明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

交付税の問題は

2010-10-29 | 事業仕分け

国の事業仕分け第3弾は、地方自治体職員が大きな関心を寄せる「交付税特別会計」も登場します。

 この交付税については、多くの方が問題点を指摘されていますね。
地方自治体職員として問題だと感じているのは、地方への迷惑施設の押し付け、モラルハザード、金利の二重払い、の3つ(まだまだあるけど)。

 例えば、北海道・東北地方の不交付団体を見ると、下にある12市町村中11団体が、原子力・火力発電所、自衛隊演習場などいわゆる迷惑施設を設置しています。
 税収が少なく財政運営が厳しいという弱みに付け込んだ、設置するための持参金と化してはいないでしょうか。

北海道;泊村  青森県;六ヶ所村、東通村  宮城県;女川町 福島県;西郷村、広野町、大熊町  新潟県;聖籠町、湯沢町、刈羽村 福島県;敦賀市、おおい町

 交付税特別会計の借入れが今日のようになった最大の理由は、バブル崩壊後のなりふり構わない景気対策だと思います。(この前後の6年間を財政課で過ごした私は、特に強くそう思います。)
 1990年代後半(小渕総理の頃)からは特にひどく、一方で所得税、住民税と法人税の一律減税、他方で公共事業、単独事業の増額を地方に行わせるために起債をジャンジャン認め、その償還金は後年度に交付税で面倒をみるという、ダブルの赤字加速策でした。
 
 地方自治体側も、自らの税金で返す借金は恐くてできませんが、交付税措置なら安心だというモラルハザードに陥りがちです。
そのせいたなのか、地方自治体の仕分けで、交付団体からは「財源は○○補助金と交付税でまかなっています」などと平気でおっしゃる方もいるわけです。


 また、
「交付税措置」を行うことで、ダブルの「金利支払い」が生じてしまうことも問題です。自治体は公共事業のための借金をして金融機関(や国)に金利を払います。国はそれを交付税で措置するため、財務省の財政投融資資金(前身は資金運用部)からお金を借りて利息を払うことになり、金融機関と国の両方に利払いが生じてしまうのです。
 だから交付税措置は、借金などしないで今ある「税金」(自分で稼いだ給料)で支払う場合と比較して、たいへん高額な「社会資本」整備を強いていることなのです。
 「交付税措置」といっても、結局、自治体の借金を国の会計を通じて先送りしているに過ぎなくて、最後は自治体にツケが回ってくる仕組みなのですが、それがようやく理解されるようになってきたのではないかと思います。


 昨年12月の新聞報道で、財務省と総務省は2010年度予算編成で、地方交付税特別会計の民間金融機関等からの借入金返済を凍結する検討に入った、とのことでした。

地方交付税の精算を先延ばしにするということは、先送りによる利払い額が増加するわけで、地方の将来負担はさらに増えることになるといえます。


 先進的な地方自治体では、自治体発行の「公募債」の研究が進んでいます。ダブルの利払い不要の「市場公募債」を活用することにより、不要不急な公債費発行に頼らなくなりますし、公募することにより住民の関心が高まるという副産物もあるのではないでしょうか。

ある政令市では、「市場公募債」の際、依頼格付け取得し、世界の都市との比較が容易になり、交付税対象と同様の公共施設建設に際し、海外法人や外国人投資家からの投資までも期待できるようになった、とのことです。
 
自由度が増えれば、工夫次第で金利は押さえられます。
また、補助金制度に頼らずとも、民間資本を活用した社会資本整備も可能です。

 まだまだ改善の余地はタップリあると思います。


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