新しい年の経済が動き始めています。大企業の大もうけと近く発足するアメリカのトランプ新政権への「期待」を背景に株価は4日の大発会で大幅上昇しましたが、百貨店などの初売りでは売り上げを伸ばしているのは一部の高額品だといいます。庶民にとっては、円安と原油価格高騰による物価の上昇が懸念される年明けです。5年目を迎えた安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は破綻しています。賃上げで消費が拡大できるよう、国民の暮らしを応援する経済政策がますます重要です。
悪化続ける賃金、消費
2人以上世帯の消費支出は11月、前年同月に比べ1・5%減少、事実上15カ月連続の落ち込み(「家計調査」)。消費者物価も11月0・4%の下落(生鮮食品を除く)で、9カ月連続の下落。完全失業率も11月に3カ月ぶりに悪化(「労働力調査」)、実質賃金は11月、前年同月比0・2%減で11カ月ぶりのマイナス(「毎月勤労統計」)―。昨年末から今年初めにかけ発表された最新の経済統計です。賃金など収入や消費の落ち込みが深刻です。
日本経済は2008年の「リーマン・ショック」のあと大幅に落ち込み、その後も停滞を続けてきましたが、その立て直しができないまま、新しい年を迎えました。12年12月政権に復帰した安倍政権は、「経済再生」を最優先課題に掲げ、「アベノミクス」と呼ぶ経済政策で経済を立て直すとしてきましたが、いまだ実現できていません。
安倍首相は口を開けば「道半ば」だと主張し、新年の記者会見でも「本年も経済最優先、デフレ脱却に向け金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢を打ち続ける」といいました。しかし、足かけ5年にもなるのに「道半ば」だというのは、その道が間違っていたことを認めるようなものです。
「アベノミクス」は大胆な金融緩和が柱で、通貨の供給を増やせば物価が上がって「デフレ」から脱却でき、消費や投資も盛り上がるというものでしたが、日銀が掲げた消費者物価上昇率「2%」の目標はいつまでも実現しません。黒田東(はる)彦(ひこ)日銀総裁は目標達成を再三延期し、自らの任期中には達成できないことを認めました。「アベノミクス」を推進した経済学者の浜田宏一内閣官房参与も、金融政策頼みは限界だと言い出す始末です。
「アベノミクス」は大企業や大資産家のもうけを増やせば、水がしたたり落ちるように、国民の所得や消費が増える「トリクルダウン」が筋書きです。しかし、大企業のもうけが増えても、大企業の内部留保などのため込みに回るばかりで勤労者や国民はうるおっていません。「トリクルダウン」が大失敗したことは明らかです。
暮らし応援する対策を
「アベノミクス」の筋書きがうまくいかないので、安倍政権は経済の「好循環」実現を言い出し、財界・大企業に賃上げを促してみせます。しかし、大企業にため込みをやめさせない限り、企業の賃上げや雇用の改善は望めません。
日本経済の立て直しには、賃上げによる消費の拡大が不可欠です。大企業のおこぼれを当てにするのではなく、暮らしを直接応援する対策を強化すべきです。税金の集め方と使い方の改革、働き方と産業構造の改革など、格差と貧困を正し中間層に力をつける、経済の民主的改革が不可欠です。
<コメント>「家計調査」では、2人以上世帯の消費支出は11月、前年同月に比べ1・5%減少、事実上15カ月連続の落ち込みです。「アベノミクス」は大企業や大資産家のもうけを増やせば、水がしたたり落ちるように、国民の所得や消費が増える筋書きです。しかし、大企業のもうけが増えても、内部留保などのため込みに回るばかりで勤労者や国民はうるおっていません。99%の国民は生活が潤うことがありません。
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