MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIの歴史的論文(25)

2006-04-13 22:44:24 | Weblog

前日書きましたように,核磁化がz方向を向いた「熱平衡状態」から,「平衡状態」まで,どのように移行していくか,ということは,TrueFISPなどのような高速イメージングのシーケンスを実施するには,特に重要なテーマです.

というのは,パルスシーケンスを始めてから,実際に撮像を開始するまでには,核磁化が平衡状態となる必要があり,これには,しばらくの時間が必要だからです.

多くの場合,T1の程度の時間を待てば良い,と言われています.たとえば,T1=1秒の被写体を,TR=100msで撮像する場合,データ収集を開始するためには,10回くらいの空のシーケンス(ダミーシーケンス)を走らせれば良いと言われています.ただし,これは経験的なものです.

これに対し,きちんと結論を出すためには,核磁化(分布)に対する計算機シミュレーションをしなければなりません.

上に示したのは,その一例です.静磁場のオフセット(ずれ)を有する核磁化に対して,繰り返しRFパルスを印加したときの核磁化の動きを,Bloch方程式を用いて計算しています.このように,核磁化は,複雑な分布となります(ただし,簡単のため,緩和時間は考慮していません).

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