞きました。


もしもそうだとするなら、デザイナーだかコーディネーターだか
何だか知りませんが、この建築の本質を理解していない人間が勝手に
改変する事は、設計者に対する最大の侮辱であり、何よりもこの
住宅建築がどんなに素晴らしく、どれ程の価値を持ったものなのかが、
全く理解出来ていない様に思います。


全く持って身の程知らずな話です。



良くも悪くも、いつの世も建築にはその街の文化の成熟度が現れるものです。

それはただ古いから価値があるのではなく、本当に価値のある物の真の価値を
理解し、それを正しい方法で後世に伝えて行く事も文化の成熟した街では
極自然な流れの様にも思います。



この『プレーリーハウス』それはライトの建築の香りと美しさ、昭和初期の
モダン住宅の雰囲気を今に伝える、田上義也の『プレーリースタイル』だと
言えるのではないかと思います。



   本当に素晴らしい第一級の住宅建築です。



是非、皆さんにも田上義也のこの素晴らしい空間を体験して頂きたいと願っています。


このような古い建築の保存するなら、何と言っても使う事が一番の方法の様に思います。
  


    
今度ゆっくりこの空間で、美味しい琉球紅茶とスイーツを味わって見たいものです。












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