明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

閉じ込め症候群(LIS)

2010-12-27 | 事業仕分け

 

もしあなたが、意識ははっきりしているのに、話すことも体を動かすこともできなくなり、自分の意思を他人に伝えることができなくなったらどうしますか?こういう状態を『閉じ込め症候群(locked-in syndrome)』と言うのだそうですね。以前、NHKスペシャルでも放映され、話題になりました。

今年は医療関係の方とお話をする機会が多かったのですが、臓器移植や生殖医療、尊厳死など、考えさせられるテーマばかりでした。
そんな私が、偶然LISの患者さんのご家族からお話を聞く機会にめぐり合いました。聞けば聞くほど、この『閉じ込め症候群』は、人間としての生を送るにはあまりにも残酷な状態だと、改めて感じさせられました。
 
 
この閉じ込め症候群は、典型的には、脳底動脈閉塞により脳幹部橋底部の障害によって起こるとのことです。動くことは全くできないので、一見すると重度意識障害、いわゆる植物状態に見られてしまうそうですが、知的機能は保たれているので、身体の中に知性が閉じ込められているという意味で、『閉じ込め症候群』という用語が使われているそうです死亡率は高く、ほとんどの患者さんは1カ月以内に死亡し、自立まで回復することはまれですが、場合によっては数ヶ月かけて回復することもあるそうです。
 
 
ある種の難病や脳損傷の患者さんの中に、こうした「閉じ込め症候群」や「閉じ込め状態」と呼ばれる状態に陥る人が増えているそうですが、完全な閉じ込め状態になったら死なせてほしいという方も多くいるとお聞きしました。Nスペで紹介された方も「人生を終わらせることは栄光ある撤退であると確信している」と仰っていました。
 
 
あるアメリカの女性患者の例では、物が飲み込めるうちに睡眠薬を多量に摂取して自殺されたそうです。彼女の場合、睡眠薬で眠くなる前に致死量まで飲む行為は、大変な労力が必要だったそうですが。

 
この問題は尊厳死等と同様に、とても倫理的な課題ですし、個々のケースによって状況が異なるので、何がベストか一概には言えないでしょうが、せめて本人や家族の人生観に沿った選択の自由が少しでも増えたら、と思います。

 た
だし、自分の考えが社会通念と合致していると思い込み、異なった価値観の他者を否定し、排除しようとする行為は絶対にやめてほしいと思っています。
 
一人ひとりがどのように生きるかを尊重することは、人権を尊重することにほかならないと思うからです。

 
クリスマスやお正月と浮かれ気分になっていましたが、ふと、立ち止まって考えていました。


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