MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIの歴史的論文(16)

2006-04-04 23:56:22 | Weblog

FLASHの発明者の一人のJens Frahmは,NMR Encyclopediaという本で,「1984年,医用MRIの開発は,一つの終わりを迎えていた」,という書き出しで始まるFLASH誕生のいきさつを紹介しています.

確かに,1984年は,スピンエコーによる撮像法の基本が完成し,臨床用MRIが多くのメーカーから発売され,「(プロトンの)MRIは,もうやることはない」,という雰囲気が充満していたことは事実です.そして,当時,私自身は,臨床機開発の責任の一端を終え,flow imagingやchemical shift imagingという,臨床装置にはない新しい価値を付加する実験に取り組んでいました.

そこに,FLASHの発表があり,臨床用MRIの世界では,いわゆるさまざまな勾配エコーシーケンスが開発されていきます.

一方で,Peter Mansfieldの発明による,究極の高速イメージング法であるエコープラナーイメージング(EPI)を追求するグループもあり,FLASHは,それに比べると1桁は遅いため,プロの世界では,あまり高く評価されませんでした(私も,その一人でした).

ところが,当時の臨床機では,EPIはとても実施できなかった(できるようになったのは,それから10年後のことです)ため,臨床機で容易に実現できるFLASHは,実用的高速イメージング法として,熱烈に迎え入れられました.

上に示す図は,約10年前に,TR = 4.82 ms,TE = 2.70 msのFLASH法で,上から下に動いていくファントムを,約0.6秒の時間間隔で撮像したものです.

コメント (1)
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