見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

旅の風景■銀行にたどり着けないローマ

2006-09-18 22:45:26 | 過去の旅
ケニアでは、サファリツアーのガイドが「ケニアに来る観光客で英語を話せないのは日本人とイタリア人の男性」と言いました。

ネパールの旅行会社で働く知人は、仕事のためにイタリアと日本に遊学しました。「イタリア語と日本語を話せれば、ネパールに来るたいていの外国人に対応できる」と。

ローマに入って、戸惑ったのは「言葉」でした。
ローマは通りすがり。メインのイギリスに一ヶ月滞在した後にパリ、ローマと2、3日観光した後、日本に戻る予定でした。そのため、ローマについての予備知識はないに等しく、現地で手に入れる地図で適当に歩けばいいだろうくらいに思っていたのが、甘かったのです。

焼きたてのピザを食べるためには、まず両替です。簡単な市内地図には銀行の位置が掲載されておらず、人に聞くしかありません。
ところが、道で誰を捕まえても、銀行がわからないのです。
イタリア語で「銀行」が言えないので、日本の紙幣を取り出して、交換する手振りをしながら「bank」と言ってみるのですが、理解してもらえません。
日本人だって、お札交換のジェスチャーをする外国人が「bank」と言えば、5人のうち1人くらいは閃いてくれそうなものです。
体の大きなイタリア人たちは、「紙幣をひらひらさせるこのチャイニーズは、いったい何を言いたいのか」というような怪訝な顔をします。
自分の表現力のなさに打ちひしがれていると、「銀行なら、この先」と声をかけてくれたのが、スリランカ大使館の外交官でした。
「意地悪しているんじゃなくて、イタリア人は本当に英語を知らないのよ」と笑顔で、彼女は銀行の位置を教えてくれました。

ローマに来る直前のパリでは、英語を知っていても嫌うフランス人を見てきましたが、イタリア人はそれとは違う事情のようでした。

ほっとしたのもつかの間、「今は昼休み。この国では3時間はランチタイムをとるから、オフィスはみんな閉まっているわよ」と彼女。

みんなが昼食とシエスタ(昼寝)を済ませた後じゃないと、私はピザにありつけないのだと絶望的な気持ちになりました。
すると、外交官の彼女が「よかったら私のマンションへ来ません?昼休みに戻ってランチするところだから、一緒に」と天使の声をかけてくれたのです。

ローマの中にあるバチカン市国

街中に残るローマ帝国時代の遺跡や町並みには、過去となった華やかで壮大な古代文化と歴史の趨勢を感じ、再びゆっくり訪れたいと思う国です。
次回来る時は、必ず、イタリア語用語集を持参しようと心に誓ったのでした。
もう20年も前のことです。ローマは変わったでしょうか。





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