~窓をあけよう☆~

金子三勇士 ピアノリサイタル 

JR佐倉駅に貼ってあったポスターを見て、これは良さそう🎵と思ってネットで予約して母を連れて聞きに行ってきました。

佐倉市民音楽ホールは以前一回錦織健氏のリサイタルに聞きに来ました。

ネットで実家からの経路を見たらバスを2回(どちらも本数は少ないですが)乗ると行けるとわかり、時間の余裕を持って早めに出発。

 

会場ホールは中規模な大きさで、感染対策の為、前後左右一人置きに座席に座るようになっていました。そして座席にプログラムと解説が印刷された冊子が置かれてました。

 

当日のプログラムです☆

金子三勇士氏は1989年に日本人の父、ハンガリー人の母の間に生まれたのだそうで、プログラムの人物紹介を読むと6歳から中学生までハンガリーの母方の祖父母の家で暮らしピアノを学び、飛び級でリスト音楽院に入り学んだそうです。その後日本の音大付属高校、音大、大学院と進んだそうで、すでに大変な経歴と賞をもってられてます。その経歴の中にゾルタン・コチシュ指揮ハンガリー交響楽団との共演が書かれていて感慨がありました。昔、ハンガリーの若手ピアニストが相次いで来日してリサイタルを開催して女性ファンが多かったです。コチシュ氏もその一人でした。私も大ファンでした。

 

時間になり、大柄な金子氏がステージに登場し挨拶するとすぐに「革命」を弾き始めました。

それはもう激しくて、情熱がほとばしる演奏。

演奏が終わるとマイクを持って挨拶し、親しみやすい話し方でこれから演奏する曲を解説していました。こういう風にトークをしながら演奏するのは最近では多いのかな?ときどきそういうスタイルの演奏会の事を聞きます。

以後演奏する曲の間に数回、マイクを持って解説し、鑑賞のヒントやポイント、そして演奏が終わったとの拍手のタイミングもわかりやすく教えてくれてました。

 

今回佐倉市からピアノリサイタルの話が来た時に、母方の母国ハンガリーの音楽を取り入れてほしいとリクエストがあったそうで、それでハンガリーにゆかりのある作曲家の曲を多く演奏に取り入れたそうです。

 

ショパンでは繊細で美しい「夜想曲20番」を情緒豊かに演奏、そして子犬が自分のしっぽを追ってくるくる回り、どんどん加速していって目も回ってしまわないかい?と思う「子犬のワルツ」を演奏。

次にハンガリーの作曲家バルトークの演奏がありました。バルトークは20世紀の始めハンガリーや近隣の民族音楽を調査し、積極的に自分の作曲に取り入れてます。その為か時に素朴で、哀感を持っていて、東洋的な懐かしいメロディ部分もあります。バルトークのピアノ曲は友人の影響で高校生だったころよく聞いていて、聞くと高校生時代の学校の様子や友達の顔が浮かび上がってきました。難解な曲もありますが、とても親しみやすい曲もあって大好きな作曲家です。

ルーマニア民族舞曲の第5曲、第6曲は、金子氏も解説されてましたが「なんて言う事でしょう!」のフレーズで有名なビフォーアフターの番組で流れる曲です♪もともと速い曲で、金子氏は容赦なく早く飛び跳ねて踊るように弾いてました。

そしてやはりハンガリーの作曲家リストの曲。

リスト音楽院出身ですから、リストの曲は親しく想い入れも深いのでは。

「ラ・カンパネラ」は最初は少し演奏の速度を落として遠くから教会の鐘の響きが聞こえるように表現され、少しずつ演奏の音が大きく速度が上がり力強くなり、クライマックスでは目の前に大きな鐘がいくつもガランガランと豪勢に鳴り響いている様子が見えるようでした。金子氏は演奏に熱が入ると、ペダルを踏むときにもう片方の足も一緒に力強くダンと音が出るくらい床を踏むのです。次の曲で、まるでサーカスのアクロバットを見ているような楽しさと驚きを感じる「ハンガリー狂詩曲」も演奏に熱が入ると床をダン!と踏む音が聞こえました。情熱的な演奏と、どんなに情熱をほとばらせても演奏は正確で乱れない。

ここで休憩に入り、後半へ

後半のプログラムはリストが他の作曲家の交響曲や歌曲などをピアノに編曲した3作品を演奏。

金子氏の解説によると、19世紀当時、今のような録音機器は存在せず、音楽ホールもオーケストラも存在するのは大都市に限られていて、一般の人々がクラッシック音楽を聞く機会はあまり無かったそうです。リストは地方に住む人でも音楽を知らせ伝えるべく、ピアノ一台で表現できるよう編曲したそうです。自分以外の作曲家の編曲という事にリストの気概を感じます。

その編曲と金子氏の演奏が素晴らしかったのです。

第1曲はシューマンの「献呈」。これはもとは歌曲でシューマンが愛する妻クララへ献呈した曲です。歌の部分もピアノのメロディで表されています。この曲は去年見た映画、シューマンとクララとブラームスの物語「愛の調べ」で何度も印象深いシーンで演奏されてました。愛情や温かさを感じるメロディで切なくもあり、金子氏も優しく歌うように演奏されていて、聞いていて涙が流れました。この曲は最後にシューベルトの「アヴェ マリア」のメロディで終ります。だからもとは、勝手な解釈ですが、聖母マリアへの讃美歌なのかもしれません。それとも奥様のクララを聖母に例えたのかな?

そして次の曲がシューベルトの「アヴェ マリア」なんです。この連携がいい。

最後のベートーベン「フロイデ」は第九交響曲の第4楽章を編曲した作品です。金子氏の解説によると、リストはベートーベンの交響曲を全てピアノ曲に編曲したそうです。凄い(@_@)。大変な作業だったと想像します。リストは全ての音を余すことなく譜面に記したそうですが、金子氏曰く「一つ問題が生じたのです。それは人の指は10本しかない事」。同時に弾く音が11音以上?。もしくは同時に弾くのに鍵盤が離れすぎているのだろうか?

その困難を極める曲を金子氏は少し編曲してご本人曰く「決死の覚悟で」演奏。この会場の市民ホールは3年前に改築されて、その時に取り入れたグランドピアノ(スタインウェイ!)もパンデミックもあって演奏する機会がしばらく無くなり、まだ音は「眠れる森の美女」状態だそうで、こういうときは一度ピアノをガンと音を鳴らせると目覚めるそうです。凄い迫力で、まるで戦いのようでもあり、やはりダン!という足を床にたたきつける音がします。圧倒されました。

 

演奏の間のトークで何度か「パンデミック」と「戦争」という言葉がありました。最初に「革命」を弾いたのも、きっとその意味があるように感じました。演奏の中にパンデミックへの勝利を念じていたのでは。もう一つの故郷で暮らす祖父母を案じ、更にロシア軍のウクライナ侵攻はひっ迫した危機を感じて、平和への祈りを演奏の中に念じていたように感じました。

若々しさと気概を感じる演奏でした。

アンコールはバッハの「G線上のアリア」を金子氏がピアノ曲に編曲した曲を穏やかに演奏していました。

 

会場は年配の方が多く、演奏が終わった後、「とっても良かったですよね!」と声をかけてくる方もいました。東京のホールは遠いし年配の方には行くのは困難な事も多く、それから小学生のお子さんを連れた方もいて、身近に本格的に演奏を聞けるのは嬉しい事ですね。

 

母も私も一番感激したのが「献呈」でした。この曲を金子三勇士氏の演奏で動画がありましたので貼り付けます♪

 

金子三勇士 - 献呈(シューマン/リスト編) S.566

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