今日、とある私が絡んでいるライブがあった。そこでまだ若いアーティスト達のマナーの話になった。手短に言うと、挨拶ができていない、と言うことだが、彼らはそれを別になんとも思っていない。それを強制するのもどうかと思う。でも上の人間が教えてあげなければならないのが本当だよなあ、という話になった。
そこで自分の体験として、マナーについて話をしたい。
私はかつてスーツアクターだった。その体験談なども以前書いているが、今日は
“スーツアクターマナー” について。
スーツアクターとしてのデビュー初日に面食らったことがあった。
無事、ショー初日を終えて、ピンク役を終えた私が面を自分ではずそうとした瞬間、先輩レッドから、
「おい、お前、自分の面をはずす前に先輩の面、チャックを全部あけるのが先だ!全員の面とチャックをあけたことを確認して最後にお前は自分の面を取っていいんだ!」
え ええ、面さえも取っちゃ駄目なんですか・・・・・・と思った。
傍目で見てると面つけたままのピンクが、皆の面はずしとチャックあけをやっている姿は滑稽だと思う。
この面さえもはずしてはいけないところに意味があるのだ。
常識で考えると、面つけている方が作業がやりにくいので、自分ではずせる面は取ってやった方が絶対効率的なのだ。また面の中は暑いし、少しでも新鮮な空気を吸いたい。
ここで学んだことは、自分の事を考える前に人の事を考えろということだ。
例えば、ショーが終わって暑くて真っ先に水が飲みたいことがある、がまずは先輩全員に水を配って、最後にようやく自分が飲んでいいのだ。
とかく自分の事しか考えない人が多い世の中で、こういう経験は貴重な経験となった。アクション業界を離れても、まずは人の事を思う、という気持ちは忘れないようにしている(つもり)。