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転職人生ここにあり!

証券マンから、スーツアクター、はたまた映画のプロデューサーとはちゃめちゃな人生を歩む筆者の日々の日記

スーツアクターマナー

2006-07-25 23:44:48 | スーツアクター

今日、とある私が絡んでいるライブがあった。そこでまだ若いアーティスト達のマナーの話になった。手短に言うと、挨拶ができていない、と言うことだが、彼らはそれを別になんとも思っていない。それを強制するのもどうかと思う。でも上の人間が教えてあげなければならないのが本当だよなあ、という話になった。

そこで自分の体験として、マナーについて話をしたい。

私はかつてスーツアクターだった。その体験談なども以前書いているが、今日は

“スーツアクターマナー” について。

スーツアクターとしてのデビュー初日に面食らったことがあった。

無事、ショー初日を終えて、ピンク役を終えた私が面を自分ではずそうとした瞬間、先輩レッドから、

「おい、お前、自分の面をはずす前に先輩の面、チャックを全部あけるのが先だ!全員の面とチャックをあけたことを確認して最後にお前は自分の面を取っていいんだ!」

、面さえも取っちゃ駄目なんですか・・・・・・と思った。

傍目で見てると面つけたままのピンクが、皆の面はずしとチャックあけをやっている姿は滑稽だと思う。

この面さえもはずしてはいけないところに意味があるのだ。

常識で考えると、面つけている方が作業がやりにくいので、自分ではずせる面は取ってやった方が絶対効率的なのだ。また面の中は暑いし、少しでも新鮮な空気を吸いたい。

ここで学んだことは、自分の事を考える前に人の事を考えろということだ。

例えば、ショーが終わって暑くて真っ先に水が飲みたいことがある、がまずは先輩全員に水を配って、最後にようやく自分が飲んでいいのだ。

とかく自分の事しか考えない人が多い世の中で、こういう経験は貴重な経験となった。アクション業界を離れても、まずは人の事を思う、という気持ちは忘れないようにしている(つもり)。

 


スーツアクター 同期との会話!

2006-07-18 23:16:32 | スーツアクター
今日、久しぶりにかつてのアクションクラブでの同期と電話で会話をした。
今から20年近く前に、たまたま募集していたアクションクラブに入った同期20人の中で最終的に残った2人のうちの一人だ。もう一人は言わずもがなこの私です。


年齢は彼の方が下ですが、仕事上は同期でありました。あの頃、お互いに技の習得に燃えていたものでした。自分は、ヒーロー番組のみで業界を引退したのですが、彼は芝居や、映画、テレビ、CMと活躍の場を広げ、ラストサムライにも出演しました。


自分は、サラリーマンになり違う道へ進んだわけですが、彼の活躍ぶりは同期として羨ましくもあり、また誇りでもありました。


さてなぜ久しぶりに彼と話をしたかと言うと、彼のお母様が亡くなられて、私が弔電を打ったからである。そのお礼ということで電話がかかってきたのだ。

彼は今、どうしても埋まらない役をやってくれということで、かつて我々が所属していたクラブから頼まれて、某遊園地のショーのレギュラーで入っている。その公演の期間中にお母様が亡くなられたのだ。この業界は、絶対に自分の役に穴をあけることはできない。彼は、葬式に参加せずショーに出演したのだ。


そんな中、今日は落ち着いた時間に電話をくれたのだ。久しぶりの会話でもあり1時間近く話をした。彼が言っていたのは、今の若い人達はどこか一生懸命さが足りないということであった。また愚痴や出来ないことを人のせいにすることも多いとも言っていた。


その反面、ベテランの人達のことは、本当にプロだと讃えていた。今世代代わりの時期。かつてのベテラン達が主役から脇役になって、次代のヒーロー役をバックアップしているという。力のある人は、文句も言わずにどんな役でもこなす。また、いばらないし逆にソフトだ。こういう人達がまだ現役でいるうちに、ぜひ次代のアクター達もそれを見習って欲しいと思う。




スーツアクターの夏

2006-07-14 18:44:54 | スーツアクター

いやあ、今日は朝から本当に暑かったです。

今日東京の最高気温も予想で33度。先週までも暑かったとはいえ、いよいよ梅雨もあけて本格的な夏になりそうですね。

さて、久しぶりにスーツアクターについて。

スーツアクターにとってご察しの通り夏は 最悪 です。 ただでさえ暑いのに、さらに衣裳をたくさん着ます。またヒーローの面も相当暑くなります。ヒーロー面は、換気できるところが目のところにあるポツポツの穴しかないので、ただでさえ炎天下で面が暑く、面の中の温度が上昇しているのに、さらにアクションをしての吐く息で最高に暑くなります。恐らく50度近いのではないでしょうか?

数年前にとある敵のキャラクターがいたのですが、これはもっと最悪でした。なぜなら穴さえも無いからです。顔の上に、透明なカプセルがかぶさっています。
なので空気は、透明カプセルの中の空気のみしかないのです。夏にやったときは死にそうになりました。
これは完全にカッコを優先して、動きやすさや、演じやすさを無視したため、そういった作りになったのです。

呼吸もさることながら、次は水分補給ですね。

以前後楽園遊園地でショーに出演していたときは、とにかく一度自分の出番が終わって、次の出番の場所へ裏で移動するのですが、その間に面を上にあげて水を飲んで、すぐかぶって、次の場所に待機するという感じでした。

本当は面もゆっくりとって、涼みたいのですが、すぐ次の場所に移動しなければならないので水を飲む一瞬しか面もあげられません。 かといって水分をとらないと明らかに脱水症状になります。

とあるヒーロー役の方が、ショー終了間際で脱水症状を起こしたことがあります。フラフラで立っているのがやっとで、最後舞台から掃けたと同時にバタンでした。

すぐさま衣裳を脱がして、涼しい部屋につれていきました。で、まずは血管を冷やさないといけません。血液が沸騰状態なので、熱射病ではないですが、最悪脳がやられます。 その時もそうでしたが、太ももの付け根の動脈を真っ先に氷で冷やしていました。あとは首周りですね。

僕も数年前、どうしても手伝って欲しいということで、38度の中ショーをやりましたが、この時はこたえました。なにせ普段は冷房の中で生活しているのですから。

最後のヒーローの握手会の時は、意識が朦朧として大変でした。

しかし、夏はお客さんにとっても大変です。じっと座って炎天下ショーを見るのですからね。面はかぶってないでしょうけど。

最近は、ショッピングセンターなどは、屋上ではなく、屋内でやるので、そうすると冷房が効いていてお互いいいですよね。 冷房効いている屋内でもスーツアクターは暑いのは暑いんですけどね。

そんな裏話でした。


スーツアクターとは?Vol.2

2006-06-20 23:55:08 | スーツアクター

タイムレンジャーと仮面ライダーが結婚
というニュースがネットで流れた。一瞬なんのことやらと思う。こういう場合、映画の宣伝などでよくある見出しだったりするのだがNEWSを見てみると本当にそうだった。ただしタイムレンジャーのピンクと仮面ライダーを演じていた俳優さん達が結婚とのこと。さて俳優さんと書いたのであるが、実際に彼らは顔出しの役者さんで中身は別なのだ。そう中身は、私のかつての職業であるスーツアクター及びスーツアクトレスが入っているのです。

さて以前のスーツアクター話を訪れて下さる方が多かったようなので今日はその第2弾! いきなりお父さん達の夢をくじく話ですみません。戦隊シリーズのピンクなどに入っているのは大概は男性です。私のデビューもピンクでした。初めてでヒーローが出来るのはうれしかったものの、いざステージに立つと自分に視線が集中(女性として見られている感じ)しているような気がして恥ずかしく面の中の顔もピンクになっていたのを思いだします。初めてのショーが終わり、見に来ていた事務所の社長に

『ピンク恥ずかしかったですよ』
と言ったら、予期せぬ回答が返ってきた。


『いや、男性が女性を演じる方が女性がやるより女性らしいんだぞ。』

そうなんです。実は戦隊モノというのは歌舞伎から来ているんです。動きや名乗りの見栄を切ったりするのもそう。歌舞伎は女形があります。皆さんきれいですよね。あとはやはり、あの面をかぶってアクションをこなすのはどうしても体力的に男性でないときついということもあるようです。でも女性でもバリバリに動く方もいますけどね。また機会あれば第3弾を書きます。


スーツアクターとは?

2006-06-12 13:55:45 | スーツアクター
私のブログ内で『スーツアクター』という言葉を使っていますが、きっと皆さんにはあまり馴染みのない言葉では?背広を着ている俳優ではありません。
スーツアクターとは簡単に言うと『着ぐるみの中に入っている人』のことです。

私が学生時代の頃はこの言葉はありませんでした。非常にいい言葉です。

特にスーツアクターという言葉は、着ぐるみでも仮面ライダーや、ゴレンジャーなどのアクションヒーローものに入っているスタントマン兼アクションマンのことを指しているような気がします。セーラームーンなどのアニメ(業界ではメルヘンという)の着ぐるみに入っている人にも使うことはあります。業界では、アクションとメルヘンといいます。

私は、若かりし頃はバリバリのアクション派(のつもり)でしたが、年を重ねるごとに、というよりセーラームーン人気からメルヘンショーが増えたこともあり、メルヘンを演じることも多くなりました。アクションもメルヘンもどちらも自分以外を演じ、役になりきるという点では一緒です。

人間誰でも変身願望があります。どこか現実の自分とは違う自分がいる、あるいは自分はこんなものではないはず、と思っています。このスーツアクターという仕事は、そう言った点で顔出しの俳優ではありえない役(怪獣、ヒーローなどなど)をやることが魅力なのかもしれません。でも最近はスーツアクターになりたいという人が減ってきているような気がします。私が若かりし頃はジャパン・アクション・クラブが全盛の頃でした。今でこそ味のある演技派の真田広之さんがアクション俳優全盛で、彼に憧れて入門者が多かったものです。今、スーツアクターというカッコイイ言葉があってイメージが一新されてもなり手が減っているのは、暑い、きつい、苦しい、という3Kならぬ環境が容易に想像でき、現代のスマートな若者には受け入れられないのでしょう。あと大事な事は業界に真田さんに代わるヒーローがいないことです。

憧れの人、尊敬する人、あの人のようになりたいという人がいてその業界は未来があるのでしょう。これは企業でも一緒かもしれません。尊敬できる上司、先輩という人が今減ってきているような気がします。自分は後輩に対して少しでも生き方を見せられる人間でありたいと思います。