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レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像

2013-06-24 00:20:34 | 一期一絵
6月はなかなか行けなくて無理かな、なんて思ったけど21日夏至の日に東京都美術館で開催されている展覧会に行ってきました。

ダ・ヴィンチの油絵「音楽家の肖像」と発想の根幹となる手稿「アトランティコ手稿」の22葉を中心に、ダ・ヴィンチより少し前の画家の素描、ダ・ヴィンチより少し後の時代のものでレスタ神父が収集し「携帯型美術館」と名付けた素描集、蔵書の紹介、ダ・ヴィンチの弟子や影響を受けた画家の作品などが展示されていました。

ダ・ヴィンチ以前の画家の素描そして「携帯型美術館」は多分、その次の部屋で展示されていた「アトランティコ手稿」の絵と比べるために展示されていたのでしょう。でも別の世界のものでした。ダ・ヴィンチ以前の素描集と「携帯型美術館」は絵画のデッサンで、素描ですが中にはそれ自体で十分に作品として鑑賞できるものでした。「携帯型美術館」にはミケランジェロのお葬式のモニュメントの構想図もあって興味深かったです。
「アトランティコ手稿」は設計図や完成図やちょっとしたスケッチやメモ書きなど、どちらかといえば科学部門の覚え書きみたいでした。もちろん素晴らしい画力です。人物の顔が何点か見れましたが、甘い雰囲気ではなく辛口の冷徹な人間描写だなと思いました。女性の横顔の素描は陰影をつける線描ハッチングの線が左上から右下の斜めに描かれているのがわかる。これは左利きだから。そんなところに人間レオナルドの手のぬくもりを感じました。これは人物の横顔の形態を研究している絵だそうです。機械の装置のデザイン図は細かく正確。ダ・ヴィンチの思考の一端を伺うことができ巨匠の素顔や人となりを感じることができる貴重なものだと思いました。
そして独特の組みひも模様・・・

これはダ・ヴィンチが発案したものをミラノの版画家が印刷したものですが、複雑で精緻で正確で美しい。手稿で大小の円を組み合わせた図がありましたが、それが発展するとこの円形の美しい組みひも模様になるのかも。欠けることなく完全なものを追及する嗜好も感じます。

ダ・ヴィンチの絵画作品は少ししか存在しませんが。そのうちの貴重な1点が

「音楽家の肖像」1485年頃
やはり甘さのない冷徹な人物描写です。顔と指と持っている楽譜の描写はほぼ完ぺきです。が、衣服、とくにベストは描きかけなのがわかり、未完成なのだとわかりました。背景は真っ黒なのですが、これもラファエロの「大公の聖母」と同じように後の時代に塗ったものかな。勝手な予想ですが・・・。髪の毛が黒い背景になじんでなくてそこが不自然な違和感を感じます。確か同じダ・ヴィンチ作品の「白テンを抱く貴婦人の肖像」も背景は後の時代に黒く塗られたと数年前に見た展覧会で説明が書いてありました。
この音楽家は30代後半くらいの年頃かな。骨太で整った顔立ち。思索的な表情。音楽家でもあったレオナルドと音楽論を熱く語り合ったりしたのかしら。胸躍るセッションもしたのかしらん♪
今回唯一のダ・ヴィンチの油絵作品でした。

ダ・ヴィンチの絵は特徴がないように見えてものすごく特徴的。多くの追随者“レオナルデスキ”ががあらわれたそうですが、数年前千葉市立美術館で開催されていた美術展でミラノ滞在時代の追随者の絵を見てあまりにそっくりなのでびっくりしたことがあります。とても似てるけど本物にはおよばない・・・。でもレオナルデスキだからこそ今も作品が残っていて、こうやって500年後も遠い異国まで旅をして私達にもあの時代の芸術家達の篤い気持ちが伺えれるのでしょうね。
今回の展覧会でも彼の弟子や影響を受けた人の作品が展示されていましたが、これが良かったです。とても似ている作品も良かったし、消化して自分の絵を作っている作品はさすがすばらしい。

今回一番気に入った絵はダ・ヴィンチご本人ではなくレオナルデスキのこの作品でした。

「貴婦人の肖像」1490年レオナルド派
とても精緻で端正で美しい絵です。展覧会場で最初にこの絵が展示されてました。やっぱりこの絵は高く評価されているのでしょうね。
近くで見るとさらに筆致の細かさと正確さ、それでいて全体のバランスの良さに感動します。
ダ・ヴィンチの影響はうけながらも真似っこにはならず自分自身の絵に消化している。
こんな力量のある画家の名前が残ってないなんて!

レオナルデスキの作品でダ・ヴィンチ師匠の絵を模写した作品がありました。これがなんとも・・・

「洗礼者聖ヨハネ」1520年頃レオナルド派
原作は背景が暗いけどこの絵は前景はのどかな風景で後景は氷河期みたいに寒そうです。色合いは綺麗で好き。しかし何というか・・・眼が妙に意味深なんです。なんかやけに色っぽい、艶めかしい(^_^;)。本当かどうかはわかってないそうですが、ダ・ヴィンチの弟子サライが描いたとも言われたりするそうですが、なるほど、そんな説が解る気がします。気になって印象に強くのこります。

ちなみにレオナルドご本人作の画を載せます。今回の展覧会には展示されてませんのでご了解ください



ルイーニによる聖家族の絵も見ごたえがありました。
デッサンや手稿はその画家の息遣いが感じられるような気がして見ていて楽しかったです。お時間があれば間近で見てみてください。ミケランジェロの葬式のモニュメントの図など貴重な資料もあります。
6月30日まで開催されています。
開催が終了したらデッサンや手稿の何点かをここに貼りたいと思います(^_-)-☆

追記

レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサン2葉とミケランジェロ葬儀用のモニュメントの設計図を載せます


「複数の弩を装備した歯車の素描」1485~87年ダ・ヴィンチ作
《アトランティコ手稿 第1070紙葉表》
メカニカルな物への強い興味を感じます


「女性の横顔と眼の習作」1490~92年ダ・ヴィンチ作
薄くてわかりづらいですが細かな左上から右下へのハッチングが見れます。

そして

「ミケランジェロの葬儀用モニュメントのための設計案」1564年ザノービ・ラストゥカーティ(帰属)作
ミケランジェロの葬儀は国家事業だったのですねぇ
神の如きと言われた天才ですもんね

2 コメント

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〇○なのデスキ (遵命)
2013-06-24 13:30:10
レオナルデスキ ノ コノサクヒン 
カタノ ニク イロッポイ ノデスキ

原画観たいなぁ…。時間が取れない、残念!!
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私もタノシメルのデスキ♪ (blueash)
2013-06-24 20:30:14
遵命さん♪
せっかくなのでレオナルド氏の絵も載せました。機知に富んだ眼もとが魅力的で、自分だけが気付いている次の時代の到来をちょっと得意気に示しているようにみえます。
このレオナルデスキのヨハネ像はつっこみ所がいろいろあるのですが、なんか愛嬌があって憎めない絵です。眼がね、本物を見ればわかるのですがニィッて三日月みたいににんまりしてるのですよ
たしかにカタノニク色っぽいわ

確証はないけどダ・ヴィンチの愛弟子サライの作品ではとずっと言われていたそうですが、サライはあのモナリザのヌード版を描いちゃっているのでありえるかも~って思ってます。

それにしてもレオナルド作品もレオナルデスキ作品もヨハネはやっぱり魅力的な男性ですね。身なりは毛皮をまとっただけで貧しく、でも顔立ちは美しく、長い髪の毛・・・て、これは没落した貴族の公子様ではないですか
ああ、絵ハガキ買えば良かった
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