コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

演じる

2010-02-28 09:26:49 | 
Theater Of The Psychic Arms 2010 水銀座復活 2
日 :2010年2月27日(土)
時 :19時~21時
場所:みろくさんぶ

 ・新作登場!! 『広末亭奇譚 コンビニ女店長日乗』  演者 鷹匠訓子
 ・『驟り雨』  演者 藤枝菊次郎
 ・『舞踏家の憂鬱』  演者 隼迅太
 ・朗読『聖ヨハネサナトリウム (看護婦の手紙 断片3)』  演者 AyameX
 ・LIVE KONORIsp.
 *アンコール 『先生(仮)』  演者 鷹匠訓子



水銀座復活公演@みろくさんぶ、2回目。
前回のことはここに



水銀座が、快調に突っ走っている。
私は“全盛期”を識らない。
まだ、劇“団”としての舞台も観ていない。

しかし、これもまた、織り込み済みの“断片”という“見せ方”なんだな、と、気づかされた時には術中にはまっている。


1つめ、“コンビニ店長”おばさんバージョン。新作。
土門ェ門“デッドロード”の“殺戮”とは別の路線。“おばさん”全開。暴走するところはあっても妙なリアリティを保持している。

2つめ、『驟り雨』は、時代物。
これは、前にAyameX氏と土門ェ門氏と、それぞれの別バージョンを観たことがある。
どれが“正調”なんだか判らないんだけれど、基本、雨宿りの一齣。
“絵”が見えてくる。
演じた菊次郎氏の絵に描いたような男っぷりに惚れ惚れ。

3つめ、『舞踏家の憂鬱』は、“三題咄”ならぬ“三題芝居”。
客席から出された“お題”、“三回転半”“おでんや”“特大”をつかって、大道芸ワールドカップにエントリーさせられた「舞踏家の憂鬱」を演じた。
恐ろしく達者。そして、“素”が判らなくなる。
なんだか、松竹新喜劇のリクエスト芝居を思い出した。
終演後に、この人が化けていたことに改めて感嘆。


中入り後は、AyameX氏が、「看護婦の手紙 断片3」を朗読。
オンマイクと生声の切り替え、アナログなノイズで聴かせる。


ついで、KONORIsp.のライブ
これも、独白的に始まり、音楽と演劇の境界線を往き来する。
みろくさんぶ店長さんも正体を顕す。

プログラム通り、21時にきっかりに終了し、あれこれ雑談の途中、終演後に入ってきたお客とのやりとりから突然“アンコール”になり、鷹匠訓子に“先生”が降りてくる。高校の男性教師だったらしい。
期せずして(?)客が“生徒”を演じてしまう妙な空間。
うち解けて大笑いのひととき。
*これ、“正式な”タイトルあるんですか??

たっぷり二時間半の投げ銭公演。
贅沢な夜でした。



さて、バンド演奏をのぞき、アンコールを含めて五つの“演劇”のうち、“台本”が存在したのは『驟り雨』と『断片』の二つ。
あとの三つは“即興”。
即興とは言っても、“おばさんコンビニ店長”“憂鬱な舞踏家”“男性高校教師”という人物設定があるから、それに話を乗せていくかたち。
たぶん、“雨宿り”も、即興で可能だろうと思う。

だから誰でも出来る、と言う咄ではなく、よどみなく(或いは、よどみを織り込みつつ)、しかし明晰な声と表情で30分持たせてしまう力量には本当に舌を巻くしかない。


さて、そんな、抱腹絶倒の間に芸の深淵をのぞき込みながらふと考える。

“演じる”ことと、“芝居”ということ。

例えば、私が教壇で文学の話をするのは、少なくとも“芝居”ではない。
しかし、“演じて”いない、とは言い切れない。
教壇で、学生の反応を無視してつまらない洒落をまくし立て続ける教師は、或いは逆に“受け”ばかり狙って中身のない話をする教師は、“芝居”をしてるんじゃないか。

居酒屋店長が、客のいない間に声を出してぼやきだしたら、それは“芝居”でも“演技”でもないのだろうか。

開演時間になっても客の来ない劇場で役者がぼやきだしたら、それは“即興劇”ではないのか。
客が入っているのに、いない“設定”なら芝居?


『転校生』がらみで飴屋法水氏と“演技”についてやりとりをしたなかで、
「コーヒーを飲んで下さい」と言われてコーヒーを飲んだら演技か、と言うような事を言われた記憶。


大がかりな演劇も愉しい。
緊密に練り込まれた台本、作り込んだ演出の芝居も面白い。

しかし、真に一回限りのこういう芝居を間近に観る贅沢は、他に代えがたい物がある。


次は、なんと、花見に登場予定!


また暫く、オチツカナイ日々が続く。

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