せっかく決心したチェコ・フィルは聴いてみたい。Tシャツ・ジーパン姿で入場できないということではないようだが、演奏者やホールへの敬意を表して最小限の努力はしたい。今年度のプロローグ・コンサートである。
思案の末、思いついたのは、「フリーマーケット」と「古着屋」だった。十分な着替えと道具を持たない旅には嬉しい店だ。現在着用している長袖のTシャツは、フィンランドのフリーマーケットで1ユーロ(約165円)だった。
新聞のイベント欄を探索すると、週末の郊外マーケット開催の告知があった。ホステルのスタッフが「そのフリーマーケットは有名。球場がいくつも入るほど広い空き地が会場なの。私のボーイフレンドも、古いラジオとかステレオとか売ったことがあったわ」と楽しそうに言った。
彼女に教えてもらった地下鉄駅で降りると、駅から会場に向かう人の波ができていた。お祭りのような賑やかさだ。入り口で120円ほどの入場料を払って会場へ踏み込むと、車ごと乗り付けてボンネットの上まで品物を並べている人々で満載だった。マニアなら涙が出そうなほどレトロな品物が所狭しと並ぶ。壊れたバイオリン、足のとれた人形、穴の空いた戦闘服、さびた銀の食器・・・骨董なのか、ゴミなのかわからない不思議なものもたくさんあった。古びた小さなガラス瓶や壊れた時計を買っていく人もいる。
会場を一周するだけで数時間。楽しかったが、結局、本来目的としたコンサート用の服や靴を見つけることはできなかった。あきらめて古着屋へ行ってみることにした。プラハの表通りを少しはずれると「Second Hand(中古)」の店がけっこうある。郊外でも、「Second Hand」の看板を掲げる古着屋をたびたび見た。
プラハ最大の古着マーケットは、建物に歴史の名残りを感じるが、あきらかにくたびれた風貌の中央駅構内3Fの奥にあった。
閑散とした駅の3F
3F奥の看板の先がマーケット
驚くほど雑然とした古着マーケットだが、その数量と安さは尋常ではない。どこから仕入れてきたのか、常設会場の隅には、はちきれんばかりに古着の詰まった大きな布袋がいくつも積まれている。ジーパン、革コート、靴、セーター、靴下などの洋服はもちろんのこと、マットレス、寝袋、掛け布団まで積まれている。まるで、戦後の闇市はこうだったのではないかと想像させるような中古品の山。カートに一杯買い込んでいるのは、若い女性が目立つ。洋服類はすべて30CZK(180)、靴等は60CZK(360)
期待以上のものがあった。黒のハイヒール、スーツ。コンサートは夜。暗闇も味方する擬似フォーマルスタイルが1000円で揃ったのだった。
そして、コンサート。演奏も会場も雰囲気も、すばらしかった。来場者のほとんどは、ネクタイやスーツの落ち着いた装い。ドレスアップした女性たちも目立った。
シートは、幸運にもキャンセルで空いた中央付近の前列2列目。バイオリン協奏曲のソリスト女性の驚くほど豊かな表情の変化をごく間近に見ることができ、彼女の感情豊かな演奏パフォーマンスに魅了された。
チェコ・フィルの主席指揮者のタクトも素晴らしかった。が、ステージに登場した時の華やかさは小澤征爾の方が勝るな、などと生意気に思いながら、ささやかな贅沢に浸る小市民を実感する夜だった。
思案の末、思いついたのは、「フリーマーケット」と「古着屋」だった。十分な着替えと道具を持たない旅には嬉しい店だ。現在着用している長袖のTシャツは、フィンランドのフリーマーケットで1ユーロ(約165円)だった。
新聞のイベント欄を探索すると、週末の郊外マーケット開催の告知があった。ホステルのスタッフが「そのフリーマーケットは有名。球場がいくつも入るほど広い空き地が会場なの。私のボーイフレンドも、古いラジオとかステレオとか売ったことがあったわ」と楽しそうに言った。
彼女に教えてもらった地下鉄駅で降りると、駅から会場に向かう人の波ができていた。お祭りのような賑やかさだ。入り口で120円ほどの入場料を払って会場へ踏み込むと、車ごと乗り付けてボンネットの上まで品物を並べている人々で満載だった。マニアなら涙が出そうなほどレトロな品物が所狭しと並ぶ。壊れたバイオリン、足のとれた人形、穴の空いた戦闘服、さびた銀の食器・・・骨董なのか、ゴミなのかわからない不思議なものもたくさんあった。古びた小さなガラス瓶や壊れた時計を買っていく人もいる。
会場を一周するだけで数時間。楽しかったが、結局、本来目的としたコンサート用の服や靴を見つけることはできなかった。あきらめて古着屋へ行ってみることにした。プラハの表通りを少しはずれると「Second Hand(中古)」の店がけっこうある。郊外でも、「Second Hand」の看板を掲げる古着屋をたびたび見た。
プラハ最大の古着マーケットは、建物に歴史の名残りを感じるが、あきらかにくたびれた風貌の中央駅構内3Fの奥にあった。
閑散とした駅の3F
3F奥の看板の先がマーケット
驚くほど雑然とした古着マーケットだが、その数量と安さは尋常ではない。どこから仕入れてきたのか、常設会場の隅には、はちきれんばかりに古着の詰まった大きな布袋がいくつも積まれている。ジーパン、革コート、靴、セーター、靴下などの洋服はもちろんのこと、マットレス、寝袋、掛け布団まで積まれている。まるで、戦後の闇市はこうだったのではないかと想像させるような中古品の山。カートに一杯買い込んでいるのは、若い女性が目立つ。洋服類はすべて30CZK(180)、靴等は60CZK(360)
期待以上のものがあった。黒のハイヒール、スーツ。コンサートは夜。暗闇も味方する擬似フォーマルスタイルが1000円で揃ったのだった。
そして、コンサート。演奏も会場も雰囲気も、すばらしかった。来場者のほとんどは、ネクタイやスーツの落ち着いた装い。ドレスアップした女性たちも目立った。
シートは、幸運にもキャンセルで空いた中央付近の前列2列目。バイオリン協奏曲のソリスト女性の驚くほど豊かな表情の変化をごく間近に見ることができ、彼女の感情豊かな演奏パフォーマンスに魅了された。
チェコ・フィルの主席指揮者のタクトも素晴らしかった。が、ステージに登場した時の華やかさは小澤征爾の方が勝るな、などと生意気に思いながら、ささやかな贅沢に浸る小市民を実感する夜だった。
それさえも、楽しめる素敵な街なんですね。
松本も今サイトウキネンの真っ最中です。
私もラッキーにも、今回オーケストラのチケットが手に入り、先週聴きに行けました。
素晴らしいオケでしたが、やはり終了後の県文は、
なんとも寂しい場所にあり、余韻を楽しむ贅沢は味わえませんでした。
ちなみにAプログラム指揮者は、広上さんでした。
だから、ヨーロッパでは靴にお金をかけるのですね。
健康な体に感謝しながら、たくさん見聞されてください。それにしても・・・お顔が見たいですねー。
臼井さん、私は実は肩凝り解消に励む昨今ですが、どうか美しい音楽、素敵な風景、感動的な絵、温まる温泉等に身を包み、ご自愛くださいますよう。