MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIの歴史的論文(23)

2006-04-11 22:22:57 | Weblog

昨日,TrueFISPという言葉を断りなしに使いました.TrueFISPという言葉は,1995年頃から使われ始めた言葉で,私自身は,確か2000年のDenverの国際磁気共鳴医学会(ISMRM)と日本磁気共鳴医学会(JSMRM)で,はっきり意識するようになったと思います.

初出の報告は,

Heid O, Deimling M, Multiecho true FISP imaging, 3rd ISMRM, Niece, 1995.

のようです(実は,その1年前のISMRMにもあるようですが,こちらの方が有名です).

2000年のJSMRMで,TrueFISPの講演をしている人に,TrueFISPとFISPの違いを私は質問しましたが,満足のある回答は得られませんでしたし,「TrueFISPと言うのなら,TrueのつかないこれまでのFISPは,FalseFISPだったのですか」,と毒づきたくもなりました.

さて,実際,旧来のFISPとTrueFISPは,どうちがうのでしょうか?

それを理解するために必要なのが,昨日示した,静磁場のオフセットに伴う信号強度変化のグラフです.

すなわち,静磁場が均一で共鳴条件を満たしていれば,均一な画素強度を持っていますが,共鳴条件からずれると,画素強度は低下していき,この変化は静磁場強度の変化と共に,繰り返していきます.

よって,均一磁場の中で短いTR(10ms以下)で撮像するのがTrueFISP,あまり均一性が良くない静磁場の中で,長めのTR(数10ms以上)で撮像するのが(旧来の)FISP,ということが言えると思います(でもこのとき,実際には,完全に対称なシーケンスは使われていないようです).

旧来のFISPにおいて,画素強度は,静磁場の不均一性に関して,画素強度のグラフを積分したものになっています.上に示す画像は,TRを変えることによりdark bandの幅が狭くなり(dark bandの幅はTRの逆数)画素の中に吸収されていく様子を示しています.これらの画像を見ていけば,TrueFISPと(False)FISPの関係が分かると思います.

コメント
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