コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

『死霊解脱物語聞書』を刊行しました。

2012-06-27 18:30:33 | 
累(かさね)怪談の原著である、『死霊解脱物語聞書』を翻刻出版しました。


画像をクリック↑

[書 名]〈江戸怪談を読む〉死霊解脱物語聞書
[著者名]残寿(著)/小二田誠二(解題・解説)/広坂朋信(注・大意作成)
[体 裁]四六判並製、174頁
[定 価]1700円+税
[ISBN]978-4-7684-7941-4
発行:白澤社
発売:現代書館

です。

概要は版元、白鐸社のブログをお読みください。


 『死霊解脱物語聞書』は私にとって、というか怪談研究にとって、非常に重要な本です。
 従って、すでに複数翻刻出版もされています。
 しかし、現在、それぞれ必ずしも入手しやすいものではなく、また手に取ったとしても読み易い本文とは言えません。

 研究者にとっては、読みやすさより正確な本文の提供が優先されるので、一般の怪談ファンにとっては取っつきにくいまま、存在は知っていても読んでいない本になっていると想像されます。

 今回の出版は、私が所持する板本『死霊解脱物語聞書』をもとに、句読点や読み仮名を整理するなど、本文を多少いじり、元の文章の雰囲気を残しながら、現代人でも読める文章にして提供したところが一つの特徴です(従って、研究者の本書からの本文引用は推奨しません)。
 その上で、時代背景や仏教用語など、わかりにくいところには脚注を施してあります。

見本→


 『死霊解脱物語聞書』に注が付いたのも今回が初めてだと思います。
 さらに、それでも古文はちょっと、と言う人のために、章段ごとに粗筋よりは詳しく、逐語的現代語訳よりは簡略な、"大意"を加えています。

←見本


 この、"大意"と"脚注"は、私ではなく広坂朋信氏が担当してくださいました。正直、私も知らなかったようなことがたくさんあります。
更に、この事件の、最も早い記述である『古今犬著聞集』の抜粋も掲載し、比較できるようになっています。
 改めて詳細に比較すると、論文一本書けそうなくらい面白いことに気づかされます。


 今回私がした仕事は、翻刻と、解題・解説の執筆です。
 このうち、解説は、既発表論文に少し手を入れたものです。
 このふたつの拙稿をお読み頂ければ、『死霊解脱物語聞書』が如何に重要、且つ面白い本であるか、御理解いただけると思っています。
 間違いなく、江戸時代を通して最も重要な怪異事件の記録が、初めて一般書として刊行されたことを、私事ながら喜ばしく思っています。


ということで、御購入はこちら

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 さて、ここまでは告知ですが、ページを変えて、少し補足説明をしようと思います。読書の助けになれば幸いです。

取り敢えず、随分前にホームページに掲載していた挿絵などをご覧下さい。


つづく。

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5 コメント

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是非ご感想を。 (小二田)
2012-07-02 08:30:38
流通が始まってほぼ一週間。
入手された方は、匿名で結構ですから、是非、忌憚の無い御意見を書き込んでください。
すでに誤植も見つけています。
“重版”できれば訂正しますので、そういう情報も是非!


返信する
ご無沙汰しております。 (龍 津 寺)
2012-07-17 15:34:00
いつの間にやら、こんな本を上梓されていたんですね。さっそく注文させていただきました。渡辺会長にもお知らせしておきます。
須弥山儀も、ここに来ていろいろなアプローチと動きがありました。またご相談させて下さい。
返信する
すいません! (こにた)
2012-07-17 16:08:54
持参しようと思いながらそのままになってました。
地獄極楽の話も出てくるし、お薦めです。
返信する
購入させていただきました! (ほうじょう)
2012-07-25 12:07:57
ご無沙汰しております。相変わらずお忙しそうですが、ご高著のご出版、何よりです。早速購入いたしました。江戸期の死者との関わり方を思いつつ、拝見しております。また失礼ながら、私のブログでもとりあげさせていただきます。
上智にも木越治さんがいらっしゃって、近世幻想文学の気運が俄に高まってきました。
返信する
ありがとうございます! (こにた)
2012-07-25 12:18:06
ご無沙汰しています。

私の労力はたいしたことが無く、お恥ずかしい限りですが、ブログで取り上げていただければ幸いです。

最近怪異関係、来てますね。
理由は分からないのですが、震災後、と言う見方もあるようです。
返信する

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