見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

旅の風景■一夫多妻のエジプト

2006-08-11 21:53:49 | 過去の旅
日本からの「ツアー」に初めて参加したのがエジプトでした。

エリザベス・テイラー主演の『クレオパトラ』をはじめ、ピラミッドを舞台にした絢爛豪華な映画はたくさんありますが、
小学生の頃に見たハワード・ホークス監督の『ピラミッド』は、その巨大建築物がどのような政治的意図と技術で造られたのかを、ダイナミックに描いた最も印象的な映画でした。
以来ずっと、「いつかはピラミッドへ」と思っていました。

海外に出ても、観光にはほとんど興味のない私ですが、このエジプトだけは、「遺跡観光」が目的でした。
なので、日本語通訳付き、主要箇所を余すところなくガイドされ、詳細にレクチャーを受けることのできるツアーを選んだのです。

ところが、カイロに降り立ってみると、ツアー参加者は、私ともう一人の日本人の2人だけでした。出迎えてくれたのは現地ガイドと日本語通訳とドライバー。旅行者2人に対して、3人が手配されていたのです。

日本語通訳は、カイロ大学の日本語学科を出たというフェリー。日本のディズニーランドに行ったことがあるという目鼻立ちのはっきりした優しい女性でした。

ツアーが始まりました。
修学旅行を彷彿とする集団行動を予想し、懐かしさに心がわずかに躍っていたのですが、おかかえ運転手と専属ガイドと通訳が同行する殿様ツアーになりました。

現地ガイドが英語で説明した後、フェリーが日本語に訳します。
ときどき、現地ガイドの英語の説明にうなづいてしまうと、すかさず、フェリーが
「あなたが英語がわかると、私はくびになります。どうか、英語はわからないふりをしてください。」と困ったように言います。

ツアーの2日目、彼女の家に招待されました。

オールド・カイロの路地裏に並ぶ彼女の家は、レンガ+コンクリート製の4階建ての建物でした。一階がお父さんが経営する間口3メートルほどの小さな雑貨屋、2階から4階が住居で、屋上には食用の鳩と鶏を飼っていました。

彼女に導かれて薄暗い階段を3階まで上ると、母親と3人の妹弟が夕食の用意をして出迎えてくれました。しばらくすると、また別の家族が4人顔を出しました。「父の3番目の奥さんの家族です」とフェリー。

そう紹介されて、初めてエジプトの一夫多妻制を思い出しました。フェリーのお母さんは2番目の奥さんだそうです。ということは、同じ家の別の階に、1番目の奥さんもいるということになります。

エジプトの男性全てが一夫多妻というわけではなく、経済力のある男性だけが複数の女性を養えるとのこと、まあ、当たり前といえば当たり前のことです。一人の男性が女性を何人も独占するということは、余る男性もいるということになります。

「できれば、あまり経済力のない男性と結婚したいです」食事をしながら、家族の知らない日本語で、フェリーが、ぽつりと言いました。


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