明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

田川市事業仕分けに参加しました

2011-10-13 | 事業仕分け

108日(土)~9日(日)は福岡県田川市の事業仕分けでした。 

8人の仕分け人のうち構想日本から1人、4人が市の行革推進委員など市側の依頼、3人が公募市民という、いつになく大所帯の1班体制でした。2日で16事業と事業数は適正でしたが、総務、市民、福祉、教育、環境、水道・・・とほぼすべての部が対象となりました。事業選定についてのアドバイスを真摯に受け止めていただいき、事業規模や内容などはバランスが取れていて良かったと思います。また、担当部署では事前に評価(内部仕分け)を行っており、その考え方が示されていたので、大変わかりやすかったです。

 

田川は炭坑節発祥の地でもあり、ボタ山、採掘現場の煙突や立抗櫓など炭鉱の歴史を色濃く残す風景。そこに立つ田川市石炭・歴史博物館は、日本で最初の世界記憶遺産として承認された「山本作兵衛」の作品を展示していることから、来館者は飛躍的に伸びているそうです。

 本当に♪三井炭鉱の上に月が出た♪

左端に炭坑節発祥の地の記念碑。
正面は、切り崩され形が変わった山が。

 

その博物館の前の広場を会場に実施する「TAGAWAコールマイン・フェスティバル」事業を紹介します。
 このお祭りは18年度から始まったもので、観光地としての誘客や歴史・文化などを目的にしているそうです。田川のアイデンティティといっても良い事業ですし、全国に発信できる可能性のあるイベントです。

しかし、どうも市側に強い意欲が感じられません。市民仕分け人の方も、「そこに儲かるネタがあるのに貪欲になってくれない」と指摘されていました。

炭坑節は多くの人に知られているし、世界遺産も転がり込んできた(この表現は市の方が言っていました)のに、日本中から集客するだけの材料はそろっているはずです。

どうしてなのでしょうか。長らく交付税でしのいできた自治体は、高いところを目指さなければ今の生活が維持できるので、積極的に打って出ることを忘れてしまったのでしょうか?

 

論点は、
市の関与をどこまでとするのか。市民のためのまつりと謳っているが、事務局は市役所である。企画、準備、実施、片付けまで市民参画を構築すべきではないか。
・財源確保の方策をどう考えているのか。収入企業や個人による募金・協賛金収入だけでは限界があるが、来場者が急増する状況であり、出店料の金額も検討すべきではないか。
成果指標は炭坑節総踊りの参加者数であるが、これは再考すべきではないか。炭坑節総踊りの参加者は市内の団体に依頼して、毎年度の数値を下げないようにしている、など交流の促進を図る指標とはなっていない。
実行委員会の経理についてややずさんではないか。1,500万円の祭り経費のうち、市からの補助は700万円。昨年度は500万円の残金があったから、今年度に繰越し、補助金額を調整したとのこと。繰越分に税が入っていないか。いわゆる団体の埋蔵金となっていることについての問題意識はどうか。

他自治体でも、その町固有の文化を継承するための祭り(神社の祭りなど)と、市が新たに実施した地域交流や観光促進を目的としたイベントがあります。

後者はかなりの部分で税投入・人員投入していることから、住民参画・協働をすすめる一方で、経済効果を見込めるなら出店者を広く募る、金額設定を相応に見直すなど、財源確保も求められと考えます。また、全国から炭坑節総踊りの参加者を呼び込むのも可能です。実際、よさこいソーラン節をヒントに、「炭坑節・沖縄バージョン」を考えているとか、さまざまなアイディアは観光協会など民間の方から出てきました。

市民仕分け人の判定は「要改善」、私だけが「拡充」でした。
事業費の削減ばかりではなく、全国から人を呼び込む(海外からのお客さんも訪れているそうです)世界記憶遺産承認の今がチャンスだと思いました。

 

さて、田川市の仕分けの総括として、事業のバランスはよかったです。また、事業シートはかなり空白が目立ったものの、担当部署の評価も提示されたこともあり、ほぼ満たされていました。説明は、まだアウトプットとアウトカムの区別が不十分な部署もありましたが、今後に期待できると思います。

特に、松岡博文副市長は、2日間とも大変熱心に傍聴されていました。ずっとメモを取られ、時に頷き、時に厳しい目で凝視。
閉会式でのコメントも、改善点をよく理解され熱意が感じられ、秀逸でした。

 また、田川市議の佐々木允さんも2日間、熱心に傍聴され、ツイッターで発信もしていただきました。

 
副市長の存在は、職員に程よい緊張感を考えていただき、佐々木市議はじめ議員さんの熱い視線は仕分け人の励みになります。このような方々が会場にいらっしゃるおかげで、引き締まった良い事業仕分けとなりました。

 


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