Ali'i Drive Breeze

The Big Island
ハワイ島で体験した思い出を写真とともに綴る旅日記

カラパナ<Kalapana>失われた村で溶岩を見る

2011年01月20日 | プナ地区

2010年1月2日:午後3時45分

クムカヒ岬から
砂利道を引き返し、
ラバ・ビュー・ポイントを目指して137号線を南へ。


137号線は、1960年に流れ出た溶岩に覆われていたことから、
地元の人々が、レッドロードと呼んだ道。
道沿いには、
カポホ・タイド・プール
ホット・ポンドアイザック・ハレ・ビーチ
ケヘナ・ビーチカイム・ビーチなど、
興味をそそられるビーチが点在している。
今回の予定では、これらのビーチに立ち寄れないのが、残念な限り。
(溶岩ボート・ツアーに参加する人は、
 アイザック・ハレ・ビーチの集合場所まで、このルートを運転して行くそうです。)

     


車は、細かくアップダウンを繰り返す変化に富んだ道を進む。

道幅が、1車線から2車線に、また1車線へと変ったり、
ビーチの賑わいが木々の間から、垣間見えたり、
Milo や Hala の木が作るトンネルを潜ったりと、
ドライブが楽しく感じられる。

ただし、スピードの出し過ぎには注意だ。



午後4時40分

カラパナに到着。

地図上では、
レッド・ロード(137号線)とオールド・カラパナ・ロード(130号線)は、
繋がっているはずなのですが、
いざ、やって来てみると何だかイメージと違う。

唐突に137号線は終わり、行き止まりに。
ひとまず、車から降りて周りを見渡すと、
そこあるのはアンクル・ロバーツ・ハウスとヴェルナズ・ドライブ・イン。
そして、カイム・ビーチ(黒砂海岸)へと歩いて向かう道筋が。

どう見ても、溶岩を見に来た人たちで賑わっているという雰囲気ではないし、ここからラバ・ビュー・ポイントには辿り着けそうにありません。

「しまった!場所を間違えたか?!」

太陽は、どんどん西に傾きつつあります。
暗くなる前には、ラバ・ビュー・ポイントに到着していたいところ。
ここは、迷っている場合ではないと、Uターンを決断。
137号線を引き返し、途中のKamaili Rd.から130号線へ出ることに。

KamailiRd.は、道沿いに農地がある田舎道といった雰囲気。
どこか懐かしい気もしつつ、
農作業帰りのトラックを追い抜き、130号線へ。

 

午後5時30分

ようやくラバ・ビュー・ポイントに向かう車の列に連なり、
130号線の先へ。
舗装路のひび割れたガタガタの道を運転し、
ビュー・ポイント手前の駐車場へ。

誘導員に従って車を停めた後、
懐中電灯と軍手、そしてミネラル・ウォーターを携帯し、
歩いてビュー・ポイントまで。
(双眼鏡も持参すれば良かったと、後で思いました。)

冷え固まった溶岩の上を歩くこと10分。



やっと、念願のポイントに到着。
一時はヒヤッとしましたが、暗くなる前に辿り着けたことで
一安心です。

「やっぱり、人が多いね。」
すでに多くの人が、それぞれ見やすい場所を確保しています。
ぼくたちも良く見える場所を探して、溶岩の上をウロウロ。
しかし、この時の人数はまだ序の口で、
後から後から、多くの人がやって来て、あっという間に混み合うことに。



なんとか立ち昇る水蒸気が見える場所を確保し、
あとは暗くなるのを待つばかり。
と、そのとき、人々の間から歓声が!

なんと、ビュー・ポイントのすぐそばに、鯨が姿を現したのです。
それも、2頭。



「親子かな?」
慌ててカメラのシャッターを切ったのですが、タイミングが合いませんでした。
それでも、嬉しいサプライズには違いなく、その場の雰囲気も何だか和やかに。

やがて、辺りが暗くなり、
くっきり見えていた煙も、ボンヤリとしてきました。
そして、ついにその瞬間がやって来ました。

あふれ出た溶岩が、海へと流れ落ち、
立ち昇る大量の水蒸気に、赤い色が美しく映える瞬間が。



それは、溶岩と海水がせめぎ合う、
太古の昔から繰り返されてきた、地球の風景。

国産みの神話を想起させるような厳かな景色に、
ぼくたちは、ただ声も無く見入ってしまっていました。


どれほどの時間、そこに立っていただろうか。
いつまでも、いつまでも眺めていたい気分でしたが、
「なんだ、遠いなぁ!!」という日本人男性の不満気な声が聞こえてきて、
現実に引き戻されてしまいました。
振り向けば、人種も入り乱れたじつに多くの人、人、人。
子供たちも人垣に阻まれ、なかなか景色が見られない様子。
妻とぼくは場所を譲り、引き上げることに。

真っ暗闇の中、
懐中電灯の灯りと、ルートを示す反射板を頼りに溶岩の上を歩きながら、
ふと、この足元にはかつてカラパナの村があったのだということを思い出しました。

1983年に噴火した当初は、カラパナの西方を流れていた溶岩が、
1990年に流れの向き変え、村へ。
1990年末には、100世帯を含め、村のほとんどが溶岩に埋没したという。

かつて、インタビューを受けたカラパナの長老Robert Keliihoomaluさんが言っていた。
「ペレがコントロールすることに、我々は為す術がない。
 破壊され、新しい再生が始まる。
 我々は今あるものを感謝し、受け入れるしかないのです。」
と。

今もなお、溶岩によって日々刻々と変化しているカラパナ。
いつかまた、この地に人々が暮らせる時が訪れるのだろうか?
その答えは、ハワイの格言を借りるなら、
Aia no i ke ko a keau (時のみぞ知る)、なのかもしれない。


駐車場まで歩いて戻り、車に乗り込んだ。
(その後、この駐車場のあった辺りも、流れ出た溶岩に覆われ行けなくなったそうです。)

まだ、今日の予定は終わっていない。
最後は、無事にホテルまでたどり着くこと。

だが、来るときはまだ日没時の明るさが残っていたが、帰りは夜。
ハンドルを握ったとたん、急に不安が・・・。
カーナビもなければ、地図を読んでる暇もない状況の中、
「恐らく、前方の車もヒロ方面へ戻るだろう。」と勝手に当たりを付け、
前を行く車を追いかけるように走り始めた。

130号線に出ると、
ぼくたち同様、ビュー・ポイントから引き上げる車の赤いテールランプの列が、
闇夜に延々と連なっていた。
単調な走りのため、
「ここで、睡魔に襲われたら最悪だ。」と、気持ちを引き締め、
ひたすら車間距離を一定に保つことを意識して走り続ける。

それにしても、夜のドライブは、時間の感覚が掴み辛い。
助手席の妻が船を漕ぎだした頃、連なっていた車の列が右と左に分かれ始めた。
どうやら、ケアアウまで戻ってきたようだ。
前を走っていた車は、左へと曲がって行った。
ヒロに戻るのかと当たりを付けて着いて来たが、外れたようだ。
だが、ここまで戻れれば問題は無い。
ぼくは右折し、車をヒロ方面へ向けた。

隣には軽く寝息を立てている妻。
ボリュームを下げたカーラジオからは、80年代の懐かしい音楽がかすかに流れ、
街灯の灯りが等間隔で車窓を通り過ぎていく。
ぼくは、センターラインを見つめ、黙々とハンドルを握り続けた。

ふと、1月2日の夜に、ハワイ島で車を運転している自分が、
非現実的に思えてきた。
もしかすると、これは夢なのではないかと。
目覚めるまで、何処とも知れない夜の闇の中を走り続けることになるのではないかと。

だが、ふいに囚われた謂れのない不安も、
前方に町の灯りが見えはじめた頃、安堵感へと変った。
どうやらヒロに戻れたようだ。
ケンズ・ハウス・オブ・パンケーキのある角で左折し、19号線へ。

ダウンタウンまで戻って来たところで妻を起こし、
KTAで夕食を買い込み、ドルフィン・ベイ・ホテルへ。


午後8時5分。

ホテルに到着。
ハワイ島プナ地区を巡ったドライブが無事に終了した。

明日は、ヒロを離れ、いよいよコナへと向かう。
4年ぶりのアリィ・ドライブへ。


Mahalo!   

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