鉱石ラジオ

艦これ二次創作小説同人
C105 日曜日 西地区 せ-27b(西2ホール)

劇場版総集編【後編】メイドインアビス 放浪する黄昏

2019-01-26 00:08:43 | アニメ
公開から一週間遅れで、後編を観てきました。
ナナチ、いいですね。

繰り返しますが、僕はナナチでは初登場時の完全武装した姿が好きです。理由は端的にかっこいいから。寄せ集めばかりで出来ていて、手作りのボロっとした感じ。あの姿ならそのままでスターウォーズにも出演できそうですしね。だから、ナナチがミーティを抱きしめているビジュアルはナナチの気持ちの一端をよく表現してはいるものの、いささか情緒の方に偏りすぎていて、むしろナナチらしくないと思います。ナナチの心理には例のビジュアルだけでは語り尽くせない屈折した表と裏が隠されているはずです。だから、あれだけでは不十分だと思うのです。

テレビシリーズで言うと第10話のオープニング。前話の後半でナナチはすでに登場しますが、第10話では少し時間を巻き戻して、ナナチの側から怪我に倒れたリコと悲嘆に暮れるレグの姿を見せています。ナナチの感情を押し殺した冷徹な視線、カットバックで挿入される元気だった頃のミーティの姿、立ち上がるナナチ。これらの情景で描かれたことは後にナナチ自身の口から語られますが、総集編ではすべてカットされました。物語の進行上それが自然ですが、残念でした。しかし、逆に、それだからこそテレビシリーズというフォーマットは重要だなと改めて思いました。劇場版総集編では、構造上(構成上?)、テレビシリーズのように前回の末尾を反復するということが出来ません。今回の後編では、冒頭のシーカーズキャンプからの再出発の場面がそれに該当しますが、もしこの総集編が前後編を合体したものだとしたら、後編の冒頭は当然ながら削除されるでしょう。もう10年近く前に、やがてテレビアニメは衰退して劇場アニメが残るだろう、という「予言」を聞いたことがありますが(素人の世迷い言ではなく、あるベテラン監督の私的な発言)それが的中するかどうかは別にして、今回の後編を観て、やはりテレビシリーズでなければ表現できない情緒性があると僕は確信しました。

脱線しますが、文学の小説作品では前章の最後のセンテンスを次章の最初に一言一句正確に再現する、という技法が存在します。この技法を批評の用語で何というのか知りませんが、たしか村上春樹の初期の作品にそのように書かれたものがあったはずです(と記憶しています)。純文学作品で決して珍しい手法ではありませんが、かと言ってありふれているのでもありません。ライトノベルではなおさらでしょう。ラノベでも、純文学寄りの作品でなら幾つか試みられているかも知れませんが、まずお目にかかることはないのではないでしょうか。

さて、ナナチがリコの「ガンキマスの揚げ焼き」を食べる場面がもっとも印象的です。
子育てを経験した立場から言わせて貰うと、ちょうどこの場面のナナチのように、一口頬張った瞬間に「おっ、これは!」という表情になり、次いでもの凄い勢いでパクパクパクと平らげてしまう。幼い子供の成長の場面で、そのようなことが一度や二度は必ず訪れるものです。
私の娘の場合、生まれて初めてカルボナーラのパスタを食べたときがそうでした。娘は現在でもカルボナーラが大好物で、本人は覚えていないに決まっていますが、その起源は三歳の正月の一日に遡ることが可能で、その事実を親はしっかり覚えているというわけです。
またこの場面では、言葉で表現するなら「こんなに美味いもの、生まれて初めて食べた」という体験が描かれているわけですが、そのようなわかりきったセリフを排したクールな演出を、作画も声優も立派にやり遂げていると思います。仮に同じような場面を実写ドラマで再現したとき、俳優たちは果たしてこれをセリフ抜きで演じることが出来るでしょうか。僕はきっと不可能ではないかと疑っており、これがアニメが実写に対して持っているアドバンテージのひとつだろうと考えています。たぶん漫画でも不十分ではないかと思います。実写では役者も演出家もそのセリフを口にしないことに耐えられず、一方で漫画では同じことをやると読者が欲求不満を起こすのではないか、と。その理由を上手く説明できませんが、少なくとも今のところは、このような場面をセリフ抜きで過不足なく表現できるのがアニメという表現形式なのだろうと考えています。

以上、楽しく観てきました。今から2期が楽しみです。
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C96 サークルカット検討中

2019-01-20 22:10:47 | 同人活動
C96の申し込みを控えてサークルカットを考えています。

次の新刊は提督×五月雨の〝ハード〟な〝いちゃラブ〟で成人指定の予定です。困っているのは背景用の素材で、最近はWebで入手できるフリー素材を使っていましたが(「ぱくたそ」フリー素材)、どこのフリー素材も同様でしょうが、利用規程ではアダルトものでの使用を禁止しています。これまでは年齢制限を設けない小説を配布してきましたが、今回は事情が正反対でフリー素材を使用できません。

ということに、今日気が付いて路頭に迷っています。

締め切りまでまだ時間があるのでしばらく考えますが、対案としては、

1.自分で良さげな風景写真を撮ってくる
2.自力でイラストをでっち上げる
3.諦めて、背景真っ白の文字だけのサークルカット

1がもっとも無難。しかし、冬の海で南国っぽさを演出できるだろうか。そういう設定の小説になるのです。僕の写真の技量でははなはだ心許ない。
2は、いつかそうなりたいという目標でもありますが、付け焼き刃の感が否めない。それに全然練習していないし。いい機会だからこの際イラストの練習を始めるのはもちろんアリですが、締め切りまでにそれらしいイラストを描けるか、どうか。ハードルは高い。
3は最悪の場合の選択肢。まだ諦めたくはない。

うーん、弱った。
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理知的な文章に出会うことは最高の歓びのひとつ

2019-01-18 00:18:17 | 同人活動
朝日新聞に掲載される人生相談「悩みのるつぼ」から。

パートで彼に会えることが全て 3児の母が恋して悪い?

ゆっくり話すことはないのですが、1秒でも目が合ってあいさつできれば、足が震えるほどうれしい。

でも、彼とは一瞬すれ違うことがあるかどうかも分からないのですが、その一瞬のために化粧品をそろえ、新しい服と靴を買いました。

レトリックとは単なる文章の修飾にとどまらず、発見の機能を有するというのが古代からの見解だが、まさにこの相談者の文章を目にすることで例えば僕などは乙女心、恋心というものの一端を理解することができる。「足が震えるほど」というのは比喩であると同時に、相談者自身がそのように足を震わせている自分に気が付いたという事実の告白でもあるだろう。もしかしたら、このときがきっと自分の恋を自覚した転機だったのだ。
勉強になる。

回答者の上野千鶴子の方は、それは恋ではなく単なる片思いだと断じ、「あなたの視界に入っている世間は狭すぎます」と相談者の未熟さを指摘する。そだねー。
しかし、自分の気持ち(この世で一番分かりにくいもののひとつ)を的確に文章で表現できる彼女なら、あまり心配する必要もないのではないかと思う/思いたいのだが。

なお、新聞に掲載される人生相談の文章は原文の通りではなく記者が適切にアレンジしているものでは、という疑念もないではないが、過去の記事を読む限りでは回答者はその字句に依拠して回答を組み立てている様子なので、あまり邪推する必要はないと私は考えている。
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コミックマーケット96申込書セット1が届く

2019-01-13 21:50:16 | 同人活動
徒歩5分のところにある実家で夕食を済ませ、酔っ払って帰宅すると郵便受けに大きめの封書が届いているのが見えた。有限会社サークル・ドット・エムエスのクリーム色の封筒で、宛名書きに「【C95セット販売】コミックマーケット96申込書セット1」とある。

こんなの注文していたっけ?
と言うか、申込書セットならもうすでに前日設営の日に購入済みだ。
何かの間違いじゃないか?

そこでCircle.msの「通信販売・履歴一覧」を調べてみたら……、しっかり注文していた。
がっくり。
注文日の8月14日といったら、つまりはC95の申し込みをした日。そんな昔のこと覚えていない。いつもはコミケ初日の会場で紙袋と一緒に購入していたからすっかり忘れていた。ほら、いつもと違うことをするから。
ああ、やってしまった。送料込みで1,600円、気前良くお布施をしてしまった。1,600円と言ったらキレイめの成人向け同人誌2冊分に相当する金額だ。

しかし問題は今後だ。次はどうする?
どうせ次の次も申し込むから申込書セットは買うだろう。では、いつ買うか。サークル参加申し込みのときに併せて注文すると今回の二の舞になる可能性がある。かと言って会場で購入するとなると、一度このような「前科」を犯してしまった以上、きっと混乱するだろう。注文したものと思い込んで買わずにおいて結局買い忘れた、などということが出来しそうな気もする。まあ、その場で通販履歴を調べれば済むか。いやいや、そもそも注文履歴を調べようという考えが思い浮かばなかったのが今回の失敗なのだ。

歳ですな。いよいよ忘れっぽくなってきました。
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劇場版総集編【前編】メイドインアビス 旅立ちの夜明け

2019-01-04 17:55:09 | アニメ
立川シネマシティ Cスタジオ 9:40-11:45

シネマシティ名物の【極音】上映で、例えばレグの火葬砲は数割増しでド迫力だし、不動卿オーゼンがリコやレグに喰らわせるデコピンが本当に痛そうに聞こえる。当然、好き嫌いは分かれるだろう。だが、これはこれでお勧めだ。Cスタジオの比較的小さめのスクリーンで見られたのも良かった。
因みに同じ時間帯に一番広いAスタジオでは「ボヘミアン・ラプソディー」が上映されていた。そだねー。

ところで、今回このブログのタイトルは公式の映画のタイトルからそのまま引用してきているのだが、これは少しおかしくないだろうか。

> 劇場版総集編【前編】メイドインアビス 旅立ちの夜明け

もし、今これを読んでいるあなたが中学三年生で、東京都立高校の国語の入試に「これらの用語を用いてもっとも適切と思われる映画のタイトルを考えなさい」などという試験問題が出題されたとしたら、どう解答するだろうか。
僕の考える模範答案はこうである。

> 劇場版メイドインアビス 総集編【前編】夜明けの旅立ち

元のタイトルには旧都知事の石原慎太郎が「都立大学」を「首都大学東京」と改名したのと同じ、中二病の少年少女が背伸びをしているような痛々しさ、気恥ずかしさを覚える。旧都知事にしてもそうだが、もう少し大人サイドにシフトしても良い。格好良くしようと工夫を重ねた挙げ句に訳がわからなくなって最悪の選択をした、としか思えないのだ。あるいは、制作サイドにケチ臭い横やりが入ったのである。今後の展開に不安を残す、そんな幕開けとなった。

あとね。
「旅立ちの夜明け」という場合、それは物語全体の始まりであることを強調している訳だけれども、それだと「旅立ち」も「夜明け」も同じことしか意味しないので何だか壮大っぽいタイトルの割に詰まらない効果しか生んでいないと思うんだよね。これを逆に、と言うか、日本語的に正しい順序に戻して「夜明けの旅立ち」とすると、これは文字通りリコとレグの旅立ちの場面を直球で表現することになる。そして今回のエピソードの中ではリコとレグの旅立ちは二回訪れる。一度目はシギ―とナットに見送られてオースの街を旅立つとき、二度目はオーゼンの試練を経てシーカーキャンプから旅立つとき。二度目の旅立ちはラストシーンでもあるんだよね。だから強調されるべきは「夜明け」よりも「旅立ち」の方なんだ。これから壮大な冒険に出発すると言うのにほんの僅かな仲間だけにしか見送られることのない、もの寂しい旅立ち。その寂しさを表しているのが「夜明け」なんだ。だから、言葉の選択は正しい。順番が違うだけ。
言葉は正しく用いたいな。

開場前に物販を一通り見たが何も買わなかった。リコとレグは主人公だもの、仕方ない。しかし前編なら一番の注目はオーゼンかマルルクではないのか。それなのに物販にオーゼンとマルルクの姿はなく、まだ登場していないナナチのグッズが並んでいる。しかも脱いでいるナナチだ。僕もナナチは大好きだが、特に好きなのは初登場時のフルアーマーのナナチだ。それなのにフィギュアといいアクリルスタンドといいクリアケースといい、世のナナチは皆脱いでいる。相手は年端もいかない女の子なんだから無闇に脱がしたらいかんだろうに(と言いつつ、リコの全裸シーンがカットされていたのはいかにも残念だった)。
ふと気が付けば唯一購入したパンフレットにもすでにナナチのことが書いてある。もしかしたらこのパンフレットは前編と後編で共通なの? 一冊だけなの?
予算が足りなかったのだろうか?
「メイドインアビス」って、もしかしたらすっごく「貧乏」な作品なのでは?

さて今回の【前編】はテレビシリーズの第一話から第八話まで、すなわちレグ登場から監視基地を出発するまでのまとめだ。劇場版の冒頭では導入部、つまりテレビ本編では過剰な中二病的倒置法を多用したために分かり難くなってしまった時系列を整理したり、エンディングでは次の主要登場人物となるナナチの愁いに満ちた表情が描かれたり、と新作の要素もなくはないが、主要なエピソードでは新作はないようである。むしろシーカーキャンプでマルルクの男の子らしさを強調する場面が割愛されていたのは残念だった。

これでも自分はファンのつもりだが、物販やパンフレットの惨状から窺い知る「貧しさ」を目の当たりにして、こんなに良いアニメなのに何で人気が出ないんだろう、とお正月早々悲しい気分になった。

コアなファン向けの作品だった。
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