見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

シエスタ

2007-11-29 08:18:12 | スペイン
スペインの生活リズムに慣れるのは難しい。

 太陽と情熱の国スペインは、6月から10月が夏時間。仕事も夏時間の勤務体制に入る。この時期、多数の会社・官庁等では、朝8時~9時に仕事を始め、途中休憩時間を入れながら午後2時か3時まで働き、シエスタに入る。

 夏は気温が40度以上の日も少なくなく、午後3時以降が最高気温の時間帯。この時間はもう仕事をしていられないというわけだ。そういえば、モロッコの宮殿にも王様がシエスタを過ごすための優美な部屋があった。暑い国はそれなりの知恵で習慣ができるということなのだろう。
 シェスタの習慣は、古代ローマ時代から続いている生活習慣だとか。

 もちろん、シエスタをとるのはサービス業も一緒。午後1時を過ぎる頃には、街の商店、オフィス、郵便局などほとんどがシャッターを降ろし、街は閑散とする。賑やかなのは、昼食を提供するバルやレストランだ。
3時頃までの遅いランチが終わると、一旦店を閉め、再び開店するのは、夜の9時過ぎ。つまり、スペイン人の夕食時間は夜10時頃がピークだ。金曜日や土曜日は、朝方まで営業しているディスコや飲食業もある。うーん、ついていけない。

ついていけないと嘆いているだけは、夕食準備の買い物もできないということがスーパーに行ってわかった。そろそろ夕食の買い物でもしようかと思う時間、まだスーパーもシエスタの真っ最中。夕方の開店は17時からと表記されている。
何をするにも、このシエスタを頭に入れて動く必要がある。

スペインには、朝食付きのホステルの多く嬉しいが、食事の時間が8時や8時半かから始まる。
朝が遅いのだ。
同室者たちは真夜中過ぎまでバルで過ごし、9時頃にダイニングに行くと一番乗りということが少なくない。
かといって、朝寝坊し、ゆっくりブランチをとるような時は、その後の行動がひどく制限される。郵便を出すにも、ツーリストインフォに行くにも、食材を買うにも、街はシャッターが降りて静まり返っている。みんなバルか、家の食卓か、ベッドの上にいるのだから。
シエスタ前に街での用事を済ませられない場合、行動は17時過ぎに再スタートとなる。当然、夕食はその後。
そのようにして、徐々にスペインの生活時間に慣らされていくのだ。



↑大手スーパーの営業時間。日曜日は閉店。午前と午後の間にたっぷりのシエスタ。


↑シャッターが全て降り、人気もまばらな平日14時の商店街。


↑13時を過ぎる頃から、バルやレストランのテラスは食事や軽食を楽しむ人たちで賑わい始める。


↑旅行者相手のツーリスト・インフォが、土曜半日、日曜休み。平日でもシエスタ前2時間、シエスタ後2時間半のサービス。


↑この会社のシエスタは14:30から16:30まで。


↑↑お医者さんは14:00から2時間のシエスタ。


↑背広姿やオフィススタイルの人々も、レストランやバルでビールやワインを楽しむ。


「銀行員も役所も、14時近くなると皆そわそわして、今日はどこのバルに行こうかなんて相談しあっているのよ。一日の仕事時間なんてほんとうに短いんだから」と、スペイン在住10年という日本の女性が憤慨して言った。
「それに、昼食が14時や15時からだから、夕食は当然、遅い10時過ぎ。朝は軽くコーヒーとパンだけで、10時頃に軽食。だから、結局1日4食。スペイン人の食欲は見事」と。
最近は、若い家族を中心にスペインの生活サイクルも変化してきたという。
グラナダのホステル・スタッフのマルセールは「うちの家族は、3食。若者も4食とらない人が多いよ」と言った。
デパートはシエスタをとらずに営業している。
徐々に欧米スタンダードの方向へ変化しているというスペイン。できるだけ長く今の独自性を保持する時代が続くことを願いたい。

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