昨日,TrueFISPという言葉を断りなしに使いました.TrueFISPという言葉は,1995年頃から使われ始めた言葉で,私自身は,確か2000年のDenverの国際磁気共鳴医学会(ISMRM)と日本磁気共鳴医学会(JSMRM)で,はっきり意識するようになったと思います.
初出の報告は,
Heid O, Deimling M, Multiecho true FISP imaging, 3rd ISMRM, Niece, 1995.
のようです(実は,その1年前のISMRMにもあるようですが,こちらの方が有名です).
2000年のJSMRMで,TrueFISPの講演をしている人に,TrueFISPとFISPの違いを私は質問しましたが,満足のある回答は得られませんでしたし,「TrueFISPと言うのなら,TrueのつかないこれまでのFISPは,FalseFISPだったのですか」,と毒づきたくもなりました.
さて,実際,旧来のFISPとTrueFISPは,どうちがうのでしょうか?
それを理解するために必要なのが,昨日示した,静磁場のオフセットに伴う信号強度変化のグラフです.
すなわち,静磁場が均一で共鳴条件を満たしていれば,均一な画素強度を持っていますが,共鳴条件からずれると,画素強度は低下していき,この変化は静磁場強度の変化と共に,繰り返していきます.
よって,均一磁場の中で短いTR(10ms以下)で撮像するのがTrueFISP,あまり均一性が良くない静磁場の中で,長めのTR(数10ms以上)で撮像するのが(旧来の)FISP,ということが言えると思います(でもこのとき,実際には,完全に対称なシーケンスは使われていないようです).
旧来のFISPにおいて,画素強度は,静磁場の不均一性に関して,画素強度のグラフを積分したものになっています.上に示す画像は,TRを変えることによりdark bandの幅が狭くなり(dark bandの幅はTRの逆数)画素の中に吸収されていく様子を示しています.これらの画像を見ていけば,TrueFISPと(False)FISPの関係が分かると思います.