とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
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ファインマン物理学第2巻(光、熱、波動)

2007年03月12日 12時55分14秒 | 物理学、数学
ようやく「ファインマン物理学第2巻(光、熱、波動)」を読み終えた。時間をかけて精読したので内容はほぼ理解できた。この巻では光、熱、波動がテーマでひと通り高校や大学で勉強したはずなのだが、知らないことがまだまだあるものだなと思った。それもそのはずである。高校や大学で習ったのは光や熱の挙動を計算させるだけで、それらが何であるかの説明は一切省いているからだ。この点ファインマン物理学は違う。

特に印象に残ったのは次のようなことだ。

1) 光の原理を元に、物質中で光がどのように屈折するか。光の速度はどのように変化するか。

2) ニュートンの運動方程式 F=ma から展開する分子運動論。圧力と体積、分子の速度、拡散などの法則が理解できた。

3) 分子運動論からどのように「温度」というものを定義し熱力学へ展開するくだりは見事である。温度は温度計で測るものと信じてきたが、分子運動論つまりニュートンの古典力学である F=ma から導かれることには感動した。

4) ニュートンの運動方程式 F=ma から音の波動方程式を導く。音波の基本波がサインカーブになる理由をはじめて理解できた。

5) 波の重ね合わせの原理。(スピーカーという1枚の紙の振動がバイオリンとピアノの音を同時に再生できるのも、重ね合わせの原理(音波の足し算のこと)が成り立っているからである。また周波数の違う電波が同じ空間を伝わっていけるのもこの原理が成り立つからである。そうでないとテレビ放送やラジオ放送には1チャンネルしか使えない。)

6) 光や音など波の干渉や唸り(うなり)はどのように生じるか。。高校時代はつまらなかった箇所であるが、このあたりは量子力学に通じる法則と共通の部分があるのでファインマンの説明は魅力的に思えた。

また、この巻では古典力学をベースとしているので法則に限界が生じる局面がいくつかあるのだが、量子力学的視点から同じ問題を捉えなおすことによってより正確な議論がなされるようになるという道筋を示してくれていることは第5巻への準備として親切な構成になっていると思う。


ファインマン物理学第2巻(光、熱、波動)の章立て:

第1章:光学:最小時間の原理
第2章:幾何光学
第3章:電磁輻射
第4章:干渉
第5章:回折
第6章:屈折率の本質
第7章:輻射減衰、光の散乱
第8章:偏光
第9章:輻射における相対論的効果
第10章:色覚
第11章:見ることの機構
第12章:量子現象
第13章:波の見方と粒子の見方との関係
第14章:気体分子運動論
第15章:統計力学の原理
第16章:ブラウン運動
第17章:分子運動論の応用
第18章:拡散
第19章:熱力学の法則
第20章:熱力学の説明
第21章:爪車と歯止め
第22章:音。波動方程式
第23章:唸り
第24章:モード
第25章:ハーモニクス
第26章:波
第27章:物理法則の対称性

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