Beerかた手に独り言

建築とJAZZと酒をこよなく愛するオヤジの想い

【タイムスリップ】

2006-10-27 | JAZZ・コンサート
雑誌【男の隠れ家】11月号で<ジャズを巡る旅>と言う特集が組まれていて、
懐かしいジャズの香りが一杯詰まっています。

全国のジャズ喫茶やジャズクラブなどが載っていてジャズファンにはたまらない
内容です。

東京にいた頃通った店なども載っていて、懐かしさで胸が一杯になりました。
その中に高校生の頃通っていた函館のJAZZ喫茶【BOP】が載っていて、
たまらなくなり先日、意を決して行って来ました。

20年振りです。

毎日仕事に追われある程度自由になるお金を得て、レコードもある程度買える
様になりそれなりのオーディオも手に入れ、コーヒーが酒へと変わり自然と店
との距離も遠くなり、いつしか近くて遠い場所になっていました。

この20年の空白はそう言った申し訳なさかもしれません。

地下への階段を降りながら、懐かしさと恥ずかしさ、期待感と申し訳なさと
入り交じり複雑な気持でした。

ドアを開けて中へ入ると其処には、カウンター越しに人生を重ねたママの顔、
昔と変わらないコーヒーの香りとジャズの香りで一杯で、ただただ懐かしく
当時の記憶が脳裏に蘇り胸が熱くなってしまいました。

ジョン・コルトレーンのサインもトイレへと続くドアに描かれた沢山の有名
ジャズメンのサインも昔のまま、名機パラゴンは相変わらず良い音で鳴って
いて武田の【ジェントル・ノヴェンバー】は格別でした。

暫く話しをして店を出る頃には外はすっかり暗くなっていて、何だかそのまま
帰る気持になれず、足は自然と【オジンライム】へと向かっていました。

そんな、我が青春の【BOP】でした。







Gentle November

2006-10-23 | JAZZ・コンサート
もうすぐ十一月、 
この季節になると無性に聴きたくなる一枚のアルバムがあります。

1979に発売された【武田和命/ジェントル・ノヴェンバー】と言うアルバムで、
武田和命(ts)山下洋輔(p)国中勝男(b)森山威男(ds)と言うカルテットの
録音の良い素晴らしいバラード作品です。

彼は<幻のテナー>、<伝説のテナー>などと言われていましたが、それは
1966年暮、伝説になっている新宿【ピットイン】でのエルビン・ジョーンズ
とのセッションの後、10年ほどJAZZの世界から姿を消していたからなのです。

一説によれば、雑誌【スイング・ジャーナル】のその時の批評記事の内容が原因
ではないかと言われています。

まさに復帰第一作となるこのアルバム、誰も吹けないと言われる程、厚く硬い
リードによって演奏されるその音は、深く、厳しく、優しい、
まさしく【魂の音】です。

復帰した彼の函館でのコンサートは今でも覚えています。
山下洋輔(p)武田和命(ts)国中勝男(b)小山彰太(d)
センターマイクに着いた彼は、背が高く真っ白なシャツに黒いサングラスと言う
いでたちで、一曲目にリードから放たれたその音は今迄聴いた事がない【魂の音】
のテナーサックスでした。

そんな彼も様々な逸話を残して、1989年8月18日喉にできた癌の為49歳の
若さで此の世を去りました。

彼が11月が好きだった事から名付けられたこのアルバムタイトル。
これを聴く度に私には、【ジョン・コルトレーン/バラッズ】が霞んでしまいます。

そんな、泣けて来る【魂の音】、珠玉のバラードです。


【どこでもドア】

2006-10-20 | 建築・デザイン・アート
元々西欧の建築と日本の建築とでは、入口などの形式に大きな違いがあります。
そもそも石やレンガなど組積造の建築が多い西欧では構造上の問題により
間口開口が大きく取れないことからトビラ形式が多く、逆に日本のように
柱と梁で構成された建築は間口開口が大きく取りやすい事と気候風土の関係
から引き戸形式が多くなったようです。

日本の住宅も最近は大分、ドア形式の部屋が多くなって来ましたが、
【たかがドア、されどドア】で、そこには色々な考え方が隠されています。

例えば部屋に入る時に引く(外開き)か押す(内開き)かと言う事一つでも
緊急避難と言う意味では(外開き)の方が有利です。
逆にプライバシーの確保と言う意味では、覗かれ難い(内開き)の方が有利です。

また玄関ドアなど外部に面したドアの場合は部屋の例と同じ意味合いですが更に
気象条件などが加わって来ます。
(外開き)にすると強風の時など風避けになりますが、雪が積もった場合などは
ドアが開かないと言う事も起ります。

(内開き)の場合は人を招き入れると言う心理的意味においては非常に良いの
ですが雨仕舞が悪いと言う一面が有ります。

(外開き)(内開き)の例だけでも色々な考え方がありますが、実際はこれに
(右開き)か(左開き)かと言う問題が付いて来ます。

右、左の問題は平面計画上の外部との繋がりや他の部屋との関係(動線など)と
利用する人の利き手の問題などが影響してきます。

この様にドアの開け方一つ取り上げても、これだけの考え方があるのです。


  【内】か【外】か【右】か【左】か・・・ そこが問題なのです!




【オジンライム】

2006-10-17 | 旨い酒

自分の気に入っている店は、人には教えたくないものです。
私にも永い間通っているお気に入りのBARがあります。
10年とちょっとになるでしょうか、ママが一人の小さなJAZZ BARです。

仕事が一段落してから行くのでいつも遅い時間、席は入口正面のカウンターの一番
左端、ここがお気に入りの席です。

まずはエビスかギネスで咽を潤し、次ぎはその日の気分でスピリッツかシングルモルト
のロックと言う具合で最後はジンライムで閉めになります。

ギムレットとジンライムは材料は同じで、シェイクかステアかの違いですが
混ざり過ぎたギムレットは好きではありません。
やはりライムとジンの香りが発っているジンライムが一番です。

そのJAZZ BARには、【オジンライム】と言う名のジンライムがあります。
レシピは<タンカレ+フレッシュライム1/4P手絞り+ママの愛>と言う具合なの
ですが、ちょっとワイルドでライムの香りが発ち!これがたまらなく旨いのです。

ジン好きにはたまりません!

実はこの名の由来、若い常連客の間では【オジサン】が注文するジンライムの事だ
と言うもっぱらの噂・・・

   恐れ入りました!









【JBL】ジムラン

2006-10-14 | オーディオ
【JBL】(ジェームス・ビー・ランシング)とアルテックはアメリカを代表する
スピーカーのメーカーですが、どちらもJAZZを聴く者にとっては、一世を風靡した
憧れのブランドです。

JAZZが好きな人は大体、アルテック派か【JBL】派に好みが別れますが、どちらにも
共通して言えるのは、みんな大型スピーカーに憧れていると言う事ですが、今も昔
も大型システムは高値の華です。
そう言う私は【JBL】派でしたが、高校生にはとても手の出る代物ではありません
でした。

私のスピーカー遍歴は三菱(ダイヤトーンP-610)に始まりしばらく国産が続き、
憧れのJBLを手に入れたのは就職して暫くしてからでした。
その当時はまだ1ドルが360円の時代でしたから輸入品はまだまだ高値の華でした。

始めての【JBL】は銘機LE-8Tと言うフルレンジユニットで、その日は嬉しくて嬉し
くて何度も箱から出しては眺めたのを覚えています。
その後暫くは何種類かのJBLとの格闘が続きました。

オーディオを趣味にしている人はそれぞれ最終的なスピーカー像を持っているもの
で、私も【JBL】の大型システムを最終目標にしていました。

でもある日、たまたま行った試聴会で運命的な出逢いをしてしまうのでした。
まさしく一目惚れ、いや一聴惚れでした。

そう~、これが魔性の女【TADバーチカルツイン】との出逢いでした。

それからと言うもの、寝ても覚めても、何を聴いても駄目でそのじゃじゃ馬な彼女の
声が耳から消える事はなく、ついに永い間の伴侶である【JBL】との決別を決意する事
になるのでした。

それからと言うもの彼女への想いは募る一方で、何度も接触を試みては失敗し、
願いが成就したのは出逢いから10年後の事でした。




JAZZ喫茶

2006-10-11 | JAZZ・コンサート
遠~い、昔の話しです。

私が本格的にJAZZを聴き始めた1972年当時、函館にも数軒のJAZZ喫茶が
ありました。

函館山の山麓には【想苑】、松風町には【エアリー】と【ゲート】、本町
には【BOP】が、柏木町には【アルフィー】と言う店がありました。
皆それぞれ、オーディオ装置なども違い個性的な店でした。

その当時お金の無い高校生の私にとってJAZZの新譜(レコード)を聴く手段は
ラジオ(NHK-FM)かJAZZ喫茶しか無く、下宿からも近かった事もあり、もっぱら
【BOP】に通っていました。

学校から帰り、私服に着替えポケットに煙草を忍ばせ、歩いて向かったものです。
店のドアを開け地下へと続く階段は、大人の世界への入口のようでワクワク
したものです。

そこは御夫婦でやっていて、店内で話しをすると叱られる事で有名でした。

自分の聴きたいレコードをアーチスト別に分類されたリストから選び、メモ用紙に
書き、リクエストしたり、スイングジャーナルと言うJAZZの月刊誌を暗がりの中
むさぼる様に読んだりで、コーヒー一杯で何時間も粘っていました。

今にして思えば、あの頃が一番JAZZが元気だった時代かもしれませんね~・・・

函館にいて【BOP】にも行ってみたいと思いつつ、中々ドアを開けられずに二十年が
過ぎてしまいました。

そんな、我が青春のJAZZ喫茶です。








アントニオ・ガウディー

2006-10-09 | 建築・デザイン・アート
草月流の家元であり映像作家の、勅使河原 宏さんが二十年位前に作った
アントニオ・ガウディーのドキュネンタリー映像を久しぶりに見ました。

武満徹が音楽を担当していて映像と音楽、二人の最高のコラボレーションで
私のお気に入りの一枚です。

映像の美しさと緊張感は勅使河原 宏ならではの物だと思いますが、
それをより強調しているのが武満徹の音楽です。

それは、宗教音楽そのものの様に感じられます。

各建築のディテールも非常に叙情的に表現をされていて、他のドキュメンタリー
映像とは異次元のものです。
本当に残念なのは、二人のコラボレーションを二度と観る事が出来ないと言う事です。

今のサグラダ・ファミリア教会の映像とくらべると、工事の進行状況も大分違い
時の流れを感じてしまいます。

当初は完成迄二百年は掛るだろうと言われていた工事も、皆さんの寄付のお陰で
大分、早まりそうでです。

あの何本もの塔が風と作り出す音楽を聴いてみたいと思いますが、
私の歳では残念ながら、無理な様です。

スピード優先の今の世の中、あそこには建築の原点がある様に思えます。



ダラー・ブランドの思い出

2006-10-05 | JAZZ・コンサート

1974年だったと思います。

【アフリカン・ピアノ】と言うアルバムで脚光を浴びていた、アフリカ
出身のJAZZピアニスト ダラー・ブランド(アブドゥーラ・イブラヒム)
のコンサートがJAZZ喫茶【BOP】の主催で開かれました。

ステージに現れた彼は、背が高くとても神経質そうな印象でした。
そんな彼がコンサートが始まりしばらくすると、演奏を止めて舞台袖に引っ込
んでしまったのです。

理由は私の耳もとで写真を撮っていた、新聞記者のカメラのシャッター音が
原因でした。
静まりかえった会場の中でのシャッター音、彼は相当気になっていたようです。

その後、気を取り戻した彼の演奏は素晴らしい内容でした。

コンサートが終わり、常連達が【BOP】に集まり色々、話しをしている所に
彼がマスターと一緒にやって来たのです。

みんなが盛り上がったのは言うまでもありません。
暫くすると、彼は立上がり店のピアノを引き始めたのでした。

デューク・エリントンの名曲、【メモリーズ・オブ・ユー】と
【テイク・ジ・Aトレイン】の二曲

その曲は泣けてきそうな程、美しい演奏でした。

翌日、見送りに空港までいき最後に握手をしたその、黒く大きな手
はいまでも覚えています。




久しぶりに今夜は【Ode to Duke Ellington(デークエリントンに捧ぐ)】から
In a Sentimental Mood で行きましょう。
   
        泣ける位、美しい演奏です!





私のお気に入り

2006-10-04 | 映画・音楽
だいぶ前の事になりますが、サントリークレスト12年と言うウイスキーの
TVコマーシャルのイメージソングとして【ウイスキーは、お好きでしょ】
と言う曲が流れていました。

石川さゆりが歌っているその曲はJAZZバラードに仕上げられていて、彼女の
透明感のある声と、羽田健太郎の演奏ではないかと思われるピアノの曲がとても合って
いて中々良い雰囲気の曲でした。

前にロック一筋だった、リンダロン.シュタットが【What`s New】と言う
JAZZのスタンダードを集めたアルバムを出した時も、とても澄んだ声で
60年代の歌姫かと思ってしまい嬉しい驚きでした。

サントリーの話しでは、当初CD化する予定ではなかったそうですが、
余りの反響で急遽シングルCD化を決めたそうです。

石川さゆりには前から密かにJAZZを歌って欲しいと思っていたおりでした
から、私にとっては大変嬉しい企画でした。

最近は各業界もマーケティング崇拝で売れそうな物しか中々世の中に出なく
なってしまい色々な意味でつまらなさを感じています。

売れそうな物を作るのでは無く、良い物を作れば、その結果として売れる
と言う事だと思うのですが......!


 と、言う訳で今夜は
【ウイスキーは、お好きでしょ】を聞きながら、余市12年で一杯といきましょう!