2010年1月1日
午前7時
元日というよりは、ハワイ島2日目の朝を迎えた感じです。
朝食は、刻んだベーコンをカリカリに炒め、レタスの上に散らしたサラダと、
ホテルが用意してくれるデニッシュとコーヒーを頂くことに。
たったそれだけのことなのに、こんなことが!
ベーコンを炒め終った妻に、
「先にコーヒー、もらってくるね。」そう言い置いて、
ドルフィン・ベイ・ホテルのロゴ入りマグカップをふたつ持ち、
部屋の外へ。
すると、フロントにひとりの男性が立っていました。
“Good morning!”
と、声をかけると、
“Good morning. How are you?”と返してくれました。
“ Fine! Thank you.”
男性は、このホテルのオーナーJohn Alexanderさん。
ガイドブックによれば、
『ビッグアイランドのアウトドア全般に関する知識の泉のような人、
特にハワイ火山国立公園に関しては詳しく、
毎朝、火山情報を更新している・・・』ということですが、
とにかく人あたりが柔らくて、スマート。
『若い頃は、女性にもてたんだろうなぁ。』とは、ぼくの勝手な印象です。
と、ここまでは何の問題もなかったのですが、
ぼくがウォーマーに乗せてあったコーヒーを、マグカップに注いでいると、
皿を持った妻が部屋のドアを開けて出てきました。
『えっ?』
ぼくの頭の中では、
オートロックのドアを部屋の中から開けてもらうつもりでいたのですが、
出て来てしまいました。
しかも、その後ろで、バタン!!と、音を立ててドアが!
『ま・さ・か・・・』とは思いましたが、念のため妻に尋ねることに。
「なんで出てきたの? (どうして、出て来ちゃったのかなぁ?) 」
「デニッシュをもらおうと思って。(お腹空いてるんだもん。早く食べたいじゃん。)」
「それは構わないけど、KEYは? (持って出てきたんだよね?) 」
「キー? (何それ?) 」
「部屋の鍵。 (持って出たんだよね?) 」
「部屋の鍵? (何言ってるの?) 」
「そう、部屋の鍵はどこ? (もう、分かっちゃった。) 」
「部屋の中だけど・・・ (なんなの?) 」
「部屋の中? (やっぱり・・・) 」
「そうよ、部屋の中。 (わたし、間違ってる?) 」
やはり、妻は忘れているようです。
「ドア開かないでしょ?」
ぼくは持っていたマグカップをひとまず置いて、
妻の背後に回り、部屋のドアノブに手をかけました。
もちろん、ドアはしっかりとロックされています。
「あっ!」
妻も理解したようです。
「だって、木のドアなんだもん。オートロックに見えないよ。」
たしかに、部屋のドアは年季の入った木製。とてもそんな風には見えません。
「でも、部屋を出るときは必ず鍵を持って出てって言っておいたでしょ?」と、ぼく。
「そうだけど、それは外出する時のことじゃないの?」と、妻。
「昨日、チェック・インの時に説明を受けたこと、忘れたの?」
「だって、英語は分かんないよ!」
「・・・あっ!」
妻は、オートロックだということを忘れていたのではなく、
知らなかったのです。
どうやら、ぼくだけが理解したつもりで、妻には伝え切れていなかったようです。
「仕方ないか。」
いずれにしても、閉め出されたことは事実。
このままでは、部屋の中に戻れません。
「もしかしたら、あっちが開いてるかも?」と、
中庭に面した引き戸を思い出し、中庭に回ってみましたが・・・、
こちらも、しっかりと閉じられたまま。
万事休す。
恥ずかしいけれど、フロントにいるジョンさんに頼るしかありません。
“Ah~,Excuse me・・・”
“Yes?”
しかし、こういう焦っている場合には、すんなりと言葉が出てきません。
ニコニコと笑顔でぼくを見ているジョンさんに、
“in key・・・じゃなくて、Key・・・in the room・・・”と、
まるで子供のお使いのような要領を得ない言いよう。
『何かな?』と、変わらず笑顔でぼくを見ているジョンさん。
(なんて言えばいいんだっけなぁ?)
余計に焦ってしまったぼくは、
[ I left the key in my room.]
たったこれだけのフレーズが出てきません。
あげくに、記憶を引っかきまわすようにしてなんとか探し出した言葉が、
“Locked out”
それでもジョンさんには通じたらしく、
“Oh! O.K.”そう言って、オフィスの中へ。
スペアー・キーを持って出てくると、部屋のドアを開けてくれました。
“Thank you. Thank you.”
こういうとき、日本人としては、どうしても頭を下げてしまいます。
“You are welcome.”
ジョンさんは笑顔を残して、オフィスへ戻っていきました。
おかげでデニッシュとコーヒーを部屋に持ち帰ることができたぼくたちは、
ようやく朝食タイム。
デニッシュは、ちょっと甘過ぎたけど、妻もぼくも1個ずつ完食。
軽くお腹を満たし、支度が整ったところで、
今日最初の目的地『レインボー・フォール』へと向かったのでした。