~窓をあけよう☆~

~部屋に風をいれよう~

THE WHO / ザ・フー LIVE IN HYDE PARK

2015-11-15 22:30:46 | 音の綴織


今年結成50周年となったイギリスのロックバンド the Who の記念コンサートのライヴ・ビューイング映画を新宿バルト9にて鑑賞しました。
この写真は建物の壁に掲示されていたポスターです。うう、斜めにずれている・・・(^_^;)
映画上映は夜のみなので、どうしようかと迷いましたが、一番早い上映時間の日に行きました。それでも午後7時5分上映。
小さな上映室内は会社から直行したのかスーツ姿の人、音楽業界っぽい人、ある程度の年齢の人も若い人もいて半分くらい埋まってました。

50周年記念コンサートは2014年11月から<THE WHO HITS 50!>と銘打ってはじまりました。
ロジャー・ダルトリーが「長いお別れの始まり」と語った覚悟のコンサートツアー。彼らはもう70歳代に入ったのです。
このフィルムコンサートは2015年6月にロンドンの王立公園ハイドパークにて6万5千人の聴衆を相手にパフフォーマンスしたコンサートを記録した映画なのだそうです。

以下、数日前に鑑賞した映画を頑張って思い出しながら書いてゆきたいと思いますが、一部勘違いがあるかもしれないことをご了承ください。

映画の最初にまず 真っ白の画面に"Hail the Who" の文字が現れます。
その後イギー・ポップが the Who について低い嗄れ声で語ります。赤ら顔で皺がいっぱいありますが、若い頃の雰囲気をそのまま持ちつづけてる。
次に語ったのはロバート・プラント。年齢を経てチャーミングなお顔になっている。1970年代始め、ロジャーとロバートは美しい波打つ金髪をなびかせて歌うさまがほーんとに素敵でした。
ロジャー・ダルトリー

ロバート・プラント

二人の後ギャズ・クームズ 、ジョニー・マー、 ケリー・ジョーンズがインタビューに答えてます。恥ずかしながら、私は知らない方だったのですが(すみませんm(__)m)確か一番若いミュージシャン・・・ケリー・ジョーンズさんだったと思う・・・のコメントが印象的でした。
「初めて彼らの音楽を生で聞いたのは1998年。俺たちのバンドは彼らの前座をやったんだ。帰りの駐車場でロジャーとばったりあった。そしたら俺たちに向かってロジャーは "Be Happy" っていったんだ。それから俺はファンにサインをするときは必ず Be Happy て付け足しているよ。」

そして the Who のロジャー・ダルトリーとピート・タウンジェントのインタビューが交互に出ます。コンサートの間にも彼らのインタビューが挟まれてました。
ロジャーは自分たちの音楽は今が絶頂期であること、でも年齢がたち維持することが難しくなっていくこと、だから「長いお別れの始まり」と銘打ったことを語ってました。
ピートは「50周年のお祝いなのに、こんなに大変な仕事をさせられるなんて」と半分本気なのでしょうがふふんと笑って言ってました。ピートは言葉の間に”f○○○”という単語を挟んで言うんですよね。これ、前回記事にした映画「テッド」でも言葉の間にいっぱい挟み込んでいましたっけ。
70年代のピート・タウンジェント。演奏する姿がめちゃ絵になる☆


the Who は若い頃はかなり狂暴だったそうで、殴り合いが絶えなかったそうです。ピートとロジャーの確執も深い時期があったそうです。色々あって、4人いたメンバーの内、ドラマーのキース・ムーンが1978年32歳の若さで亡くなり、83年解散。その後単発的に再結成したのち96年に本格的に復活して後、三人とサポートメンバーで21世紀もパワフルなライブを展開。2002年ベーシストのジョン・エントウィッスル57歳での急死。
深い喪失の中で、解散をしなかった。2004年には初来日してくれた。彼らのコンサートが素晴らしいと聞いていたことを実際に体感できた。
ピートはまた「互いの違いを認め合ってる。」そして「コンサートを巡って意見が分かれ必ず喧嘩をする」とも。the Who の音楽を作り出しロックを革新してきた天才肌で繊細なピートにとって許せない事はとことん拒絶感を持ってしまうのではないかと思うのですが、いろんな喜びや成功、悲しみを共有した歴史がお互い変化させてきたのでしょうね。

彼らのインタビューが終わると、画面が変わってゴテゴテにライトを飾り立てたヴェスパに乗るモッズ集団が現れ、道路を我が物顔で走り、向かった先は彼らのアイコン・・・そう the Who のコンサート。
そしてコンサートが始まります。
「I Can't Explain アイ・キャント・エクスプレイン」から始まり、「Who Are You フー・アー・ユー」そして「The Kids Are Alright キッズ・アー・オールライト」。「My Generation マイ・ジェネレイション」。それからポール・ウェラーのリクエストだと語って歌ったのは「Pictures of Lily リリーのおもかげ」。「Behind Blue Eyes ビハインド・ブルー・アイズ」はロジャーが思い入れを持っている曲。
彼らの後ろには巨大な三面鏡のようなスクリーンがそびえたち、曲に合わせたイメージ映像が流れます。それは時に懐かしいメンバーの姿であったりします。「リリーのおもかげ」では女装したキース・ムーンのチャーミングな写真が現れて茶目っ気いっぱいな歌に花を添えてました。そしてあれは「Bargain バーゲン」だったか・・この曲はピートが「神に挑戦する歌」そして「ネット社会を予言した歌」、そうそう「アイグレーション」を表している・・・とたしか言ってたような・・・その「アイグレーション」の意味が良くわからない自分が悲しいですが・・・そう説明して曲を始めました。曲の終わり近く大きくジョン・エントウィッスルの写真が現れ、ロジャーがその姿をじっと見つめていました。何とも言えない万感の表情で。心の中で何か話しかけているように見えました。
「Join Together ジョイン・トゥゲザー」ではあのビヨンビヨンというマウスハープの音から始まり、そして「You Better You Bet ユー・ベター・ユー・ベット」。これは観客がひと指し指を振り上げて一斉に”You better you better you bet"って合いの手を入れるのよね。明るい曲調の後期の名曲。歌詞の中にある”old T.Rex" は私の中で”懐かしい T.Rex"と訳してます。 T.Rex も大好きだから。
そして名アルバム「四重人格」からピートがアコースティックギターを弾きながら歌った「I'm One ぼくは一人」。そして「Love, Reign O'er Me 愛の支配」。絶望的な孤独にさいなまれた少年が雨に打たれて絶唱する歌で、その悲しみがシャウトしながら歌うロジャーの歌を通じて胸に迫り、涙してしまう。
歌を作り出すピートの素晴らしさ、表現するロジャーの素晴らしさ。

そしてそしてロックオペラ「TOMMY」より「Amazing Journey すてきな旅行」が始まり、続けて「Sparks スパークス」へとなだれ込む。スクリーンのトミーのイラストが神々しい。主人公トミーが不思議な能力を授かるまさにその瞬間を著している。「Pinball Wizard ピンボールの魔術師」を経て「See Me, Feel Me シー・ミー・フィール・ミー」へ。最後の"listen to you I get music・・・”の歌のところは後ろのスクリーンにも歌詞が現れ、会場も大合唱。
一旦ステージが落ち着いて、ふたたび電子音がBaba O'Riley 「ババ・オライリィ」が始まり会場が沸き上がります。やはり大合唱。歌の中にSallyという女の子の名前が出ます。Sallyは「TOMMY」の歌にも表れていて、スターに恋こがれてましたが、Baba O'Rileyでは少年がSallyの手を握り一緒に歩みます。このSallyは後にオアシスがDon't Look Back in Anger の歌の中で再登場させています。
もうだいぶ体力を使ってしまってピートとロジャーが相当消耗しているのがわかりました。でも、手綱を緩めず勢いを止めないで突っ走っていく。



曲が終わるとピートがサポートメンバーを紹介してました。ピートの弟のサイモン・タウンジェント、ベーシストのピノ・パラディーノには「最高に素晴らしいベーシスト、まあジョン・エントウィッスルよりは劣るが」と言ってましたが、ピノ氏はにこやかでした。ジョンが偉大なベーシストなのは誰もが認める事実で、彼を尊敬しているのだとおもいました。最後に紹介したのはドラムのザック・スターキー。リンゴ・スターの息子さんです。顏がお父さんと似てる♪でもドラムを演奏する姿はまるでキース・ムーンなんです。パワフルでメロディを奏でるようなドラム。彼はキースからドラムの手ほどきを受けたんです。ピートは言います。
「キースからドラムを受け継いだのは何歳だ?」ザックはシャイな笑顔を見せて答えます
「10歳です」それに対してピートは
「マスターとは言わないよ。キースのクソみたいなドラムを習っちまったからな」それを聞いてザックは笑ってました。
ピートにとってキース・ムーンは掛け替えの無いドラマーで、とても大切な友人だったことをみんな知っている。

そして最後にWon't Get Fooled Again 「無法の世界」。この曲はロジャーの大シャウトがクライマックスに来ます。その前は音楽が途絶え静かにシンセサイザーのループが聞こえるのですが、今回はずっとロジャーが唸るように歌ってました。それを横目で見てクスッと笑うピート。そして大シャウト。絶叫するロジャーを中心に後ろの画面に爆発する映像があらわれます。いっきに曲が終幕するのですが、あれっという感じにあっけなく終わったと思ったら、その後もピートがエレキギターをかき鳴らします。最後のトリは俺が飾ってやると言ってるように思えました。そしてもう一度盛り上がり大団円に。

最後にふたたびイギー・ポップが現れてアコースティックギターをかき鳴らしながら低い声でゆるく詠い始めます。よく聞くとそれはMy Generation 「マイ・ジェネレイション」。自撮りなんだそうです。
歌い終わったあとに一言
「Hail the Who」

映像も美しく音響が良かったです。それ以上に演奏が豊かで歌声に張りがありました。特等席に座って聞いている感覚になりました。実のところ1983年の彼らが30代で開催した解散コンサートのライヴ映像より声も演奏も今年のハイドパークのライヴは上を言ってるのです。音響機器の発達もあるのかもしれませんがロジャーの張りのある声、ピートの演奏の冴えそしてパフォーマンスは本物。驚異です。


このライブ・ヴューイングのプロモーション動画がありましたので載せます
THE WHO / ザ・フー LIVE IN HYDE PARK


また、30秒だけですがYou Better You Bet 「ユー・ベター・ユー・ベット」の映像もPVにありましたのでこれも載せます
You Better You Bet - clip from The Who: Live In Hyde Park


そしてこれは英語圏の国のPVだと思います。イギー・ポップとロバート・プラントのインタビューの一部が入ってます。
The Who: Live in Hyde Park - Iggy Pop & Robert Plant on seeing The Who live for the first time


私は2004年のロックオデッセイに参加したライヴ、2008年の武道館コンサート、そして2012年ロジャーがサポートメンバーを連れての「TOMMY」コンサートに行きました。また日本に来てほしいと思ったけど、今年の9月にロジャーは髄膜炎をおこしてしまい北米ツアーを来年に延期したそうです。いくらロジャーがパワフルだからと言ってもう無理をするには厳しい年齢になったのだと感じました。
だからライヴ映画を見るだけでもとても嬉しかったです。彼らがずっと元気で暮らしてくれることこそが望みです。

the Who の日本各地のファンがこの大画面での迫力ある映像を見れるように映画が巡回されますように。

せめてこのコンサートのDVDを発売してほしいと思ったら、このブログを書いているときに知ったのですが12月2日にDVDが発売されるそうです。12月は私の誕生月なので自分への誕生日プレゼントのつもりで早速注文しました(^_-)-☆。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
待ってましたよ♫ (マチルダ)
2015-11-15 23:36:42
blueashさん、こんばんは!
観に行かれたんですね。

レポありがとうございます。目の前に浮かんでくるくらい細かくて詳しいレポ!

年齢を重ねてソフト路線にシフトチェンジしていくミュージシャンもいるけど、それはそれでいいのかな、と思うけど、THE WHOはずっとTHE WHOのまま。
50年間同じ熱さで同じ勢いでぶれずに走ってるなんてかっこよすぎます。

ピートのサポートメンバー紹介、いじり方がおかしくて笑ってしまいました。

北米ツアーキャンセルの件は心配なニュースでした。

>もう無理をするには厳しい年齢になったのだと感じました。だからライヴ映画を見るだけでもとても嬉しかったです。彼らがずっと元気で暮らしてくれることこそが望みです。

はい、本当にそうですね。ずっと元気で・・・。
なんか読んでて泣けてきた。


10月末に上京したので(新宿バルト9も行きました)11月にまた、というのもはばかられまして今回自粛したんですけど、いらん遠慮なんかしないで無理しても行けばよかったと思ったのですが、DVD発売ですか?!
よいニュースをありがとうございます。
予約しなくては!

ではまたお邪魔しに来ますね。
よろしくです。
返信する
行ってきました☆ (blueash)
2015-11-16 11:13:55
マチルダさん
ライヴ映画を無事見る事が出来ました(^^)/☆
もし、マチルダさんがブログでお知らせしていただかなかったらうっかり見過ごすところでした(汗)ありがとうございます!
新宿バルト9は初めて行った映画館で、前を通り過ぎて、丸井の店内に入りエスカレーターで1階ずつ上ってやっと到達しました(汗)到着したらロビー上方にある大きなスクリーンが丁度 the Who のライヴ・ビューイング映画の宣伝を始めたところでした♪

THE WHOはずっとTHE WHOのまま。
50年間同じ熱さで同じ勢いでぶれずに走ってるなんてかっこよすぎます。

本当にそう!加減を知らない、ステージに立ったら全力でパフォーマンスしなくちゃ気が済まない。その勢い、潔さ☆さらにクオリティも全く衰えていないのです。

この映画の上映は夜のみだし、日帰りで鑑賞ができないから宿を取らないといけないし・・・ご本人のコンサートならば別だけど・・・いろいろ負担も大きいですよね。御大に全国ツアーは到底提案できないけど、フィルムなら巡回できるし、全国にいる the Who ファン、コンサートを惜しくも行けなかった方やなかなか上映する街まで行けない方々のためにもっと上映する街が増えてくれることを願ってやみません。いろいろ採算の問題もあるとは思うけど・・・
だからDVD発売の知らせは嬉しかったです♪複数のネット販売会社が取り扱ってるようですよ。

私もこれからもお邪魔させてもらいます(^^)/
こちらこそよろしくです♪
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。